金華山

金華山は鳥取県南部町八金に立つ標高約354mの独立峰で、麓から見るとおむすび形の端正な山容が印象的。鳥居をくぐる登山道には観音堂や石段、随身門が続き、古くからの信仰の気配が濃い。山頂の熊野神社奥宮横にある大きな岩棚に立てば、南部町の田園や山並みが弧を描くように広がり、遠くには大山方面のシルエットも重なる。春は新緑と山桜、夏は濃い緑と入道雲、秋は稲穂と紅葉、冬は霞む山影が主役。広角で岩棚越しの空と風景を大胆に入れ、望遠で畑や家並みのパターンを圧縮すれば、里山と信仰が一体になった素朴で力強い一枚が撮れる。