和具観音堂

志摩・和具の高台に建つ観音堂。かつて真言密教の修行僧の祈祷所とされ、志摩市で唯一の国指定重要文化財「銅造如来坐像」や、県指定の十一面観音立像などを伝える。月1回の開帳日が設けられており、薄暗い堂内に浮く金属の光沢は高感度で静かに狙いたい。春は桜の名所として境内が淡く染まり、広角で桜越しに堂を入れると一気に華やぐ。望遠なら木鼻や欄間、注連縄の白、手すりの傷まで拾えて渋い。曇天は階調がまとまり、雨上がりは石段と苔が艶めく。夕方の斜光は陰影が深く、モノクロも相性◎。高台ゆえ風が抜け、雲の動きが早い日ほど空も主役になる。