正暦寺のモミジ

正暦寺のモミジは、「錦の里」と呼ばれる山あいの寺の谷筋を埋める紅葉で、本堂周辺から渓流沿いまで斜面一面が赤や橙、黄のグラデーションに染まります。石橋や苔むした石垣、三重塔を前景に入れつつ、色づいた枝を額縁のように使えば、奥行きのある秋の寺院風景に。晴天の日は逆光で葉を透かし、曇天の日はしっとりした色の深みを楽しめます。落葉が進んだ頃には、参道の石段に降り積もる紅葉の絨毯をローアングルから狙うと、静寂に包まれた晩秋の空気まで写し込めます。流れにかかる散り紅葉や、苔むした石に乗った一枚の葉など、小さなディテールにも目を向けると、華やかな全景とは対照的な静かな秋の断片を丁寧に描写できます。