神代杉

奈良の山中に残る神代杉は、参道や社叢の奥で静かに佇むことが多く、苔むした足元とねじれた幹がつくる造形美が被写体として魅力です。根元から広角レンズで見上げると、複雑に分かれた枝が空を覆い、樹冠へ収束する遠近感がダイナミックな構図を生み出します。薄曇りの日は幹や苔のディテールがしっとりと浮かび上がり、モノクロ仕上げとも好相性。早朝の霧や小雨を狙えば、背景が自然に整理され、神域らしい静けさと時間の重なりを写真に封じ込めることができます。杉の根元に置かれた小さな祠や石仏を添えれば、物語性も一気に高まります。