シオジ原生林(日田市前津江町柚木)

大分の山中に残るシオジ原生林は、九州では貴重な冷温帯の森で、すらりと伸びたシオジの幹と足元のシダや苔が織りなす、しっとりとした緑の世界が広がります。雨上がりには葉に付いた水滴が光を受けてきらめき、PLフィルターで反射を抑えると、深い緑色がいっそう引き立ちます。林内の細い山道を人物シルエットとともに入れれば、スケール感のある森のポートレートに。沢筋では流れの音を聞きながら、岩越しに見える木立や差し込む光芒を狙うと、九州とは思えない涼やかな空気感まで写し込めます。夏の猛暑日でもひんやりした空気が残りやすく、広角と中望遠を持ち替えながら、九州とは思えない涼やかな森の表情を撮り比べたくなります。