第82番札所　根香寺

四国八十八箇所・第82番。五色台の森に沈むように建ち、参道は杉と楓のトンネルで、光が落ちた階調が美しい。秋は紅葉の名所で、曇天でも赤が沈まず、雨上がりは石段が黒く締まる。広角で参道の消失点を作り、標準で本堂と回廊の直線、望遠で灯籠の欠けや扁額の刻字、マクロで苔と落ち葉の水滴を拾うと密度が増す。冬は葉が落ちて建物の輪郭が読みやすく、朝の斜光で瓦の重なりがくっきり。門前の静けさに合わせ、露出を少し抑えて影を残すと“山寺の深さ”が写真に残る。巡礼者の白装束を小さく入れると時間の流れが見え、鐘の音が響く瞬間は手持ちでも空気が写りやすい。