平家ヶ岳

平家ヶ岳は岩国市と周南市の境に立つ標高約1080mの山で、平家落人伝説にちなむ地名が残る静かな縦走路の一角を担う。山頂周辺はなだらかな草原と灌木帯が広がり、天気の良い日は十方山や寂地山など西中国山地のピークが連なって見える。春はミツバツツジや新緑、夏は積雲と深い緑、秋は紅葉とススキが逆光で輝き、冬は残雪と枯れ木がシンプルな造形を作る。広角で稜線のうねりと空をのびやかに切り取り、望遠で重なる山並みや谷の陰影を圧縮すると、秘境感のある一枚に仕上がる。伝承に思いを馳せながら構図を組むと物語性も増す。