上時国家

能登半島の上時国家は、庄屋級を超える巨大な茅葺き屋根と長い土間、広い座敷を備えた旧家で、外観だけでも圧倒的なボリューム感があります。広角で正面から構えると屋根の大きさが強調され、少し斜めに回り込めば長く伸びる軒と石垣、庭木がリズム良く並びます。室内では黒光りした梁と囲炉裏、農具や船道具を中望遠で丁寧に追うと、北前船で栄えた家の記憶が静かに浮かび上がります。周囲の棚田や日本海を背景に小さく入れれば、海と田畑に支えられた暮らしのスケールまで伝わります。冬の雪景色も格別で、白い屋根と暗い土間の対比がドラマチックです。