薬師寺東塔

薬師寺東塔は「凍れる音楽」と称される三重塔で、層ごとの屋根と裳階のリズムが望遠レンズで圧縮すると格別に映えます。朝は東側からの光で白い垂木がきりりと浮かび、夕方には西塔との色味の違いが柔らかく馴染みます。塔単体のシルエットだけでなく、回廊や金堂を前景に入れて高さを強調すると、伽藍全体のスケール感が画面に乗ります。雨上がりは瓦がしっとり黒く締まり、モノクロ仕上げにも耐える力強い一枚になります。遠景だけでなく、足元の石や苔、参拝者の動きも少し入れておくと、あとで写真を並べたときに場所の記憶が立体的によみがえり、撮影記録としても作品としても使いやすくなります。