龍雲寺(浜田市三隅町芦谷)

山陰の谷あいに佇む三隅の龍雲寺は、杉林と苔むした石段、しっとりした瓦屋根が“湿度のある写真”向き。日本海からの湿った空気が上がってくる曇天や小雨の日こそ本領発揮で、木と石の階調が豊かに出る。広角で参道をローアングルに構え、奥の本堂へ視線を導きたい。境内脇の小川や石橋を前景に置くと、山里の空気ごと写せる。望遠で屋根瓦の苔、石仏の欠け、風に揺れる杉の枝先を寄れば、静かな時間がぎゅっと詰まった一枚になる。冬の薄雪も似合う。