鈴木家住宅（静岡県浜松市）

浜松市浜名区引佐町に残る国指定重要文化財の民家。主屋の脇に釜屋を棟方向を変えて隣接させ、2棟の間に雨樋を渡して一体の生活空間にする「釜屋建」が最大の見どころです。茅葺の厚み、煙で黒く締まった梁、土間と板間の境目など、素材が全部フォトジェニック。新緑は屋根の稜線が軽やかに、雨上がりは茅の艶が深く、冬の低い斜光は凹凸と影がくっきり。朝は障子越しの柔光が室内に回り、人物を小さく入れると家のスケールが伝わります。広角でL字の構成を押さえ、標準〜中望遠で樋・継ぎ手・囲炉裏まわりの手触りを丁寧に。音を立てずに撮るほど空気が写る。