長塚節生家

小説『土』で知られる歌人・作家、長塚節の生家。瓦葺の長屋門をくぐると、南向きの茅葺主屋と書院が広がり、庭園や竹林まで含めて“農村の骨格”がそのまま残る。縁側に差す朝の光は畳と梁の陰影を柔らかく描き、雨上がりは茅の色が深く締まって渋い。35mmで建物と庭の関係を整理し、50mm〜中望遠で障子越しの光、木目の擦れ、土間の質感を拾うと節の写生精神に近づける。夏は緑、冬は低い日差しで室内がドラマチック。静かに歩いて“生活の気配”を撮りたい。周辺の田畑や歌碑も合わせれば、作品世界が一枚でつながる。夕景も良い。