室生山暖地性シダ群落

奈良県宇陀市の室生山暖地性シダ群落は、室生寺五重塔から御影堂へ向かう山肌一帯に広がる国指定天然記念物で、イヨクジャクやイワヤシダ、オオバノハチジョウシダなど暖地性シダが密生する貴重な森です。スギ林の薄暗い林床を埋め尽くす羽状の葉は、光の当たり方で表情が大きく変化し、斜面上から見下ろすと緑の波のように重なって見えます。石段や朱塗りの欄干を前景に、奥へ続くシダの層を広角で捉えれば、寺と森が一体になった神秘的な一枚に。雨上がりには葉に乗った水滴がきらめき、ディープグリーンの世界がいっそう際立ちます。苔むした石段や杉の幹と組み合わせれば、時間の層まで感じられる奥深いカットになります。