大谷本廟

大谷本廟は、石段が連なる参道と広がる墓域がつくる独特の静けさが魅力で、被写体は“形”より“空気”。早朝は人が少なく、斜光が石のテクスチャを浮かび上がらせる。雨上がりは濡れた石が黒く締まり、しっとりした階調に。秋は木々の色が控えめな彩りを添え、夕暮れは灯りが点々と浮かんで幻想的。石段の踊り場から見下ろすと幾何学的な反復が強調され、広角が効く。夕方以降は光量が落ちるので三脚か手ぶれ補正があると安心。望遠で燈籠や刻字、線香の煙を切り取ると時間が写り込む。墓石の並びは斜めに切るとパターンが強まり、モノクロにもよく似合う。