善名寺

善名寺は静岡郊外の住宅地に寄り添うように建つ小さな寺で、控えめな山門と本堂、境内の植栽が“暮らしの中の信仰”を感じさせる被写体です。春は柔らかな新緑と花、夏は濃い影と青空、秋は紅葉と落ち葉のレイヤー、冬は澄んだ光と枯れ色がそれぞれ画面のトーンを変えます。35mm前後で境内全体の余白を残しつつ押さえ、中望遠で地蔵や石仏、賽銭箱の擦れた木目を丁寧に切り取ると温度のある写真に。雨上がりには苔と石畳がしっとり発色するので、低いアングルから見上げて背景の住宅をぼかせば、静かな時間だけをフレームに閉じ込めることができます。