仏殿（建長寺）

建長寺の仏殿は、重厚な屋根と太い柱が生む量感が主役で、前庭の広がりを含めて“空気の抜け”をどう使うかがポイントです。広角で手前の石畳を大きく入れ、仏殿をやや小さめに置くと奥行きのある構図に。中望遠では屋根の反りや瓦の反復、格子の影を丁寧に切り取ると建築写真としても成立します。晴天は空の青と木々の緑が力強く、曇天や雨上がりは木材の階調が柔らかく出て渋い仕上がりに。朝夕の斜光は柱の丸みを浮かび上がらせ、青い時間には灯りが窓から漏れてきます。参拝者を小さく入れてスケール感を示し、最後に手水や香炉の煙で“祈りの温度”を添えたい堂です。