小城のブナ原生林

小城のブナ原生林は、香美町小城集落の背後、標高七百〜八百メートルの北斜面に約四ヘクタール、三千本ものブナが広がる県指定天然記念物の森です。代表木は樹高二〇メートル、幹囲三・五メートルにも達し、うねるような幹と曲がりくねった枝が急斜面を覆っています。新緑の頃は透ける若葉がつくる緑の天井が美しく、落ち葉の季節は足元の黄葉が一面の絨毯に。広角で見上げれば幹の収束線が強調され、霧や雪の日には背景が整理されて、森そのものが集落を守る巨大な盾のように写し出されます。沢沿いでは苔むした倒木や岩も被写体となり、ローアングルの構図がよく映えます。