コンパクトカメラの出荷が7年ぶりに増加!メーカー別のコンデジ紹介

コンパクトカメラの出荷が7年ぶりに増加!メーカー別のコンデジ紹介

カメラ映像機器工業会の公開データにより「コンパクトカメラ(コンデジ)の国内出荷が7年ぶりに増加」したことが判明しました。一度はスマホの台頭により下火になったコンデジが、勢いを再度集め始めています。そんなコンデジのトレンド状況からメーカー別の主要なコンデジ内容をまとめました。

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みんカメ編集部
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この記事のサマリー

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2024年のレンズ一体型(日本向け)出荷は43万8,886台・前年比112.0%で、2017年以来7年ぶりの増加。

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スマホの進化で便利さに置き換えられたコンデジは、Z世代のY2K・K-POPカルチャーやレトロ志向を背景に再注目

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新製品はRICOH GR IV、Nikon COOLPIX P1100、Canon PowerShot V1など、スマホで届かない体験を提示。

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スマホとの役割分担、スナップ/旅行/動画の実用設定、購入前チェックの要点を具体化。

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選定軸は「単焦点×大型センサー」か「高倍率ズーム」。AF/転送/電源の実機確認を推奨。

出荷増の事実を手早く把握する

2024年の日本国内向けのレンズ一体型カメラ(=コンデジ)の出荷は約43.9万台で前年超えということが分かります。報道でも「7年ぶりのプラス」が取り上げられ、店頭でも売り場拡大や新機種投入が進みました。

国内43.9万台というライン

業界統計のCIPA年計(2024年)によると、レンズ一体型デジタルカメラの日本向け出荷は438,886台(前年比112.0%)でした。金額ベースでも前年比127.1%と伸びており、単価も上昇しています。

また読売新聞オンラインでも、量販カメラ売り場では問い合わせや相談が増加している旨が伝えられています。

店頭とメーカーの動き

店頭では高倍率ズームや高級コンデジのタッチ&トライが増え、棚割りの拡充や在庫手当を強める動きが見られます。旅行需要の回復やSNS投稿の活況も追い風です。

メーカー側も新機種を投入。2025年にはRICOH GR IV、Nikon COOLPIX P1100、Canon PowerShot V1などが正式発表・発売され、「スマホで届かない体験」を各社が提示しています。

なぜコンデジは急激に衰退したのか

2010年前後にピークを迎えた「レンズ一体型(コンデジ)」は、スマートフォンの高性能化と“撮影→編集→共有”が同じ端末内で完結する体験に置き換えられ、需要が急速に縮小しました。CIPAベースの集計では、レンズ一体型の世界出荷は2010年の約1億900万台から2023年には約170万台へと落ち込み、桁違いの縮小を示しています。

低価格帯コンデジはスマホの計算写真(ナイトモード、ポートレート、HDR合成)に画質面でも迫られ、さらにアプリとの連携やSNS即時投稿の利便性で決定的な差がつきました。ユーザー側も「携帯必須のスマホで十分」という認識に傾き、買い替え動機が消失。

加えて、カメラ側の成熟で“スペック進化=体験の飛躍”が実感しにくくなり、アップグレード需要が鈍化したことも市場縮小に拍車をかけました。

なぜ今、コンデジ人気が再び増加してきたのか

反転の芽は「スマホでは出しにくい絵づくり」と「レトロ回帰」の二つ。Z世代を中心にY2K美学や“デジカメらしいフラッシュの質感”が見直され、K-POPアイドルやインフルエンサーの発信が拡散力を持って需要を刺激しました。その象徴がFUJIFILM X100シリーズのバイラル化で、TikTokでの人気が世界的な品薄と価格高騰、同社イメージング事業の追い風につながったと報じられています。

一方でメーカー側も“スマホの外側”を提案する製品投入を加速させ、大型センサーの高級コンデジや超望遠ズーム、Vlog特化モデルなど、用途特化で存在意義を明確化しました。

審美性と体験の差別化(ノイズ感・フラッシュ・操作系)+ポップカルチャーの後押し+用途特化という3つの要素が合わせり、市場の“戻り”を生んできています。

スマホとコンデジの役割分担を決める

スマホは“いつも持っているカメラ”。コンデジは“撮るための道具”。この役割を先に決めておくと、機種選びも設定も迷いません。ズーム・センサー・操作性の3軸で、どちらを主役にするかをシーンごとに割り振ると実用的です。

光学ズームと撮って出し

遠距離の被写体を大きく歪み少なく写すのは光学ズームの仕事。運動会やライブ、野鳥撮影では高倍率ズームのコンデジが有利です。JPEGの色づくりはメーカーごとの特徴が出るため、現像せずSNSに即投下しやすいのも利点です。

スマホは広角・超広角やAI補正で“均一にきれい”を得意とします。ただし遠距離のディテールや自然なボケは物理レンズの優位が残ります。旅では「広角はスマホ、望遠はコンデジ」と割り切ると装備が軽くなります。

操作性と集中力

撮影専用機の強さは物理ダイヤルやシャッターフィーリングにあります。露出やWBを直感的に追い込みやすく、結果として歩留まりが上がります。通知が来ないことも集中力の面でメリットです。

スマホの利便性は高いからこそ、“ここはカメラで撮る”という基準を定めましょう。被写体・距離・光を見て、コンデジに出番を作る——この前提が満足度を左右します。

いま注目のタイプと代表機の傾向

コンデジ内でも売れ筋の傾向は大きく二つ。単焦点×大型センサーの“スナップ系”と、高倍率ズームの“ユーティリティ系”です。どちらに自分のニーズが寄っているかを先に決めると機種が絞れます。

単焦点・大型センサー系

スナップ主体なら起動が速く描写の厚い単焦点コンデジが強力。焦点距離は28mm前後が街、35mm前後が人物寄りに最適。一方でEVFの有無は好みが分かれます。

人物中心ならボディ内手ブレ補正の有無やAFの人物認識に注目。肌の出方や階調は各社で差があるため、店頭のJPEG撮って出しを比較して選ぶのが確実です。

高倍率ズーム・望遠特化

旅行や行事、スポーツ観戦では“寄れること”が正義。光学40倍(24–960mm相当)のPowerShot SX740 HSは、同ランキング(2025年9月上期)で2位に入り、スマホでは届かない望遠域を小型ボディでカバーします。

さらに望遠を重視するなら、24–3000mm相当(光学125倍)のNikon COOLPIX P1100という選択も。手ブレ補正(デュアル検知光学VR)を備え超望遠を支援しますが、3000mm相当では三脚や一脚の併用を前提にすると安定します。

メーカー別の主要コンデジ 要点ガイド

メーカー名

代表機

特徴

キヤノン(Canon)

PowerShot V1 / PowerShot SX740 HS

V1は4K60p対応の動画特化型。SX740 HSは24–960mm相当の光学40倍ズームを搭載し、旅行や行事で幅広く使える万能型。

ソニー(Sony)

RX100 VII / ZV-1 II

RX100 VIIは1型センサー×24–200mmで高画質スナップ向け。ZV-1 IIは18–50mm広角ズーム+自撮り対応のVlog特化機。

富士フイルム(Fujifilm)

X100VI

APS-Cセンサー+23mm F2の固定レンズで高画質スナップを実現。ボディ内手ブレ補正とフィルムシミュレーションが特徴。

リコー(RICOH)

GR IV

新レンズ・新センサーを採用した28mm相当F2.8スナップ機。ボディ内手ブレ補正と高速起動が強み。

ニコン(Nikon)

COOLPIX P1100

24–3000mm相当(光学125倍)ズーム搭載。Dual Detect Optical VRによる手ブレ補正で超望遠撮影に強い。

パナソニック(Panasonic)

LUMIX ZS200D(TZ200系)

1型センサー+15倍ズーム(24–360mm)を実現。EVFと4Kフォト搭載で旅行用途に最適。

OM SYSTEM(旧オリンパス)

Tough TG-7

防水15m・耐落下2.1m・耐荷重100kgfのタフネス構造。水中・マクロ撮影にも対応しアウトドア向け。

ライカ(Leica)

D-Lux 8

4/3型センサー+24–75mm F1.7–2.8の大口径ズーム。高品位デザインとDNG RAW対応で高画質志向ユーザーに人気。

キヤノンのコンデジ特徴

キヤノンは「PowerShot V1」で動画志向の新ラインを展開し、4K60p撮影やデュアルピクセルCMOS AF IIによる高速追従を特徴とします。従来の写真用途だけでなく、配信やVlogの需要も意識した構成で、スマホからのステップアップに適しています。旅撮影向けには光学40倍の「PowerShot SX740 HS」がロングセラーを継続。広角24mmから望遠960mmまで一本でカバーし、持ち運びやすさと描写力のバランスが取れた万能型モデルです。

ソニーのコンデジ特徴

ソニーは1型センサー搭載の「RX100 VII」で高画質コンパクトの代名詞を維持しつつ、動画向けに「ZV-1 II」などのVLOGCAMシリーズを展開。ZV-1 IIは18–50mmの広角ズームと自撮り対応モニターを備え、軽量ながらクリエイティブルック機能で映像表現を手軽に楽しめる構成です。RX100シリーズは静止画・動画の両面で完成度が高く、特に旅行や街スナップで定評があります。

富士フイルムのコンデジ特徴

富士フイルムはAPS-Cセンサーを搭載した「X100VI」を中核とし、23mm F2レンズとボディ内手ブレ補正を備えた高画質スナップ機に進化させました。クラシッククロームなどのフィルムシミュレーションも健在で、撮って出しでも作品性の高い色再現を実現。構図づくりや露出操作の感触を楽しめる“撮る喜び”を重視する層に支持されています。

リコーのコンデジ特徴

リコーの「GR IV」は新レンズ・新センサー・新エンジンを採用した最新世代で、28mm相当F2.8の描写力にボディ内手ブレ補正を加えた意欲作です。電源オンからの立ち上がりが速く、街角の瞬間を切り取るスナップ用途に最適。専用アプリ「GR WORLD」による共有機能も整い、撮影から投稿までの導線がよりスムーズになりました。

ニコンのコンデジ特徴

ニコンは125倍ズームを誇る「COOLPIX P1100」を投入。24–3000mm相当の焦点域とデュアル検知光学VRによる手ブレ補正で、野鳥・天体・航空機などの遠距離撮影を支援します。4K動画やバードモードなども装備し、三脚を併用すればスマホでは不可能な超望遠表現が可能です。

パナソニックのコンデジ特徴

パナソニックの「LUMIX ZS200D(TZ200系)」は、1型センサーと24–360mm相当の15倍ズームを両立。EVFや4Kフォトを備え、旅先でも軽快に高品質撮影ができる実用モデルです。携行性と多用途性を重視するトラベラーに根強い人気があります。

OM SYSTEMのコンデジ特徴

OM SYSTEMは防水・耐衝撃に特化した「Tough TG-7」でタフネス路線を継続。防水15m・耐落下2.1mの堅牢性に加え、顕微鏡モードや水中モードを搭載。アウトドアや現場撮影など、環境を問わない堅実な記録機として信頼されています。

ライカのコンデジ特徴

ライカの「D-Lux 8」は、4/3型センサーと24–75mm相当のF1.7–2.8レンズを組み合わせた高級コンパクト。DNG RAW対応と新デザインUIにより操作性が向上し、クラシカルな外観と最新技術を両立。日常スナップからイベントまで、質感描写を重視する層に向いた一台です。

動画でも活きるコンデジの使い方

Vlog需要の伸びで、可動モニターや高品位マイクを備えた“動画寄りコンデジ”も増えました。静止画と同様、事前設計が品質の安定に直結します。

自撮りと移動撮影

画角は18〜24mm相当が扱いやすく、顔の歪みも少なめ。手ブレ補正は“ブースト”より“標準+歩き方最適化”の方が破綻が少ない場面が多いです。露出はシャッター速度=1/(フレームレート×2)を基準に組み立てます。

NDフィルターがあると屋外で速度を守れます。音声はウインドジャマー必須。記録は高ビットレートを優先し、編集耐性を確保しましょう。

音と色の管理

内蔵マイクは風切りに弱いので、小型ショットガンやワイヤレスを検討。レベルは−12dB付近でピークを回避。モニター用イヤホンで常時確認すると安心です。

色は“標準プロファイル+軽いLUT”が効率的。WBは固定で色ズレを防ぎ、ログ撮影は運用ハードルを見極めてから導入します。

おすすめ設定①:色づくりは“少ない操作”で決める

撮って出し前提なら、プロファイル・WB・コントラストの三点で十分に差が出ます。迷いを減らすミニマム設定を用意しましょう。

プロファイルの選択

人物が多いなら“標準+彩度−1”、街や自然は“ナチュラル寄り+コントラスト−1”が扱いやすい起点です。肌は露出側で整えると破綻が少なく、全体の質感も保てます。

好みの色が決まったらマイメニュー保存。機種を跨いでも近い調子を再現でき、SNSのトーンも揃えやすくなります。

WBとトーンの整え方

屋外は晴天固定、屋内は電球/蛍光固定で色ブレを防止。混在光はケルビン指定で素早く寄せるのが実務的です。逆光はシャドウを少し持ち上げて情報量を残します。

ノイズが気になる場面は、わずかに明るめに撮って後で抑える運用が有効。JPEG運用でも緩めのトーンカーブ設定をメモリーしておくと救済幅が広がります。

おすすめ設定②:スマホ連携で“撮った日”に仕上げる

“当日出し”は最強の振り返り。転送・選別・共有のルーチンを固定化し、作業を短時間で回す仕組みを作りましょう。

転送とバックアップ

移動中に自動転送しクラウドへ二重化。RAW+JPEGならSNSはJPEG、作品はRAW現像の分業が効率的です。アルバム名は「日付+場所」で統一すると検索性が高まります。

長期旅行ではポータブルSSDに逐次バックアップ。SDは“日付ごとロック”運用で誤消去を予防。帰宅後は評価付け→年別フォルダへ整理します。

SNS最適化の小ワザ

縦構図は3:4、横構図は4:5トリミングが多くのSNSで見栄え良好。被写体の視線方向に余白を残し、テキストは画面下1/3以内に収めます。

動画は最初の3秒で状況説明。環境音を活かすと臨場感が増し、テロップは必要最小限にとどめて視線を被写体へ誘導します。

メンテナンスと中古活用で“長くうまく”使う

コンデジは“使ってナンボ”。日常のケアと買い足し方を押さえれば、コストを抑えながら良い道具に育ちます。

日常ケアと故障予防

外装はマイクロファイバーで乾拭き。ズーム機は前玉の粉塵をエアで飛ばしてから軽く拭きます。海や砂場ではポーチ携行、撮影後は早めに清掃。雨天時は簡易レインカバーが有効です。

ファーム更新でAFや安定性が改善する例は多いため、公式情報を定期確認。SDの定期フォーマットで書き込み不調を予防し、バッテリーは20〜80%帯で保管します。

中古の上手な選び方

中古は付属品と外観で価格が変わります。元箱・充電器・ケーブルの有無を確認し、スレや加水分解痕は避けたい要素。シャッター回数が見える機種は必ずチェック。

人気機はリセールが強く買い替え戦略を描きやすいです。

まとめ

コンパクトカメラの国内出荷は2024年に43.9万台で増加へ転じ、量販店ランキングにも存在感が戻っています。いまは「スマホで足りない体験を一点突破」という視点が実用的。単焦点×大型センサーか、高倍率ズームかをまず決めて自分に合うコンデジを見つけましょう。撮った日は自動転送まで仕組み化して、スマホとは違いを感じる画質でのSNS投稿が楽しめます。


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