尾瀬沼

尾瀬沼は標高1660mの高原にたたずむ静寂の湖で、湖畔を取り巻く湿原と背後にそびえる燧ヶ岳の鏡映がフォトグラファーを魅了する。春のミズバショウ、初夏のワタスゲ、盛夏のニッコウキスゲ、秋の草紅葉と、木道沿いに次々と現れる季節の植物が被写体を彩り、早朝には朝霧が湖面を覆い幻想的。車両規制で人工光が少ないため、山小屋泊で星空と湖面反射を狙う長時間露光が可能。静かな水面にカヌーが滑る瞬間や、逆さ燧ヶ岳と紅く色づく空を同時に収めれば、自然の息づかいを閉じ込めた一枚になる。木道のクランクや木橋を前景に入れることで奥行きが生まれ、広角レンズの伸びやかな描写が際立つ。