佐藤家住宅（新潟県魚沼市）

佐藤家住宅は魚沼の雪国らしい重厚な古民家で、太い梁や囲炉裏の煤けた黒、土間の暗さが写真の主役になります。冬は積雪が屋根線を丸くし、白と木のコントラストが際立つ季節。春は芽吹き、夏は田の緑、秋は稲穂と夕光が似合います。障子越しの柔光で木目の階調を残し、雨上がりは濡れた庭石が反射板に。縁側から庭を額縁にして撮れば余白が生まれ、雪の足跡や落ち葉を前景に置くと季節感が濃くなります。夕方の斜光は柱の影を伸ばし、モノクロでも渋く決まります。広角で間の連なり、望遠で金具や道具の擦れを切り取れば、“暮らしの時間”が立ち上がります。