明徳稲荷神社

ビルの谷間に朱が差し込む都会の稲荷は、古い信仰と現在の速度が同居する被写体。小さな鳥居の反復をローアングルで狙うと、狭さが逆に奥行きになる。雨の日は路面の反射に赤が溶け、ネオンや車の光が“背景の筆”になるので長秒が効く。標準〜中望遠で狐像の表情、奉納札の文字、鈴緒の繊維を丁寧に。昼は硬い影がグラフィカル、夕方〜ブルーアワーは点光源が増えて映画っぽい。人通りは流して、神域だけを残すと都会の静けさが写る。初詣シーズンは提灯の赤がさらに強く、冬の乾いた空気で輪郭が締まる。露出は朱の飽和に注意し、ハイライト優先で撮ると階調が残る。