小菅修船場跡

港を見下ろす斜面に石積みの滑り台状ドックが残り、鉄のレールや巻揚げ設備の名残が“船を陸へ引き上げた力”を想像させる産業遺構。曇天は素材の階調が素直で、夕方の斜光は石の目地と錆のエッジを彫る。雨上がりは煉瓦・石・鉄が一段深い色になり、質感が最高。広角で斜面のラインを強調し、標準〜望遠で鋲、歪んだ金具、苔の乗った石肌を切り取ると締まる。ブルーアワーは港の灯りが背景に点在し映画的。潮風でレンズが汚れやすいので拭き取り必携、水平を丁寧に整えると幾何学が映える。斜面は強いパースが出るので、ローアングルでレールを前景に置くと奥行きが伸びる。日中は人を避け、長秒で雲や船影を流すと静けさが戻る。