海福寺梵鐘

寺域の静けさに溶ける青銅の梵鐘は、緑青のムラと鋳肌のざらつきが最大の被写体。鐘楼の影が落ちる午前は銘や乳の陰影が立ち、薄曇りは金属の階調が滑らか。雨上がりは水滴が縁に残り、ハイライトが点々と光って絵になる。50mmで全体の端正さ、85mmで刻字の掠れ、マクロで欠けや苔を拾い、背景の木漏れ日を大きくぼかすと“音の余韻”が写る。夕方は色温度が上がり、銅が深く沈むので露出は控えめに。秋は落ち葉の赤茶が相性良く、冬は空気が澄んで輪郭が締まる。鐘の真下から見上げて円の縁を対角線に置くと迫力が出る。暗い境内では手ブレ対策も忘れずに。