熊川宿

熊川河畔に延びる旧鯖街道の宿場町は、白壁と舟板張りが続く町家、石畳の掘割、水車小屋など江戸の面影が色濃く残る。朝の柔光では格子戸に映る木漏れ日、夕暮れには瓦屋根が茜色に染まり、提灯の灯が水面に揺れる情緒を写せる。春は八重桜と町並み、秋は紅葉と茅葺き酒蔵、冬は雪化粧と水墨画のような景観が広がり、着物モデルを配置すればタイムスリップ感が際立つ。毎秋開催される灯籠まつりでは通りに並ぶ行灯が柔らかな光で石畳を照らし、長秒露光で光跡を伸ばすと幻想的。熊川番所跡や資料館の土蔵は室内撮影も許可されており、往時の文書や古道具を活かした静物写真にも挑戦できる。