乙姫桜

乙姫桜は、白河市・妙関寺の境内に立つ樹齢約四百年の紅しだれ桜で、伊達政宗から譲られた苗木が育ったとの伝承を持つ、市指定天然記念物です。濃いピンク色の花が枝いっぱいに咲き、満開時には本堂の屋根を包み込むようなボリューム感に。夕刻の逆光で花弁を透かすと、乙姫の名にふさわしい艶やかな色が浮かび上がります。石段や山門、参拝客の傘を前景に入れれば寺の歴史も感じられ、夜間ライトアップでは闇に浮かぶ枝ぶりを長秒露光で幻想的に描きたくなる一本桜です。満開の時期には花びらが石畳を薄紅色に染め、足元に広がる花の絨毯も合わせて撮ると、物語の一場面のような画になります。