
コンデジ フルサイズ完全比較 ソニーRX1R IIIの実力とライカQ3との違い




フルサイズセンサー搭載のコンパクトデジタルカメラは、スマホや一般的なコンデジでは物足りなくなってきた人にとって良いステップアップ先です。ただし、ソニーやライカなど限られたメーカーしか出しておらず、フルサイズのコンデジ比較は迷いやすいジャンルでもあります。この記事ではフルサイズコンデジの選び方から、メーカー別・用途別のおすすめ機種、使い分けまで、実際に使うシーンをイメージしながら整理していきます。
この記事のサマリー

フルサイズのコンデジ は「画質優先のスナップ・旅カメラ」と割り切ると選びやすくなります。

ソニーのコンデジフルサイズの中心はRX1シリーズで、軽さと最新AFが強みです。

ライカQシリーズは28mm一本勝負のプレミアム路線で、作品撮りや街スナップに最適です。

ツァイス ZX1はLightroom内蔵という独特なワークフローを持ち、「撮る〜仕上げる」を一台で完結できます。

ニコン・キヤノンはフルサイズコンデジを出していないため、小型フルサイズミラーレスとの比較で検討するのがおすすめです。
フルサイズコンデジとは?スマホ・一般的なコンデジとの違い

まずはコンデジのフルサイズと呼ばれるカメラがどんなポジションにあるのか整理しておきましょう。フルサイズセンサーを搭載しつつレンズ一体型で、持ち歩きやすさも重視したカメラを指すことが多いです。スマホの手軽さと一眼レフ級の画質を両立したい人に向けた、かなりニッチだけれど魅力の強いジャンルと言えます。
フルサイズセンサーが生む立体感と高感度耐性
一般的なコンデジのセンサーは1型や1/2.3型が多く、センサー面積はフルサイズの数分の一程度です。センサーが大きいほど一画素あたりが受け取る光の量が増え、暗い場所でもノイズが少なく、階調の滑らかな写真に仕上がります。夜の街スナップや室内撮影で差が出やすいポイントです。
フルサイズはボケ量も段違いで、同じF値・画角でも背景を大きくぼかして被写体を浮き上がらせることができます。家族写真やポートレートで「スマホとは違う一枚」に仕上げたいなら、このセンサーサイズの恩恵はかなり大きいです。
フルサイズとは何かの解説はこちらで詳しくしています。
レンズ一体型ならではのメリットと制約
フルサイズのコンデジはレンズ交換ができない代わりに、ボディとレンズが最初からセットになっています。メーカーがセンサーとレンズの組み合わせを最適化しているため、開放から高い解像力を引き出しやすく、周辺画質も安定しやすいのが特徴です。レンズ沼に悩まされず、「この一本と付き合う」と決められる気楽さもあります。
その一方で、焦点距離は基本的に固定です。ソニーRX1シリーズは35mm単焦点、ライカQシリーズは28mm単焦点というように、自分の撮りたい画角に合っていないと使いづらく感じてしまいます。購入前にスマホやズームレンズで28mm・35mmを意識して撮ってみて、しっくりくる方を選ぶと後悔しにくいでしょう。
価格帯と市場の位置づけを理解しておく
フルサイズセンサーと大口径レンズをコンパクトボディに詰め込んでいるぶん、価格はどうしても高めになります。ライカQ3は新品で90万円前後、ソニーRX1R IIIも60万円台と、一般的なコンデジとは別世界の価格帯です。
そのため何でもこなす万能機ではなく、作品撮りやスナップのための一本勝負カメラとして位置づけると納得しやすくなります。メイン機のフルサイズミラーレスを持ちつつ、日常の散歩や旅行専用にコンデジ フルサイズを持つという使い方も多いです。
フルサイズコンデジの選び方|3つの軸で整理する

どのフルサイズコンデジも高性能なので、スペック表を眺めているだけでは決めきれません。そこで、「撮影シーン」「サイズ・重量」「予算」の3つの軸で候補を絞ると、フルサイズコンデジの比較が一気にしやすくなります。ここで方向性を決めておくと、後半の具体的な機種選びもスムーズです。
撮影シーンと焦点距離の相性を見る
フルサイズコンデジの多くは28mmまたは35mmの単焦点レンズを採用しています。街スナップや風景を広く切り取りたいなら28mm寄りのライカQシリーズ、人物中心で自然な距離感を大事にするなら35mmのソニーRX1シリーズがマッチしやすいでしょう。
旅行で何でも撮りたい人は、広角寄りの28mmのほうが建物や風景をダイナミックに捉えやすいです。一方でテーブルフォトやポートレートが中心なら、35mmのほうが背景を整理しやすく、被写体との距離感も取りやすくなります。
サイズ・重量と持ち歩き方
同じコンデジ フルサイズでも、RX1R IIIは約500g弱、ライカQ3は約740gと、実際に持つと差を感じる重さです。毎日バッグに入れて持ち歩きたいなら500g前後までに抑えた方が快適で、休日だけ専用カバンで持ち出すスタイルなら多少重くても問題ありません。
グリップの深さやボディの厚みもチェックしたいポイントです。RX1シリーズは手のひらサイズながら握りやすく、片手撮影もしやすい設計。ライカQシリーズはやや大柄ですが、そのぶんホールド感が高く、安定した構図でじっくり撮りたい人に向いています。
予算と新品・中古のバランス
新品のフルサイズコンデジは高額なので、中古市場を視野に入れるかどうかも重要です。たとえばRX1R IIやライカQ2は発売から年数が経っており、中古なら新品より大幅に安い価格で見つかることもあります。
一方で、防塵防滴やAF性能、動画機能などは新しい世代ほど使いやすく進化しています。予算をどこまで出せるかに加え、描写重視で中古の名機を狙うか、快適さ重視で最新機に投資するかを決めておくと、候補がぐっと絞れてきます。
コンデジ フルサイズの比較早見表
代表的なフルサイズコンデジの比較概要です。ここからは各メーカーの考え方、各機材の紹介をしていきます。
製品名 | センサー・画素数 | レンズ | 特徴サマリ |
|---|---|---|---|
SONY RX1R III | フルサイズ / 約6100万画素 | 35mm F2(ZEISS Sonnar T*) | 61MP×35mm F2の“ポケットのα7R”。最新AFと約498gの軽さが武器。 |
Leica Q3 | フルサイズ / 約6030万画素 | 28mm F1.7 SUMMILUX ASPH. | 28mm×60MP、IP52相当&チルト液晶で旅と作品撮りを両立。 |
Leica Q2 | フルサイズ / 約4730万画素 | 28mm F1.7 SUMMILUX ASPH. | 28mm×47MP。軽快操作と堅牢ボディのバランス型。 |
Leica Q2 Monochrom | フルサイズ(モノクロ専用) / 約4730万画素 | 28mm F1.7 SUMMILUX ASPH. | モノクロ専用47MP。階調と粒状感を深く追求できる一台。 |
ZEISS ZX1 | フルサイズ / 約3740万画素 | 35mm F2 Distagon | Lightroom内蔵+512GB SSDで撮影〜現像〜共有が“一台完結”(生産終了)。 |
価格とコストパフォーマンスの捉え方
価格だけを見ると、どのモデルも高すぎると感じるかもしれません。ただ、フルサイズセンサー+大口径単焦点レンズ+高級な造りを考えると、単体レンズとフルサイズボディを別々に買うより割安になるケースもあります。特にRX1Rシリーズは35mm F2のツァイスレンズを含むセットと考えると、納得感が増すはずです。
ライカQ3やQ2 Monochromはブランド価値やリセールバリューも含めて考えるべき存在で、中古市場での価格の落ちにくさも特徴です。単純なスペックだけでなく、「何年くらい使うつもりか」「将来売る可能性があるか」まで含めてコスパを考えると、選択肢の見え方が変わってきます。
ソニーのフルサイズコンデジ戦略|RX1シリーズの立ち位置
ソニーのコンデジ フルサイズといえば、真っ先に名前が上がるのがRX1シリーズです。世界初のフルサイズコンデジとして生まれた初代RX1から、RX1R、RX1R II、最新のRX1R IIIへと進化しつつ、「手のひらサイズのフルサイズ」というコンセプトを一貫して守っています。
RX1R IIIは「最新のセンサーとAF」を凝縮した一台
RX1R IIIは、約6100万画素のフルサイズセンサーと最新のBIONZ XRエンジンを搭載し、ソニーの高画素機α7Rシリーズに匹敵する解像力をコンデジサイズで実現しています。AFも被写体認識に対応し、人や動物の瞳をしっかり追いかけてくれるので、街スナップから家族写真まで安心して任せられます。
レンズは歴代共通のZEISS Sonnar T* 35mm F2。設計を変えずにセンサーやエンジンを刷新してきたことで、描写のキャラクターはそのままに、解像感やAF・動画性能だけが着実にアップしています。35mm一本で撮り続けたい人には、とても贅沢な選択肢と言えるでしょう。
ソニーαシリーズとの使い分け方
ソニーはフルサイズミラーレスのαシリーズも充実しており、「小さなα7C + 小型単焦点」と「RX1R III」で悩む人も多いです。レンズ交換の自由度を優先するならαシリーズ、コンパクトさとレンズ一体型ならではの描写を優先するならRX1Rシリーズが向いています。
両方駆使する場合はαシリーズをメイン機にして仕事や本気撮影に使い、RX1R IIIを「休日専用機」「旅専用機」として持つスタイルが相性抜群です。ボディやメニュー構成が似ているため操作も迷いにくく、ソニーの色づくりが好きな人にとってはベストな組み合わせになります。
ソニーのフルサイズコンデジが向いているユーザー像
RX1シリーズは、画質を最優先しつつも荷物を増やしたくない人にぴったりです。特に、作品撮りもこなすスナップシューターや、街中を歩き回るフォトウォーカーとの相性が良いでしょう。高解像データからトリミングして構図を追い込みたい人にも向いています。
逆に、ズームレンズの便利さを手放せない人や、動画撮影を本格的に行いたい人は、α7シリーズやZVシリーズなど別ラインを選んだほうが幸せになれます。自分の撮影スタイルをよく思い返し、「35mm一本でどれだけ楽しめそうか」をイメージしてから判断するのがポイントです。
ソニー RX1R III|最高画質をポケットサイズで持ち歩く

ここからは具体的な製品ごとに見ていきます。まずはソニーRX1シリーズの最新モデル、RX1R III。有効約6100万画素・35mm F2という組み合わせを、約500g弱のボディに収めたフルサイズコンデジの代表格です。
項目 | 値 |
|---|---|
製品名 | SONY サイバーショット RX1R III(DSC‑RX1RM3) |
発売日 | 2025年8月8日 |
センサーサイズ | フルサイズ(35mm判) |
有効画素数 | 約6,100万画素 |
ISO感度 | 静止画:ISO 100–32,000(拡張:ISO 50–102,400) |
シャッタースピード | メカ:30–1/4,000秒/電子:30–1/8,000秒 |
本体重量(バッテリー込み) | 約498g |
みんなのカメラ 作例ページ |
街スナップでわかる解像力とボケのバランス
RX1R IIIを手にしてまず感じるのは、35mmという画角の扱いやすさです。人との距離感を保ちつつ背景も自然に入れられ、街角の何気ないシーンをドラマチックに切り取れます。F2開放では背景が柔らかく溶け、少し絞れば隅々までシャープに写るので、シーンに応じて表現を変えやすいのも魅力です。
高画素センサーのおかげで、撮影後に大胆にトリミングしても解像感が大きく落ちにくく、50mm相当のクロップでポートレート、70mm相当でディテールカットを作るなど、一台で複数の画角を楽しめます。単焦点ながら、実際の使い勝手は「高画素×クロップズーム付きの多焦点カメラ」に近い感覚です。
旅行カメラとしての相性と注意点
旅行に持ち出すと、RX1R IIIの真価がさらに見えてきます。大型フルサイズセンサーと高感度耐性により、夜の路地や薄暗いレストランでもISOを上げすぎずに撮影でき、手持ちでブレを抑えつつ雰囲気ある写真を残せます。ボディもジャケットのポケットや小さめのショルダーバッグに収まるサイズで、常に携帯しやすいのが嬉しいところです。
一方で、ボディ内手ブレ補正がない点は覚えておきたいポイントです。シャッター速度が落ちるシーンでは、ISO感度を積極的に上げるか、壁やテーブルに押し当ててカメラを固定するなどの工夫が必要になります。旅行先では小型のテーブル三脚や一脚を一緒に持っていくと安心です。
動画・Vlog用途でどこまで使えるか
RX1R IIIは静止画主体のカメラですが、4K動画やログ撮影など基本的な動画機能は備えています。風景や旅の記録を短くまとめる程度なら十分なクオリティで撮影できるでしょう。35mmという画角は歩き撮りにも扱いやすく、少し腕を伸ばせば自撮りもギリギリ可能です。
ただし、モニターの可動範囲や手ブレ補正、マイク端子などを考えると、本格的なVlog用途にはZV-E1やα7C IIのほうが適しています。あくまで写真がメインで、たまに短い動画も撮る程度という人にとって、RX1R IIIは「静止画優先のフルサイズコンデジ」と捉えるとちょうど良いバランスになります。
ライカQ3|28mm一本で作品づくりを楽しむフルサイズコンデジ

ライカQ3は、有効約6030万画素のフルサイズセンサーと28mm F1.7の大口径レンズを搭載したプレミアムコンデジです。防塵防滴ボディと高精細EVF、8K動画対応など、プロユースも視野に入れた仕様で、28mm一本勝負で世界を切り取りたい人に向いています。
項目 | 値 |
|---|---|
製品名 | Leica Q3 |
発売日 | 2023年6月3日 |
センサーサイズ | フルサイズ(35mm判) |
有効画素数 | 約6,030万画素 |
ISO感度 | マニュアル:ISO 50–100,000(オート:ISO 100–100,000) |
シャッタースピード | メカ:120秒–1/2,000秒/電子:1–1/16,000秒 |
本体重量(バッテリー込み) | 約743g |
みんなのカメラ 作例ページ |
28mmだからこそ撮れる街と風景の奥行き
28mmという画角は、最初は広すぎると感じるかもしれません。慣れてくると、手前に大きな被写体を置きつつ奥行きを活かした構図が自然に見えてきて、街並みや建築、旅先の広い風景をダイナミックに表現できます。F1.7の明るさを活かせば、近距離の被写体だけを大きくぼかす表現も可能です。
Q3はデジタルクロップにより35mmや50mm、75mm相当の画角も選べるため、実用上は複数の単焦点を持っている感覚に近くなります。画素数に余裕があるので、クロップしても十分な解像度が残り、大判プリントにも耐えられるのが心強いポイントです。
AF・動画・操作性のバランス
Q3では像面位相差AFが採用され、前世代のQ2と比べてピント合わせのスピードと追従性が大きく向上しました。動きのある被写体でも、従来より安心して追い続けられます。背面モニターがチルト可動になったことで、ローアングルやハイアングルの撮影もかなりやりやすくなりました。
動画は最大8Kまで対応し、H.265やApple ProResにも対応するなど、映像制作の現場も意識したスペックになっています。とはいえ、ライカQ3の魅力はやはり静止画中心にじっくり構えて撮るスタイルにあります。物理ダイヤルの操作感やシャッター音も含めて、「撮る時間」そのものを楽しみたい人にはたまらない一台です。
Q2や初代Qとの違いと選び方
中古市場まで視野に入れるなら、Q2や初代Qも候補に入ってきます。Q2は有効約4730万画素で、防塵防滴や操作系はQ3に近く、価格もこなれてきているためバランスの良い選択肢です。初代Qは画素数こそ控えめですが、描写傾向が好みというファンも多く、コストを抑えつつライカの世界に触れたい人には魅力的でしょう。
Q3はAFや動画、接続性など現代的な便利さが欲しい人向け。純粋にスチルとライカらしい描写を楽しみたいだけなら、Q2や初代Qでも満足度は高いはずです。予算と必要な機能を整理して、自分にとって無理のない一台を選ぶのが長く付き合うコツです。
ライカQ2/Q2 Monochrom|中古で狙いやすいライカの入口
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ライカQ2は、Q3登場後に中古価格が落ち着き始めたことで、ライカデビューの現実的な選択肢として注目されています。また、モノクロ専用のQ2 Monochromも、写真表現にこだわりたいユーザーから根強い支持を集めるフルサイズコンデジです。
項目 | 値 |
|---|---|
製品名 | Leica Q2 |
発売日 | 2019年3月7日 |
センサーサイズ | フルサイズ(35mm判) |
有効画素数 | 約4,730万画素 |
ISO感度 | ISO 50–50,000 |
シャッタースピード | メカ:60秒–1/2,000秒/電子:1–1/40,000秒 |
本体重量(バッテリー込み) | 約734g |
みんなのカメラ 作例ページ |
Q2のバランスの良さと魅力
Q2は有効約4730万画素のフルサイズセンサーと28mm F1.7レンズを搭載し、Q3ほどの超高画素ではないものの、十分な解像度と扱いやすいファイルサイズのバランスが取れています。防塵防滴仕様で、雨や埃の多い環境でも安心して持ち出せるのもポイントです。
AFや動画性能はQ3ほど高機能ではありませんが、スチル中心であれば大きな不満は出にくいでしょう。中古価格が新型より大幅に抑えられることを考えると、「ライカの描写と質感を手頃に味わいたい」というニーズには非常にフィットします。
モノクロ専用機Q2 Monochromを選ぶ意味
Q2 Monochromは、センサー段階でカラーフィルターを排除し、モノクロ専用として設計されたフルサイズコンデジです。カラー情報を持たないぶん解像感や階調が豊かで、同じシーンでも通常のQ2とはまったく違う世界が写ります。
カラー写真が撮れないという制約はありますが、その縛りこそが光と影に集中させてくれるスイッチになります。日常のスナップも、モノクロだと「作品」としてのまとまりが出やすく、写真表現を一段深く掘り下げたい人には抜群の相性です。
Q3と迷ったときの判断基準
Q3とQ2/Q2 Monochromで迷ったときは、「AF性能・動画・接続性」と「価格・描写のキャラクター」のどちらを優先するかが分かれ目になります。最新のAFや8K動画、チルトモニターなどを重視するならQ3一択です。
一方で、作品づくり中心でじっくり撮りたいだけなら、Q2やQ2 Monochromのほうが価格面で現実的で、じっくり付き合えるカメラになりやすいでしょう。ライカの世界を一歩踏み込んでみたい人は、自分の表現スタイルに近い方を選ぶのがおすすめです。
ツァイス ZX1|Lightroom内蔵という異色のフルサイズコンデジ
ツァイス ZX1は、35mm F2レンズと約3740万画素のフルサイズセンサーに加え、Adobe Lightroomを内蔵したユニークなフルサイズコンデジです。カメラ単体で撮影から現像、SNSやクラウドへのアップロードまで完結できる設計で、「カメラにスマホ機能を足した」ようなコンセプトが特徴です。なおZX1は2023年に生産終了となっており、新品はごく一部の在庫に限られ、中古市場が中心になっています。
項目 | 値 |
|---|---|
製品名 | ZEISS ZX1 |
発売 | 2020年10月(米・独で出荷開始)※2023年に生産終了 |
センサーサイズ | フルサイズ(35mm判) |
有効画素数 | 約3,740万画素 |
ISO感度 | ISO 80–51,200 |
シャッタースピード | 30秒–1/2,000秒(資料により差異あり) |
本体重量(バッテリー込み) | 約800g前後 |
撮ってその場で仕上げるワークフロー
ZX1最大の魅力は、背面の大型タッチモニターでLightroomを直接操作できることです。撮影直後にトーンカーブや彩度、シャープネスを追い込み、そのままWi-Fi経由でSNSやDropboxへアップロードできます。
ノートPCを持ち歩かなくても、カメラだけで「撮る→選ぶ→仕上げる→共有する」までを完結させたい人には理想的なスタイルです。出張や短期旅行など、荷物を極力減らしたいシーンでも力を発揮します。
操作感とサイズ感のリアルなところ
ZX1は機能的には魅力的ですが、ボディサイズは比較的大きく、重量も約800gとコンデジとしてはヘビー級です。グリップは握りやすいものの、片手で長時間構えると疲れやすく、ストラップやカメラバッグは必須になります。
物理ダイヤル類は必要最低限に抑えられており、多くの操作をタッチパネル経由で行うスタイルです。スマホに慣れている人には直感的ですが、ダイヤル操作の感触を重視するユーザーには少し物足りなさを感じるかもしれません。
ZX1を選ぶ人・選ばない人
ZX1は、「カメラ単体で完結するワークフロー」に価値を感じるかどうかで評価が大きく分かれます。LightroomやAdobe Creative Cloudとの連携を念頭に設計されているため、クラウド連携を多用する人には非常に快適です。一方で、サブスクリプションを契約しなくてもカメラ内での基本的なRAW現像や基本調整は行えます。
逆に、PCでじっくりRAW現像する派や、シンプルな操作体系を好む人にはややオーバースペックで扱いづらいかもしれません。ツァイスレンズの描写に惹かれ、かつクラウドベースの写真管理に馴染んでいるユーザー向けの、かなり尖ったフルサイズコンデジと言えるでしょう。
ニコン・キヤノンユーザーはどうする?フルサイズミラーレスとの比較
ニコンやキヤノンEOS Rシリーズでコンデジのフルサイズを探そうとしても、実はニコン・キヤノンからはフルサイズコンデジが出ていません。そのかわり、小型フルサイズミラーレスと薄型単焦点レンズの組み合わせで、かなりコンデジに近い運用ができます。
ニコンZシリーズをコンデジ的に使う
ニコンはフルサイズ/FXフォーマットのミラーレスとしてZシリーズを展開しており、その中でもZ fやZ5は比較的コンパクトなボディで人気があります。Z fはクラシックなデザインと最新のEXPEED 7エンジンを組み合わせたモデルで、見た目も所有欲をくすぐる一台です。
NIKKOR Z 28mm f/2.8やNIKKOR Z 40mm f/2のような小型単焦点を合わせれば、実質フルサイズコンデジ的な使い方が可能です。レンズ交換の自由度も残しつつ、日常スナップから旅行まで軽快に持ち出せるセットになるでしょう。
キヤノンEOS Rシリーズの軽量ボディという選択
キヤノンもフルサイズコンデジは出していませんが、EOS RPやEOS R8といった軽量フルサイズミラーレスがあります。RF35mm F1.8 MACRO IS STMなどの小型レンズと組み合わせると、重量面ではフルサイズコンデジにかなり近づきます。
キヤノン特有の色づくりやデュアルピクセルCMOS AFの粘り強い追従性能を活かしつつ、コンパクトなシステムを組みたい人にはこのアプローチが現実的です。既にRFレンズを複数持っているユーザーなら、改めてコンデジ フルサイズを追加するよりも総合的な満足度が高くなるケースも多いです。
シグマfpシリーズという抜け道
シグマはフルサイズコンデジを出していないものの、SIGMA fp / fp Lという超小型フルサイズミラーレスを展開しています。Lマウントの小型レンズと組み合わせれば、ポケットに入るフルサイズミラーレスとしてコンデジに近い使い勝手を実現できます。
動画機としても優秀で、シネマDNGやRAW動画記録にも対応するなど、映像制作寄りの特徴も豊富です。レンズ一体型へのこだわりがなければ、「小型フルサイズミラーレス+単焦点」でコンデジ フルサイズの代わりとするのも十分現実的な選択肢です。
用途別おすすめ|スナップ・旅行・ポートレートで選ぶフルサイズコンデジ
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ここまで紹介してきた機種を、「何を撮るか」という視点で並べ替えてみましょう。同じフルサイズコンデジでも、スナップ寄り、旅行寄り、ポートレート寄りなど得意分野がはっきり分かれます。自分の撮影スタイルを思い浮かべながら読んでみてください。
街スナップ・日常スナップに向く機種
街歩きや日常のスナップには、ソニーRX1R IIIとライカQシリーズが双璧です。35mm好きならRX1R III、28mmで奥行き感のあるスナップを狙いたいならQ3やQ2が相性抜群でしょう。どちらもボディの立ち上がりが速く、決定的瞬間を逃しにくいレスポンスを備えています。
シャッター音の静かさもポイントで、ライカQシリーズは特に街中でも周囲の空気を乱しにくく、静かな場所での撮影にも向いています。スナップ好きなら、まずこの2シリーズのどちらかを基準に考えると失敗が少ないはずです。
旅行・旅スナップに向く機種
旅行では、軽さとバッテリー持ちが重要です。重量面ではRX1R IIIが有利で、500gを切るボディは一日中持ち歩いても疲れにくいです。高感度耐性も高いので、夜景や室内でも安心して手持ち撮影ができます。
一方で、ライカQ3は防塵防滴ボディと堅牢な作りが魅力で、少々ハードな環境でも心配なく持ち出せます。荷物を最小限にしたいミニマルな旅ならRX1R III、多少重くても作品クオリティ重視ならQ3、という分け方が現実的です。
ポートレート・作品撮りに向く機種
ポートレートや作品撮りを重視するなら、ライカQ2 MonochromやQ3が強力な選択肢になります。Q2 Monochromはモノクロ専用ならではの階調の豊かさで、光の向きや質を意識した撮影にぴったりです。
カラー作品を高解像で残したいなら、6030万画素のQ3か6100万画素のRX1R IIIが候補になります。焦点距離の好みと、ライカらしい味のある描写かソニーのキレのある解像かという絵作りの違いで選び分けると、自分に合った一本が見えてきます。
コンデジ フルサイズのまとめ
コンデジ フルサイズは、スマホや一般的なコンデジでは得られない立体感ある描写を、小さなボディで実現してくれる貴重なジャンルです。ソニーRX1シリーズ、ライカQシリーズ、ツァイスZX1それぞれに個性があり、どれも「これ一台で撮り歩きたい」と思わせる魅力を持っています。まずは自分がよく撮るシーンと好きな画角を整理し、気になるモデルを1〜2台に絞り込んでみましょう。可能であればレンタルや店頭で実機を試し、その手触りやシャッター音、ファインダー越しの世界がしっくり来るか確かめてください。気持ちよく連れ出せる一台と出会えれば、日常の何気ない景色も、これまでよりずっと撮りたくなるはずです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
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