旧下田邸書院及び庭園

旧下田邸書院及び庭園は、書院造の座敷と池泉回遊の庭が一体となった静謐な和の空間。障子越しの柔らかな光と畳、苔の築山、石灯籠が織りなす陰影は、低い位置からの額縁構図で端正にまとまる。新緑は瑞々しく、紅葉は水面に揺らぎ、雨の日は苔と石の階調が際立つ。露出ブラケットで室内外の明暗差を丁寧に整え、庭の飛び石や橋をリーディングラインに置けば、奥行きと時間の流れが表現できる。欄間の意匠や障子の桟、石組の苔の粒立ちをマクロで拾うと、引きの全景と響き合う密度が生まれる。三脚が使えない場面も多いので、高感度と息止めで手持ちのブレを抑えつつ、静けさを乱さない動線でゆっくり構図を探したい。