広兼邸

山腹に積まれた石垣と古屋敷のシルエットが圧倒的で、引きの一枚だけで物語が立つ。広角で石垣の段差を前景に置き、家を小さく頂点に据えると高さと距離が伝わる。石のラインを斜めに走らせると画面が動き、望遠で石の欠けや苔の粒、崩れた面を寄って拾うと密度が跳ねる。雨上がりや霧は苔の緑が深く、曇天は渋いトーンで世界観が固まる。夕景は影が伸び、ブルーアワーは家の輪郭が浮く。人物を点景にするとスケールが一発で伝わり、モノクロなら石の階調がさらに強い。新緑の季節は影が深く立体感が出やすい。遠景を少し入れて“孤立感”を強めたい。