
キヤノン映像機が一斉強化 EOS C400/C70/R5 Cなどファームウェア更新





プロ現場の不満は、だいたい「撮れない」より「回らない」から始まります。納品フォーマットが横だけだった時代は終わり、縦・横・SNS・シネマ…一本の撮影から派生する“使い回し”が当たり前になった今、撮影後の判断スピードや再生チェックの快適さが、制作全体のコストを左右します。そんな空気を読んだかのように、キヤノンが EOS C400 / C80 / C70 / EOS R5 C / XF605に向けてファームウェアを公開。目玉はC400のフルフレーム3:2(オープンゲート系)追加ですが、実は「再生・モニタリング・操作系」の積み上げも相当デカい。どこが変わり、誰が得をするアップデートなのか—編集部目線で整理します。
この記事のサマリー

EOS C400にFull Frame 3:2追加。再生・操作系も一斉強化の最新ファームウェア更新。

C70/R5 Cは再生View Assistと表示拡充が効く。撮影後チェックが速くなる更新。

CINE-SERVO対応やOpenLensIO設定も追加。メタデータ運用まで見据えた内容。
FWの概要:“今回上がったのは解像度じゃなく運用効率”

今回の更新を一言でまとめるなら、「新しい記録方式を増やしつつ、現場の手数を減らす」です。EOS C400はセンサーモードにFull Frame 3:2が加わり、RAW 6000×4000での記録が可能に(CFexpress記録)。さらにプロキシもSDへ同時記録できる仕様が明記されています。
一方で、C80/C70/R5 Cは“派手な新モード”よりも、再生時のView Assistや表示情報、ピーキングの見え方といったチェック作業のストレスを削る方向に寄っています。
EOS C400の「Full Frame 3:2」追加は、なぜニュースなのか
オープンゲート(=センサーをできるだけ全面に近い形で使う)系の記録は、単に“縦横どっちも作れる”だけではありません。C400ではFull Frame 3:2の追加により RAW 6000×4000 が選択肢に入り、後工程で16:9/9:16/1:1などへ切り出す自由度が増します。しかもプロキシも用意され、編集や共有までの初速を上げやすくなります。
この流れ自体が、いま映像界隈で「オープンゲートが熱い話題」とされている背景とも重なります。業界メディアも、C400への3:2オープンゲート追加を“当然のアップデート”として取り上げています。
再生が強くなる=現場が速くなる(C400/C70はLUT切替も)
地味に見えて、現場で効くのがここ。
EOS C400は再生時に適用するLUTを変更可能になりました。
EOS C70も同様に、再生時LUT変更が明記されています。
これが何を意味するか。たとえば同じ素材でも、クライアント確認用は少し明るめ、監督用はコントラスト強めと、見せたい意図が違うことは普通です。撮影後にいちいち外部モニター側で調整するより、カメラ内再生でサクッと切り替えられるのは、段取りの短縮に直結します。さらに、C80/C70/R5 Cでは再生時のView Assistを適用・調整可能に。
ピーキングの見え方・ボタン割当・ジョイスティック——“手の感覚”が改善される
今回、複数機種に共通して効くのが操作系の改善です。
- フォーカスピーキングの最適化:高感度時のノイズがピーキングに干渉しにくい方向へ。暗所・高ISOでのマニュアルフォーカス確認が安定しやすくなります。
- ボタン割当の拡張(C400/C80):Tele-converter(x1.5〜x3.0)、被写体検出(人物/動物)、AFフレーム種、Frame.io upload等が割当候補に追加。
- ジョイスティックAF枠移動のレスポンス改善(C400/C80):初動が速くなる、と明記されています。
撮影現場ではスペック値よりも“指の移動”で時間を失うことは多いでしょう。ボタン割当が増えるほど、メニュー階層を潜る回数が減り、撮影の集中が途切れにくい。これは効く人には確実に効きます。
CINE-SERVO対応とOpenLensIO—メタデータが“素材価値”になる
EOS C400/C80/C70/R5 Cでは、CINE-SERVO「CN5x11 IAS T/R1(RF)」に関する対応が明記され、C400/C80ではPL版「CN5x11 IAS T/P1」も含めて互換が追加されています。
ポイントは、単に「動きます」じゃなく、焦点距離・T値・レンズ名などのメタデータ、さらにはT値表示まで踏み込んでいること。さらにC400/C80では、通信設定メニューが追加され OpenLensIO-Equiv. Model を選択できるとされています。
VFXやバーチャルプロダクションの現場では、レンズ由来の情報が後工程の精度を左右します。“撮れた”だけで終わらず、素材に付随するデータまで整える方向にキヤノンが舵を切っている、と読めます。加えて、Look File登録時にdescriptionを参照し、Custom Picture設定へ反映できる点も、運用の丁寧さが出ています(現場でLUT/Lookが増えるほど、管理が地獄になるので)。
XF605は“放送・運用のリアル”に刺す更新
XF605はカムコーダーらしく、撮影体験の詰まりどころを狙っています。ズームリング終端での挙動を改善する Zoom Ring End Response、三脚時にISを一時停止できる Auto IS Off Using Tripod は、まさに運用の悩みどころに直撃。
さらにDISP Level 2の表示情報追加、再生終了後に「最後のフレーム/インデックス」を選べるなど、現場の確認動線が改善されています。 そして注意点として、公式に「一度最新にすると前バージョンへ戻せない」「更新後に設定がリセットされるため事前保存推奨」といった記載もあります。ここは軽視しないでください。
誰が今すぐ更新すべき?
最後に、判断の目安を短く。
- EOS C400:縦横マルチ納品やリフレーミングが多い人は、Full Frame 3:2が刺さる。再生LUT切替も現場向き。
- EOS C70 / R5 C / C80:ログ運用で「再生チェックが遅い」「ピーキングが荒れる」「表示が欲しい」人ほど恩恵。
- CINE-SERVO運用やメタデータ重視:対応項目が具体的に書かれているので、該当レンズユーザーは要チェック。
- XF605:ズーム操作や三脚運用が多いほど効果が出やすい。更新後は戻せない点も含め計画的に。
それぞれのダウンロードページはこちらから
対象機種 | ダウンロードURL |
|---|---|
EOS C400 | |
EOS C80 | |
EOS C70 | |
EOS R5 C | |
XF605 |
キヤノン映像機の一斉ファームウェア更新のまとめ
今回の一斉ファームウェア更新は、スペック表を塗り替える“派手な新機能”より、撮影から確認、共有までの流れを短くするアップデートです。EOS C400のFull Frame 3:2追加は大きなニュースですが、それだけじゃない。View Assist、再生LUT、ピーキング、表示、割当、ジョイスティック、メタデータ…積み上げの総量が、現場の生産性を底上げします。
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