高月山

愛媛の高月山は、宇和島市と鬼北町にまたがる鬼ヶ城山系の最高峰。標高1,200m級の山とは思えないほど静かで、ブナやミズナラの森と花崗岩の露岩がひっそり佇む。山頂部は樹林に囲まれるが、尾根の一部からは四国西南の山並みや足摺宇和海国立公園の海を遠望できる。春はシャクナゲや新緑、夏はガスの流れ、秋は深い紅葉が主役。広角で苔むした倒木や岩を前景に置き、望遠で稜線の重なりを圧縮すると奥行きが生まれる。薄曇りの日はPLを弱めにして幹の階調を丁寧に拾い、しっとりとした山の質感を生かしたい。残雪期は斜面に残る雪のラインを導線に使うと、早春らしい冷たい空気感も表現できる。