大國魂神社(府中市宮町)

武蔵国の総社として府中の中心に鎮座し、参道の欅並木が都会の光を柔らかく受け止める。広角で大鳥居から随神門へ伸びる直線を強調し、低い位置から見上げると緑の天井が効く。標準で拝殿の端正な屋根、望遠で絵馬の筆跡や鈴緒の繊維、手水の水紋を切り取って。祭礼期は提灯が夜の玉ボケになり、雨上がりは玉砂利と石畳が鏡に。新緑の透過光、秋の黄葉、冬の澄んだ陰影まで、季節ごとに“東京の古社”らしい渋さが出る。早朝は人が少なくシンメトリーが決まり、夕景は参道灯が点景になる。モノクロにすると木と石の階調が際立つ。低速で人を流すのも◎。