
実例付きでわかる車写真の撮り方 昼・夜・流し撮り・2台撮影のコツ
愛車を撮ったのに「実物より車が細長く見える」「黒い車が真っ黒につぶれる」「白い車の反射が飛んで質感がなくなる」「周囲の建物や電柱が目立ち、車より背景に目がいく」と感じたことはないでしょうか。車の写真は、光の当たり方や反射、撮影する位置や画角、構図の整え方を少し意識するだけで、見た目の印象が大きく変わります。この記事では、スマホや一眼レフ・ミラーレスでの車の写真をクラスアップさせられるコツから、夜景での撮影、流し撮り、車2台をバランスよく並べて撮る構図まで、初心者にも分かりやすく解説します。
この記事のサマリー

車写真は、車との距離、光の向き、背景の水平・垂直を整えると、車体の形や立体感を自然に見せやすくなる

スマホ・iPhoneでは、少し離れてズームを使い、露出補正やAE/AFロックで白飛びや黒つぶれを抑えるのがおすすめ

夜の撮影では、車と夜景のどちらを主役にするかを決め、露出と手ブレを意識すると仕上がりが安定する

一眼レフ・ミラーレスでは、撮影シーンに応じてAv・Tv・Mを使い分け、走行車にはAF-Cと連写を組み合わせる

車2台を撮るときは、主役を決めて前後差をつけるか、高さ・向き・タイヤ角をそろえると、まとまりのある構図になる
車写真をうまく撮る3つのコツ:距離・光・構図

車はサイズが大きく、金属やガラスなど光を反射しやすい素材が多いため、撮影する位置や光の向きによって見え方が大きく変わります。まず意識したいのは、車に近づき過ぎないこと、ボディの形が分かる光を選ぶこと、背景の水平・垂直を整えることの3点です。これらを押さえると、スマホでも一眼レフ・ミラーレスでも、車の形を自然に見せやすくなります。
なお、撮影場所を選ぶ際は、公道や商業施設の駐車場、私有地など、それぞれの利用ルールを事前に確認しましょう。三脚を使用できるか、車を停めてもよい場所か、歩行者やほかの車の通行を妨げないかも確認が必要です。写真をSNSなどで公開する場合は、ナンバープレートや周囲の人物、店舗名、住宅などが写っていないかを確認し、必要に応じてトリミングやぼかしで処理しましょう。

距離:近づき過ぎると車の形が不自然に見える
車に近づいて広角で撮ると、カメラに近い部分が大きく、遠い部分が小さく写ります。そのため、フロントだけが大きく見えたり、車体が実際より細長く見えたりすることがあります。これはレンズの性能だけでなく、撮影距離によって遠近感が強調されることが主な原因です。
車の形を自然に見せたい場合は、いったん車から離れ、少し望遠寄りで撮影しましょう。スマホでも、1倍のまま近づくより、少し離れて2倍前後で撮るほうが、フロントとリアの大きさの差を抑えやすくなります。ただし、スマホの機種やズーム倍率によっては画質が低下するため、ズームだけに頼らず、撮影する位置も調整することが大切です。
なお、スポーツカーなどの力強さを強調したい場合は、あえて広角で近づき、低い位置から撮る方法もあります。車の形を正確に見せたいのか、迫力を出したいのかを決めたうえで、撮影距離と画角を選びましょう。
光:露出でボディの色と質感を整える
車の写真では、ボディに反射する光と影の残り方によって、塗装のツヤや曲面の見え方が変わります。ただし、自動露出では、黒い車は実際より明るく、白い車は実際より暗く補正されることがあります。一方、強い反射がある場面では、白い車の明るい部分が白飛びしたり、黒い車の影が黒くつぶれたりするため、撮影画面を見ながら露出を調整することが大切です。
スマホやiPhoneでは、撮影画面の明るさを調整して、ボディの白飛びや黒つぶれを抑えましょう。白い車や光を強く反射する車は、明るさを少し下げると塗装のツヤや細かな陰影が残りやすくなります。黒い車が暗くつぶれている場合は、ボディの形が分かる範囲で少し明るく調整します。
一眼レフ・ミラーレスでは、露出補正や測光モードを使って明るさを調整できます。車体の色や形をはっきり見せたいのか、背景や夜景の雰囲気を残したいのかを先に決め、その主役に合わせて露出を設定すると、仕上がりを整えやすくなります。
構図:7:3構図と水平・垂直を意識すると車がきれいに見える
車の写真では、「7:3構図(側面7:前面3)」がよく使われます。フロントのデザインとサイドのボディラインをバランスよく見せやすく、車の立体感や全体の形が伝わりやすい角度です。真正面は迫力が出る一方で車の長さが伝わりにくく、真横は全体の形は分かりやすいものの、フロントの表情が見えにくくなります。
構図とあわせて意識したいのが、背景の水平・垂直です。建物や電柱、地平線、駐車場のラインが少し傾くだけでも、写真全体が不安定な印象になります。スマホでも一眼レフ・ミラーレスでも、グリッド線を表示して背景の縦横を整えてから撮影すると、車がすっきり見えやすくなります。
また、同じ場所でも撮影する高さや立ち位置、車との距離を少し変えるだけで印象は大きく変わります。目線の高さやローアングルを試したり、左右へ数歩移動したりしながら何枚か撮り比べると、自分の愛車が最もきれいに見える角度を見つけやすくなります。
昼の車写真:光の方向・高さ・背景を意識する
日中は十分な明るさがあるため撮りやすく見えますが、車の塗装やガラスは周囲の光を強く反射します。光の当たり方によっては、ボディの凹凸が分かりにくくなったり、一部の反射が白く目立ったりすることがあります。また、周囲の車や電柱、建物が目立つと、車の存在感が弱くなります。
そのため、昼の撮影では、光が当たる方向を確認し、カメラの高さや撮影する角度を変えて、ボディの曲面やラインが見える位置を探しましょう。背景に余計なものが写っていないかも確認し、必要に応じて左右へ移動したり、車との距離を変えたりします。こうした工夫は、スマホ・iPhone、一眼レフ・ミラーレスのどの機材でも効果があります。
順光・斜光・逆光で車の見え方は変わる

(※斜光がきれいに入っている例)
順光は、カメラの後ろから車へ光が当たる状態です。ボディカラーを明るくはっきり写しやすい一方で、影が少なくなるため、車体の曲面やラインが平らに見えることがあります。車の色や全体の形を分かりやすく見せたい場合に向いています。
ボディの立体感を出したい場合は、斜めから光が当たる場所を探しましょう。明るい部分と暗い部分ができることで、フェンダーやドア、ボンネットの曲面やラインが見えやすくなります。夕方の低い太陽や、薄い雲が広がる日は、強すぎない斜光を作りやすい条件です。
逆光では、車の後ろ側からカメラに向かって光が入るため、車体が暗く写りやすくなります。車の形をシルエットとして見せるのか、露出補正やHDRを使ってボディの色や形を見せるのかを、撮影前に決めておくことが大切です。どちらを優先するかを明確にすると、光の印象を活かした写真に仕上げやすくなります。
光の向き | 意味 | 車の見え方 | おすすめの使い方 |
|---|---|---|---|
順光 | カメラの後ろから車に光が当たる | 色はきれいに出るが、立体感は弱くなりやすい | 車の色や全体の形を分かりやすく見せたいとき |
斜光 | 車に対して斜めから光が当たる | 明暗が付き、ボディの曲面やラインが際立つ | 愛車を立体的に、かっこよく見せたいとき(おすすめ) |
逆光 | 車の後ろからカメラに向かって光が当たる | 雰囲気は出るが、車体は暗く写りやすい | シルエットや夕景・夜景など、印象的な写真を撮りたいとき |
カメラの高さで車の印象を変える

(※やや低めの視点から自然に撮った例)
車を撮るときは、まずカメラの高さを変えて撮り比べてみましょう。低い位置から撮るローアングルでは、車体が大きく見え、タイヤやフロントまわりの力強さを強調できます。スポーツカーやSUVの迫力を出したいときに向いています。
目線に近い高さは、車全体のバランスを整えやすく、初心者にも撮りやすい位置です。車高の中央付近にカメラを構えると、屋根や路面のどちらかが写り過ぎるのを防ぎやすくなります。一方、高い位置から撮るハイアングルでは、ボンネットやルーフの形、2台を並べたときの配置を見せやすくなります。ただし、周囲の車や駐車場の線なども写りやすいため、背景を確認してから撮影しましょう。
ローアングルでは、しゃがんだ姿勢によってカメラが不安定になり、手ブレが起きやすくなります。スマホでも一眼レフ・ミラーレスでも、両手で構えて脇を締め、必要に応じてひじを膝に乗せたり、壁や柱を支えにしたりすると安定して撮影できます。
背景と写り込みを整えると車が引き立つ

(※背景をシンプルに整理した例)
車の写真では、背景の選び方も仕上がりに大きく影響します。電柱や標識、隣の車、ガードレールなどが車体の後ろに重なると、車より背景が目立ってしまうことがあります。撮影するときは左右へ少し移動して、電柱などが車体から生えて見えない位置を探すだけでも、写真がすっきりした印象になります。
また、車のボディは光を反射しやすいため、青空や木々、建物などがそのまま映り込みます。きれいな空や緑が映り込むと塗装のツヤが引き立ちますが、看板や電線などが映り込むと雑然とした印象になりやすくなります。背景だけでなく、ボディへの写り込みも確認しながら撮影場所を選ぶことが大切です。
背景を変えられない場合は、車全体ではなく一部分を切り取る構図もおすすめです。ヘッドライトやホイール、エンブレム、内装などに寄って撮ると、背景の影響を受けにくくなり、SNSでも印象に残る写真に仕上がります。
夜の車写真:露出・主役の決定・立体感を意識する
夜の車写真は、街灯やネオン、ヘッドライトなど明るい光源が多く、明るい部分と暗い部分の差が大きくなります。スマホやiPhoneではナイトモード、一眼レフ・ミラーレスではシャッター速度やISO感度を調整することで明るさを確保できますが、明るく撮ることだけを優先すると、白飛びや手ブレが目立つことがあります。
夜の撮影では、まず「車」と「夜景」のどちらを主役にするかを決め、そのうえで露出を調整しましょう。あわせて、カメラをしっかり固定して手ブレを防ぎ、街灯やネオンの反射を活かせる位置を選ぶことも重要です。これらを意識することで、スマホ・iPhone、一眼レフ・ミラーレスのどの機材でも、夜らしい雰囲気を残しながら車の質感も表現しやすくなります。
夜の車写真は「露出」と「ブレ」を意識する

(※ブレを抑えた例)
夜は光量が少ないため、スマホではナイトモードや暗所補正が働き、一眼レフ・ミラーレスではシャッター速度を遅くしたり、ISO感度を上げたりして明るさを確保します。静止した車を撮る場合は、これらの機能や設定を使うことで、車体のディテールや背景の明かりを写しやすくなります。
一方で、明るく写そうとするほどブレや白飛びのリスクも増えます。シャッターが切れるまでの時間が長くなると、通行人や通過する車のライトが伸びたり、風で揺れる木が不自然に写ったりすることがあります。車自体が止まっていても、周囲の動きによって写真が荒れた印象になることがあるため、交通量が少ない時間帯や、背景がシンプルな場所を選ぶと成功率が上がります。
夜の車撮影では、カメラやスマホを固定できるかどうかで仕上がりが大きく変わります。三脚が使える場所なら三脚を使い、使えない場所では脇を締める、壁や柱にもたれる、ひじを膝に乗せるなど、体を安定させて撮りましょう。シャッターを押す動作でもブレやすいので、スマホならセルフタイマー、一眼ならセルフタイマーやリモート撮影を使うのも有効です。
夜景と車のどちらを主役にするかで露出を決める

(※夜景を活かしながら車も見せた例)
夜の車撮影では、どこに明るさを合わせるかが重要です。夜景やネオンを基準にすると、周囲の雰囲気は残しやすくなりますが、車体の色や細部は暗く見えやすくなります。反対に車体を基準にすると、ボディの質感は表現しやすいものの、看板や街灯、ヘッドライトが白飛びすることがあります。
迷った場合は、同じ構図で明るさを変えて2枚撮る方法がおすすめです。1枚は夜景に合わせて少し暗めに、もう1枚は車体に合わせて少し明るめに撮ります。スマホやiPhoneでは画面上の明るさ調整、一眼レフ・ミラーレスでは露出補正やマニュアル露出を使うと、仕上がりの違いを比べやすくなります。
編集するときは、暗めに撮った写真のシャドウを少し明るくし、明るめに撮った写真はハイライトを下げて白飛びを抑えます。夜景と車体の両方を同じ明るさで見せようとするより、どちらを主役にするかを決めて露出を合わせるほうが、写真の意図が伝わりやすくなります。
車体の立体感は「光」と「反射」で変わる

(※斜めからの光で立体的に見せた例)
夜の車写真では、どこから光が当たっているかによって車の印象が大きく変わります。街灯が真上から当たる場所では、ボンネットやルーフだけが明るくなりやすく、ボディの曲面やラインが分かりにくくなることがあります。
車体を立体的に見せたい場合は、街灯や建物の照明が斜めから当たる位置を探しましょう。明るい部分と暗い部分ができることで、ボディの曲面やプレスラインが見えやすくなります。車を動かせる場所なら、少し位置を変えながら光の当たり方を確認すると、最もきれいに見える角度を見つけやすくなります。
また、夜はネオンや街灯がボディに映り込むことで写真の印象が変わります。きれいな反射は車のツヤや高級感を引き立てますが、強い照明や看板が映り込みすぎると、車の形が分かりにくくなることがあります。反射をなくそうとするのではなく、車のラインが自然に見える位置を選んで撮影すると、夜らしい雰囲気を活かした写真に仕上がります。
【補足】車内から夜景を撮るときは安全とブレに注意する
走行中の車内から夜景を撮る場合は、窓ガラスへの写り込みと車の振動によるブレに注意が必要です。スマホやカメラを窓に近づけると、室内灯や座席などの反射を減らしやすくなります。ただし、窓に直接押し当てると振動が伝わることがあるため、両手で構えて脇を締め、腕全体を安定させながら撮影しましょう。
移動している印象を出したい場合は、遠くの夜景だけでなく、街路樹やガードレール、道路沿いの照明など、近くを流れるものも画面に入れると効果的です。ダッシュボードや助手席の一部を控えめに写すと、車内から撮影したことも伝わりやすくなります。
なお、走行中の撮影は、必ず同乗者が安全な姿勢で行い、運転者はスマホやカメラを操作しないようにしましょう。
iPhone・スマホで車をきれいに撮るポイント

スマホやiPhoneは手軽に撮影できる一方で、広角レンズを採用している機種が多く、車に近づき過ぎるとフロントが大きく見えたり、車体が細長く見えたりすることがあります。また、自動露出のまま撮影すると、白い車は白飛びしやすく、黒い車は暗くつぶれやすい傾向があります。
車を自然なバランスで写すには、少し離れた位置から撮影し、必要に応じてズームを使って画角を調整するのがおすすめです。あわせて露出を調整し、ボディの質感やツヤを残すように撮ると、スマホでも完成度の高い車写真に仕上がります。
ズームは車の形と背景の見え方を整えるために使う
スマホでズームを使う目的は、車を大きく写すことだけではありません。少し離れた位置から2倍前後で撮ると、1倍で近づいて撮るよりも、フロントだけが大きく見えるのを抑えやすくなります。サイドのラインも自然に見え、車全体の形を整えやすくなります。
ただし、ズーム倍率を上げ過ぎると画質が低下したり、手ブレが目立ったりすることがあります。ズームを変更するときは、撮影する位置もあわせて調整しましょう。背景の山や建物を大きく見せたい場合は、少し離れて望遠寄りで撮影します。反対に、空や周囲の景色を広く入れたい場合は、広角寄りにして車との距離を調整します。
車全体を撮るときは、まず側面と前面が見える7:3程度の角度に立ち、車から数歩離れた位置で構えます。その後、半歩ずつ前後に移動しながら、車と背景の入り方を確認すると、バランスのよい構図を見つけやすくなります。
露出補正とAE/AFロックでボディの質感を残す
スマホで車を撮ると、ボディに反射した光が白飛びし、塗装のツヤや質感が分かりにくくなることがあります。特に白い車やメタリックカラーは、反射が強すぎると平面的に見えやすくなります。こうした場合は、画面の明るさを少し下げて撮影すると、ボディの陰影や色を残しやすくなります。
iPhoneでは、画面を長押しすると使えるAE/AFロック(ピントと明るさを固定する機能)が便利です。ヘッドライトやエンブレムなどにピントを合わせて固定し、その後に明るさを調整すると、撮影するたびに露出が大きく変わるのを防げます。逆光や夜景など、明るさの差が大きい場面ほど効果を実感しやすいでしょう。
HDR(明るい部分と暗い部分を合成して白飛びや黒つぶれを抑える機能)も役立ちますが、反射の多い車では立体感が弱く見えることがあります。まずは露出を適切に調整して撮影し、必要に応じてHDRや編集機能で明るさを整えると、自然な仕上がりになりやすくなります。
三脚がないときは体を固定して手ブレを防ぐ
ローアングルや夕方・夜の撮影では、カメラやスマホが動いて写真がぼやけやすくなります。手ブレを防ぐには、まず両手でスマホを持ち、脇を締めて構えましょう。画面を操作するときも腕や体を大きく動かさず、シャッターを切るまで同じ姿勢を保つことが大切です。
三脚がない場合は、壁や柱にもたれたり、しゃがんでひじを膝に乗せたりして、体や腕を支える場所を作ります。スマホのセルフタイマーを使えば、シャッターボタンを押したときの揺れも抑えられます。ただし、車体にスマホや体を直接触れさせると、傷を付けるおそれがあるため避けましょう。
夜の撮影では、シャッターが切れるまでに時間がかかり、撮影画面では気づかない程度の手ブレが発生することもあります。撮影後は写真を拡大し、ヘッドライトやエンブレム、ナンバープレート周辺の輪郭がぼやけていないか確認しましょう。その場で撮り直すことで、あとから手ブレに気づく失敗を防げます。
一眼レフ・ミラーレスは設定を変えると表現の幅が広がる

一眼レフ・ミラーレスは、スマホよりも撮影設定を細かく調整できるため、車の写真をイメージどおりに仕上げやすいのが特徴です。背景をぼかしたり、夜景をきれいに写したり、走行中の車を止めたり流したりと、撮りたい表現に合わせて設定を選べます。
初めて設定を変更する場合は、すべてを一度に覚える必要はありません。まずは撮影シーンに合わせて撮影モードを選び、シャッタースピードや絞り、ISO感度を少しずつ調整してみましょう。ここでは、昼間の静止した車、夜景、流し撮りなど、よくあるシーンごとに試しやすい設定の考え方を紹介します。
撮影モード:P・Av・Tv・Mは撮りたい表現に合わせて選ぶ
撮影モードは、「何を自分で決めたいか」を基準にすると選びやすくなります。日中に止まっている車を撮る場合は、カメラが絞りとシャッタースピードを自動で調整するP(プログラム)から始めても問題ありません。背景をぼかしたい場合はAv(絞り優先)、走行中の車を止めたり背景を流したりしたい場合はTv(シャッタースピード優先)、三脚を使って夜景を撮る場合はM(マニュアル)が向いています。
設定値は、明るさや車の動き、使用するレンズによって変わります。そのため、最初は目安の数値から撮影し、再生画像を見ながら調整しましょう。車体の反射が強い場面では白飛びしやすいため、撮影後にボンネットやルーフ、ヘッドライト周辺の明るい部分を確認します。ヒストグラムを表示できる場合は、明るい部分に偏りすぎていないかも確認すると、露出を調整しやすくなります。
撮影モード | 自分で決める主な設定 | 向いている撮影シーン | まず試したい設定の目安 | 狙い |
|---|---|---|---|---|
P(プログラム) | 基本的にカメラへ任せる | 昼・静止車の全景 | ISO感度は低め。手ブレしないシャッタースピードになっているか確認 | 難しい設定をせず、車の形や色を自然に写す |
Av(絞り優先) | 絞り(F値) | 昼・静止車の全景、背景をぼかした写真 | 全景はF5.6〜F8前後、背景をぼかす場合は開放寄りから試す | 車全体を鮮明に写す、または背景をぼかして車を目立たせる |
Tv(シャッタースピード優先) | シャッタースピード | 流し撮り、走行車 | 流し撮りは1/125秒前後から始め、慣れたら1/60秒、1/30秒へ。動きを止める場合は1/500秒以上から試す | 背景を流してスピード感を出す、または走行中の車の動きを止めて写す |
M(マニュアル) | 絞り・シャッタースピード・ISO感度 | 夜・静止車+夜景、三脚撮影 | ISO感度は低め、絞りはF5.6〜F8前後を目安にし、シャッタースピードで明るさを調整 | 設定を固定し、ノイズを抑えながら車と夜景の明るさを整える |
AF設定:静止車はAF-S、走行車はAF-Cと連写を使う
止まっている車を撮る場合は、AF-S(ワンショットAF)でピントを1か所に合わせる方法が基本です。ヘッドライトやエンブレム、フロントフェンダーのラインなど、輪郭がはっきりした部分を選ぶとピントを合わせやすくなります。背景をぼかす場合は、車のどの部分を主役として見せたいかを決め、その位置へ正確にピントを合わせましょう。
走行中の車には、動きに合わせてピントを調整し続けるAF-C(コンティニュアスAF)と連写を使います。車・乗り物認識AFに対応している機種では、AF-Cと組み合わせて使用すると追従しやすくなります。
動く車の撮影では、電子シャッターを使うと車体や背景がゆがんで写る場合があります。また、手ブレ補正の設定によって流し撮りの仕上がりが変わることもあります。撮影前に電子シャッターとメカシャッター、手ブレ補正の各設定を試し、車体のゆがみやブレが少ない組み合わせを選びましょう。
AF方式 | 向いている撮影 | AFエリア・認識設定 |
|---|---|---|
AF-S | 静止車 | 1点AF、スポットAF |
AF-C | 走行車、流し撮り | 車・乗り物認識AF、ゾーンAF |
MF | 夜の静止車、置きピン | ピント拡大、ピーキング |
レンズ:車の全景には標準〜中望遠が使いやすい
車全体を自然な形で写したい場合は、標準から中望遠のレンズが扱いやすいです。フルサイズ換算で50〜100mm前後を使うと、フロントだけが大きく見えるのを抑えやすく、車体の前後の比率も自然に整います。APS-Cでは、35〜70mm前後が近い画角です。
広角レンズは、狭い場所で車全体を入れたいときや、フロントを大きく見せて迫力を出したいときに向いています。ただし、車に近づき過ぎると手前が大きく、奥が小さく写るため、車体の形が不自然に見えることがあります。一方、望遠レンズは背景を大きく見せやすく、山や街並みと車を組み合わせたい場合に効果的です。2台以上の車を並べて撮る場合も、望遠寄りにすると前後の大きさの差を抑えやすくなります。
夜の撮影では、開放F値の小さい明るいレンズがあると、ISO感度を抑えたり、手持ちでも速いシャッタースピードを確保したりしやすくなります。ただし、最初から新しいレンズを用意する必要はありません。まずは手持ちの標準ズームで撮影距離や光の向き、背景の水平・垂直を整え、必要な画角や明るさが分かってからレンズを追加すると選びやすくなります。
レンズの種類 | 焦点距離の目安(フルサイズ換算) | 向いている撮影 | 注意点 |
|---|---|---|---|
広角 | 14〜35mm前後 | 狭い場所、ローアングル、背景を広く入れる | 近づき過ぎると車体が不自然に見えやすい |
標準 | 35〜60mm前後 | 車の全景、自然な見え方 | 背景をぼかすには距離が必要 |
中望遠 | 60〜100mm前後 | 7:3構図、背景を整理した全景 | 広い撮影場所が必要 |
望遠 | 100mm以上 | 走行車、山や街並みを大きく入れる | 手ブレしやすく、車を追いにくい |
標準ズーム | 24〜70mm前後 | 初心者、全景から細部まで幅広く撮る | 暗所や大きなボケは単焦点より不利な場合がある |
※焦点距離の区分は目安です。
流し撮りは設定とカメラの動かし方が重要

流し撮りは、走行する車に合わせてカメラを動かし、車体をできるだけはっきり写しながら背景を流す撮影方法です。静止画でもスピード感を表現できますが、シャッタースピードを設定するだけでは成功しにくく、車を追う動作や撮影姿勢も仕上がりに影響します。
最初は、車の動きを止めて写しやすいシャッタースピードから始めます。その後、撮影に慣れたら少しずつ遅くして、背景の流れを強くしていきましょう。あわせて、車が来る前からカメラで追い始め、シャッターを切った後も動きを止めないことが大切です。続く項目では、シャッタースピードの目安や構え方、夜に流し撮りを行う場合の注意点を解説します。
シャッター速度は速めから始めて段階的に遅くする
流し撮りは、シャッター速度を遅くするほど背景が大きく流れますが、その分だけ車体もブレやすくなります。最初は1/125秒前後から始め、成功する写真が増えたら1/60秒、1/30秒へと段階的に遅くしましょう。AF-Cと連写を併用し、まずは背景を大きく流すことより、車体をはっきり写すことを優先します。
上半身で追い、シャッター後も動きを止めない
流し撮りをする際は、足を肩幅に開き、腕だけでなく上半身ごと車の動きに合わせて回します。車が来る前から追い始め、シャッターを切った後もしばらく追い続けると、車体のブレを抑えやすくなります。構図は進行方向に余白を残し、フェンスや木立など背景の形がそろった場所を選ぶと、流れがきれいに見えます。
なお、図解も含めたより詳しい流し撮りの方法は以下の記事でも解説しています。
車2台を並べるときは配置と向きをそろえる
車を2台並べた写真は、1台だけを撮る場合よりも構図のバランスが重要になります。主役が分かりにくくなったり、車の向きや高さが少し違うだけで、まとまりのない印象になったりするためです。また、背景やボディへの写り込みも増えるため、撮影場所選びも仕上がりに大きく影響します。
完成度を高めるには、2台の並べ方や角度、車体の色の組み合わせを意識することが大切です。ここでは、主役を引き立てる配置や対称構図、走り出しそうな雰囲気を演出する並べ方など、車2台をバランスよく撮るための基本を紹介します。
前後差をつけて主役を分かりやすくする

(※手前を主役、奥をサブにする構図例)
2台を同じ大きさで並べると、どちらを見ればよいのか分かりにくくなることがあります。そこで、2台の位置を少し前後にずらし、手前の車を主役、奥の車を補助役として配置すると、視線の流れを作りやすくなります。
車の向きは完全にそろえる必要はありませんが、差をつけ過ぎると2台のまとまりが弱くなります。まずは両方を側面7:前面3程度の角度に置き、主役の車だけフロントを少し多く見せると、自然に存在感を強められます。
低い位置から撮る場合は、手前の車が必要以上に大きく見えることがあります。形の違和感が気になるときは、車から少し離れ、望遠寄りの画角で撮影すると、2台の大きさの差を整えやすくなります。
対称構図では2台の高さ・向き・タイヤ角をそろえる

(※左右のバランスを整えた例)
2台を左右に並べる対称構図は、位置や向きがそろうほど整った印象になります。撮影するときは、2台の画面内での高さや向きをそろえ、建物や地面のラインが傾かないようにグリッド線を使って水平・垂直を確認しましょう。
前輪の向きも重要です。片方だけタイヤが曲がっていると不ぞろいに見えやすいため、両方をまっすぐにするか、同じ方向へ同じ程度だけ切るとまとまりが出ます。夜に撮影する場合は、ヘッドライトやポジションランプの点灯状態もそろえると、左右の明るさと色を整えやすくなります。
背景は、壁や広い空、直線的な建物など、情報量の少ない場所が向いています。周囲の車や看板が目立つ場合は、車に近づいて背景を入れる範囲を狭くすると、2台を主役にしやすくなります。
2台の向きと余白をそろえて動きを演出する

(※2台を同じ方向で並べた例)
2台を同じ方向へ少し斜めに向けると、停車中でも走り出しそうな印象を作れます。車体の角度を完全に同じにする必要はありませんが、フロントの向きや前輪の角度に共通点を持たせることが大切です。進行方向の前側に余白を残すと、写真の中に自然な流れが生まれます。
背景は、電柱や標識、建物の柱などが車体と重ならない場所を選びましょう。シンプルな壁や広い空、低い植え込み、開けた駐車スペースなどは、2台の形を見せやすくなります。スポーツカーやカスタムカーでは、車体の角度と前輪の向き、余白をそろえるだけでも動きのある構図になります。
なお、撮影は、安全に停車できる場所で行い、実際に走行しながら並走撮影をするのは避けてください。
PLフィルターと編集で反射や明るさを整える
車2台を撮影すると、ボディやガラスへの写り込みも増えるため、写真がまとまりにくくなることがあります。PLフィルター(偏光フィルター)を使うと、撮影角度や光の向きによっては、塗装面やガラス面の反射を抑えてボディカラーを見せやすくなります。フィルターを回転させながら効果を調整し、反射を抑えた写真と、空や周囲の景色を映り込ませた写真の両方を撮っておくと選びやすくなります。
ただし、PLフィルターの効果は光の向きや撮影角度によって変わり、すべての反射を消せるわけではありません。ボディカラーをはっきり見せたいのか、空や夜景の反射を活かしたいのかを決めて使い分けましょう。
撮影後の編集では、ハイライトを下げて白飛びを抑え、シャドウを少し明るくして車体の形を見せます。色温度を調整してボディカラーを自然に整え、最後にトリミングと水平補正を行うと、2台の配置がよりきれいに見えます。
車写真の撮り方のまとめ
車をきれいに撮るには、まず車に近づき過ぎず、ボディの形が自然に見える距離を取ることが大切です。あわせて、斜めから光が当たる位置を選び、背景の水平・垂直を整えると、スマホでも一眼レフ・ミラーレスでも完成度を高めやすくなります。
スマホやiPhoneでは、ズームだけで調整せず、立ち位置も変えながら画角を整えましょう。白飛びが気になる場合は露出を少し下げ、AE/AFロックでピントと明るさを固定すると、ボディの質感を残しやすくなります。夜は車と夜景のどちらを主役にするかを決め、手ブレを防ぐために体やカメラを安定させて撮影します。一眼レフ・ミラーレスでは、背景をぼかすならAv、走行車や流し撮りならTv、三脚を使った夜景撮影ならMを選ぶと設定を決めやすくなります。
撮影時は、同じ構図で明るさやカメラの高さを変えて複数枚撮っておくと、仕上がりを比較しやすくなります。なお、撮影の際は周囲の通行や施設のルールを確認し、SNSへ投稿する場合は、ナンバープレートや人物、店舗名、住宅などの写り込みにも注意しましょう。
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