流し撮りとは?おすすめ設定・シャッタースピード・NDフィルターの使い方

流し撮りとは?おすすめ設定・シャッタースピード・NDフィルターの使い方

乗り物やスポーツシーンの写真で、背景が線のように流れ、被写体だけが浮かび上がるような躍動感のある作品を見たことはないでしょうか。あのスピード感あふれる表現は「流し撮り」と呼ばれる撮影テクニックです。難しそうに見えますが、仕組みを理解し、シャッタースピードやカメラの振り方の基本を押さえれば初心者でも挑戦できます。本記事では、流し撮りの原理からおすすめ設定、鉄道や車での実践方法、NDフィルターの活用まで分かりやすく解説します。

みんカメ編集部
筆者
みんカメ編集部
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この記事のサマリー

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流し撮りは、動く被写体に合わせてカメラを振り、背景を線のように流してスピード感を出す撮影方法

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最初はシャッタースピード優先モードを使い、AF-Cと連写を組み合わせると始めやすい

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シャッタースピードは1/125秒前後から試し、慣れたら1/60秒、1/30秒へ少しずつ遅くしていく

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鉄道や車は動きが読みやすく、流し撮りの練習に向いている

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晴れた日中は写真が明るくなりすぎることがあるため、NDフィルターがあると遅いシャッタースピードを使いやすい

目次

流し撮りとは何か:ブレを「味方」にする考え方

流し撮りとは何か:ブレを「味方」にする考え方

流し撮りは、動いている被写体をただ止めて写すのではなく、背景のブレをあえて活かす撮影方法です。被写体の動きに合わせてカメラを振ることで、車や電車といった被写体が比較的はっきり写り、背景だけが線のように流れて見えます。うまく決まると、静止画でもスピード感や迫力を伝えられるのが流し撮りの魅力です。

背景が流れて見える原理:シャッターが開いている間に背景が動く

はじめに、なぜ背景が線のように流れて写るのかを見ていきましょう。

まず、カメラは、シャッターが開いている間に入ってきた光を1枚の写真として記録します。その間にカメラを被写体の動きに合わせて振ると、被写体は画面内の近い位置に残り、背景だけが横に動いたように写ります。

この背景の動いた跡が、線のようなブレになります。たとえば道路の白線、ガードレール、建物の窓などが横に伸びると、写真にスピード感が出ます。シャッタースピードを遅くするほど、シャッターが開いている時間が長くなるため、背景の流れも大きくなりやすくなります。

手ブレや背景ボケとの違い

一見すると流し撮りのように見える写真でも、実は別の原因でブレていることがあります。たとえば手ブレは、撮影中にカメラが意図せず揺れてしまい、写真全体がぼやけてしまう状態です。また、被写体ブレはカメラを固定していても被写体が動くことで起こり、人物の手足や車の輪郭などがブレて写ります。

一方の流し撮りは、被写体の動きに合わせてカメラを振ることで、被写体は比較的シャープに残しながら背景だけを流して写す撮影方法です。狙った方向にブレを作るため、スピード感や迫力を表現できます。

また、背景ボケとも仕組みが異なります。背景ボケはレンズの絞りや撮影距離によって背景がぼける現象ですが、流し撮りはシャッターが開いている間の動きによって背景を流して見せる表現です。そのため、背景が大きくボケているからといって、流し撮りが成功しているとは限りません。

流し撮りに向いている被写体

流し撮りが成功しやすいのは、横方向に一定の速度で動き、進む方向が予測しやすい被写体です。代表的なのが鉄道や車、自転車です。特に鉄道は線路の上を走るため動きが読みやすく、車も道路に沿って移動するためカメラを合わせやすいので、流し撮りの練習に向いています。反対に、人混みの中を歩く人や予測できない動きをする被写体は難易度が高くなります。急に速度が変わったり進行方向が変わったりすると、被写体に合わせてカメラを振り続けるのが難しくなるためです。

これから流し撮りを始めるなら、まずは鉄道や車など動きが予測しやすい被写体を選び、成功体験を積み重ねていくのがおすすめです。具体的には、以下のようなものを選ぶと良いでしょう。

被写体

向いている度

難易度

向いている理由

鉄道(在来線)

★★★★★

★★☆☆☆

動きが読みやすく、背景も流れやすい

★★★★★

★★☆☆☆

横方向に走る場面が多く、練習しやすい

新幹線

★★★★★

★★★☆☆

速度が速く、迫力を出しやすい

自転車

★★★★☆

★★☆☆☆

速度がほどよく、初心者でも試しやすい

バイク

★★★★☆

★★★☆☆

スピード感を出しやすい

飛行機

★★★★☆

★★★★☆

背景を大きく流すと迫力が出る

ランナー

★★☆☆☆

★★★☆☆

動きは読みやすいが、背景は流れにくい

流し撮りに必要な道具

流し撮りは特別な機材がなくても挑戦できますが、いくつかの道具があると成功率を高めやすくなります。まず必須なのは、シャッタースピードを設定できるカメラと、被写体を追いやすいレンズです。標準ズームや望遠ズームがあれば、多くのシーンに対応できます。

また、晴れた日中に1/60秒や1/30秒といった遅いシャッタースピードを使いたい場合は、NDフィルター(レンズに入る光の量を減らすフィルター)が役立ちます。露出オーバーを防ぎながら、背景を大きく流した写真を狙いやすくなります。また、流し撮りは連写を使うことが多いため、想像以上にバッテリーや記録容量を消費します。そのため長時間撮影する場合は予備バッテリーや予備メモリーカードも用意しておくと安心です。

道具

役割

カメラ

シャッタースピード優先モードやAF-Cが使えると便利

標準・望遠レンズ

被写体を大きく写しながら追いやすい

NDフィルター

日中でも遅いシャッタースピードを使いやすくする

予備バッテリー

連写や長時間撮影に備える

予備メモリーカード

撮影枚数が多くなっても安心

まずは手持ちの機材で始め、必要に応じてNDフィルターなどを追加していくのがおすすめです。特に初心者は、新しい機材を増やすよりも被写体を追う練習を重ねるほうが上達につながります。

流し撮り設定の基本:まずはシンプルな設定から始める

流し撮りをする際は、最初から細かい設定をすべて覚える必要はありません。大切なのは、背景の流れ方を決めるシャッタースピードを自分で設定し、ピント合わせや連写はカメラの機能をうまく使うことです。まずはシャッタースピード優先、AF-C、連写を基本にすると、被写体を追いながら撮影しやすくなります。慣れてきたら、被写体や明るさに合わせて少しずつ設定を調整していきましょう。

具体的なおすすめ設定は、以下です。

項目

おすすめの設定

うまくいかないときの調整方向

撮影モード

シャッタースピード優先

明るさの変化を抑えたい場合はマニュアル露出も有効

AF

AF-C+ゾーン/小さめエリア

背景に抜けるならエリアをさらに絞る、置きピンも検討

ドライブ

連写(中〜高速)

枚数が増えすぎるなら連写速度を落として要点だけ押さえる

シャッター方式

メカシャッター

無音が必要なら電子も試すが、歪みが出ないか確認する

手ブレ補正

流し撮り対応モードがあれば使用

対応モードがない場合は取扱説明書を確認し、オン・オフを比較する

撮影モードはシャッタースピード優先から

流し撮りでは、シャッタースピードが背景の流れ方を大きく左右します。まずは、シャッタースピード優先モード(S/Tv)で始めるのがおすすめです。最初は1/125秒や1/60秒など、使いたいシャッタースピードを自分で決め、絞りはカメラに任せると試しやすくなります。

ISO感度は、できるだけ低めに設定します。ただし、晴れた日中はシャッタースピードを遅くすると写真が明るくなりすぎることがあります。その場合は、光の量を減らせるNDフィルターを使うと、明るい場所でも流し撮りに必要な遅いシャッタースピードを選びやすくなります。

AFはAF-Cが基本、通過位置が読めるなら置きピンも有効

ピント合わせは、動く被写体を追い続けられるAF-C(コンティニュアスAF/AI Servo)を基本にします。被写体が近づいたり遠ざかったりしてもピントを合わせ続けやすいため、流し撮りでは使いやすい設定です。

AFエリアは、被写体を枠内に入れやすいワイドやゾーンから試すとよいでしょう。背景やフェンスにピントが合ってしまう場合は、スポットAFや小さめのAFエリアに変えると改善することがあります。被写体認識やトラッキングが使えるカメラなら、それらも試してみましょう。

鉄道のように通過する場所がほぼ決まっている被写体では、置きピンも有効です。あらかじめ列車が通る位置にピントを合わせておけば、AFが背景に迷う場面でも安定しやすくなります。

連写・シャッター方式・手ブレ補正は撮り比べながら決める

流し撮りでは、連写を使うと成功カットを残しやすくなります。1枚だけで狙うよりも、被写体との動きが合った瞬間を拾いやすいため、初心者ほど連写の効果を感じやすいでしょう。

シャッター方式は、まずメカシャッターから試すのがおすすめです。電子シャッターは便利ですが、機種によってはパン撮影時に車体や建物の縦線がゆがんで写ることがあります。撮影後に写真を確認し、違和感があればメカシャッターに切り替えましょう。

手ブレ補正は、流し撮り対応モードがある場合はそのモードを使います。対応モードがない場合は、オンとオフを撮り比べて、背景の流れや被写体の残り方を見ながら選ぶと安心です。

流し撮りのシャッタースピード:まずは成功しやすい設定から

流し撮りのシャッタースピード:まずは成功しやすい設定から

流し撮りで最も重要なのがシャッタースピードです。ただし、正解はひとつではありません。被写体の速さや撮影距離、レンズの焦点距離によって、適したシャッタースピードは変わります。

そのため、まずは成功しやすいシャッタースピードから始めるのがおすすめです。最初は1/125秒前後で被写体を追う感覚をつかみ、慣れてきたら1/60秒、さらに1/30秒へと段階的に遅くしていくと、背景の流れが大きくなり、より迫力のある流し撮りを狙えるようになります。

シャッタースピードを遅くするほどスピード感は増しますが、そのぶん難易度も上がります。まずは成功率を重視しながら、自分の撮影スタイルに合った設定を見つけていきましょう。

被写体

まず試したい目安

さらに流れを強くしたいとき

在来線・通勤電車

1/125秒〜1/60秒

1/30秒〜1/15秒(難度上)

新幹線など高速列車

1/250秒〜1/125秒

1/60秒(背景が派手になりやすい)

一般道の車

1/125秒〜1/60秒

1/30秒(背景次第で迫力が出る)

自転車・ランナー

1/125秒

1/60秒(背景の情報量がある場所向き)

プロペラ機・ヘリコプター

1/250秒〜1/125秒

1/60秒〜1/30秒(難度上)

ジェット機

1/500秒〜1/250秒

1/125秒〜1/60秒(距離が近い通過向き)

1/250秒〜1/125秒:流し撮りの基本を身につける

1/250秒付近は、背景の流れは控えめでも被写体が止まりやすく、パン(被写体を追いながらカメラを振ること)の動作確認に向きます。被写体をフレーム内の同じ位置に保つ練習としてちょうどよく、まずは「追い続けられる」ことを体に覚えさせる段階です。

1/125秒になると背景の流れが見え始め、流し撮りらしさが出ます。車や在来線など、一般的な速度の被写体で失敗が続くなら、シャッタースピードを急に遅くするより、まず1/125秒で成功率を上げたほうが次に繋がります。

1/60秒〜1/30秒:スピード感を引き出しやすい定番設定

1/60秒は、背景がはっきり流れて動感が出やすく、それでいて被写体の輪郭も残しやすいレンジです。背景に線状の要素(ガードレール、木立、窓の並び)があると、流れの気持ちよさが一段上がります。

1/30秒は、背景が一気に抽象化し、決まれば強い写真になります。代わりに、パンの同期ズレがそのまま主役のブレに直結するため、成功率は落ちます。ここでは「顔やヘッドライトなど、止めたい一点を作る」意識が重要です。

1/15秒〜1/8秒:作品づくりを意識した低速シャッター

1/15秒以下は、背景が色の帯のようになりやすく、作品性が強くなります。その一方で、被写体を面として止めるのは難しく、ロゴや顔など一点が残れば成立、くらいの狙いが現実的です。この領域では、縦ブレが目立つと写真の芯が消えやすいので、脇を締めた三点支持、腰を軸にした回転、そしてフォロースルーが効きます。日中にここまで遅くしたい場合は、NDフィルター(レンズに入る光の量を減らすフィルター)がほぼ必須になります。

流し撮りの撮り方とコツ:カメラの振り方が成功のポイント

流し撮りは設定だけではなく、実際のカメラの動かし方がとても重要です。具体的には、被写体の動きに合わせてなめらかにカメラを振り続けることが成功のカギになるといえるでしょう。特に被写体を追う動きが途中で止まったり、上下に揺れたりすると、背景だけでなく被写体まで大きくブレてしまいます。そのため、まずは安定した姿勢で被写体を追い続けることを意識しましょう。

安定した構え方:カメラを体全体で支える

安定した構え方:カメラを体全体で支える

流し撮りでは、カメラをできるだけ安定させて振ることが大切です。ファインダーをのぞく場合は、額にカメラを軽く当て、右手でグリップ、左手でレンズを支えます。左肘を体に寄せると上下の揺れが減り、被写体を追いやすくなります。

カメラを振るときは、腕だけで動かすのではなく、腰を軸にして上半身ごと回すようにします。膝を軽くゆるめて、体全体でなめらかに動かすと、背景がきれいに流れやすくなります。

シャッターを押した後も追い続ける

被写体が来てから慌ててカメラを振ると、動き出しのブレが写真に出やすくなります。被写体がフレームに入る少し前から追い始め、画面内の同じ位置に置き続ける意識を持ちましょう。

また、シャッターを押した瞬間にカメラを止めないことも大切です。押した後もしばらく被写体を追い続けることで、動きが途切れにくくなります。この動作をフォロースルーといい、流し撮りの成功率を上げる重要なポイントです。

練習は成功しやすい設定から始める

最初から1/30秒などの遅いシャッタースピードに挑戦すると、失敗の原因が分かりにくくなります。まずは1/250秒や1/125秒あたりから始め、被写体を追い続ける感覚をつかみましょう。

慣れてきたら1/60秒、さらに1/30秒へと少しずつ遅くしていくと、背景の流れを大きくしながら練習できます。被写体は、車や自転車、鉄道など、進む方向が読みやすいものがおすすめです。成功した写真と失敗した写真を見比べると、カメラの振り方やブレの原因も見つけやすくなります。

鉄道の流し撮り:通過予測の強さを写真に変える

鉄道の流し撮り:通過予測の強さを写真に変える

鉄道は流し撮りの定番です。動線が固定され、通過位置も読みやすいので、比較的初心者でもチャレンジしやすいでしょう。成功の鍵は、速度に合うシャッタースピードの選択と、背景が流れたときの「線の美しさ」を作ること、そして安全とマナーの徹底です。

列車の速度とシャッタースピード:新幹線と在来線の考え方

列車は一般に速度が高く、背景が流れやすい被写体です。新幹線などの高速列車は、比較的速いシャッタースピードでも背景に流れが出やすく、1/250秒前後でも動感が乗る場面があります。まずは止めやすい速度から入り、徐々に遅くするのがおすすめです。

なお在来線は新幹線ほど速度が一定でないこともあるため、1/125秒〜1/60秒を中心に試すと流し撮りらしさが出やすいでしょう。カーブや勾配、駅進入などで速度が変わると同期が外れやすいので、最初は直線区間で練習すると失敗が減ります。

構図と背景選び:編成・先頭アップで「流れ方」を変える

列車の編成を入れるなら、背景も重要です。たとえば電柱や看板が多い場所は流れたときの形が荒れやすく、主役の輪郭も埋もれがちです。一方で、フェンスや防音壁のように連続したパターンがあると、線が揃ってスピード感が出ます。

先頭のアップは迫力が出ますが、AFの狙いどころも明確にしたいところです。列車の顔のロゴやライト付近など、止めたい点を決めて追うと、多少のブレがあっても写真が成立しやすくなります。進行方向側に余白を残すと、走り抜ける余韻が出ます。

安全とマナー:立ち位置で写真は決まるが、ルールが最優先

鉄道撮影時だけではなく、普段からも大前提として線路内への立ち入りは厳禁です。ホームや沿線でも、立ち入り禁止区域や私有地、通行の妨げになる場所は避け、周囲の安全と運行を最優先に考える必要があります。撮影に夢中になるほど足元への注意が薄れやすいので、機材の操作は立ち位置を決めてから行いましょう。

また、駅やホーム、沿線での撮影を問わず、列車に向けてフラッシュや強い照明を使用してはいけません。三脚、一脚、自撮り棒などが禁止されている場所もあるため、撮影前に鉄道事業者や施設のルールを確認し、係員の指示に従いましょう。白線や点字ブロックの外側へ出たり、身を乗り出したりする行為も厳禁です。

車の流し撮り:距離・焦点距離・背景で印象が大きく変わる

車の流し撮り:距離・焦点距離・背景で印象が大きく変わる

車は流し撮りの定番被写体ですが、同じシャッタースピードで撮っても、撮影距離やレンズの焦点距離、背景によって写真の印象が大きく変わります。被写体との距離が近いほどスピード感は強くなり、背景に流れやすい要素があるほど迫力のある写真を狙いやすくなります。

また、サーキットのように車が一定方向へ走る環境は流し撮りの練習に適しています。一方で一般道では、安全を最優先にしながら撮影位置や背景を選ぶことが重要です。車そのものだけでなく、「どんな背景を流したいのか」まで意識すると、流し撮りらしい躍動感を表現しやすくなります。

一般道とイベント会場:安全な立ち位置と動線の読みやすさ

一般道では、道路に出たり、交通の邪魔になる位置で構えるのは危険です。歩道から撮れる場所に限定し、被写体が横方向に通過するポイントを選ぶと流し撮りの効果が出やすくなります。交差点付近は被写体の動きが複雑になりやすいので、まずは直線で一定速度になりやすい区間が向きます。

イベント会場やサーキット系の環境では、観客エリアや撮影ルールが定められていることが多いため、そこから外れないのが前提です。流し撮りは長時間の待機や連写になりやすいので、体力配分とバッテリー残量にも余裕を持つと集中力が続きます。

焦点距離と撮影距離:近いほど背景は流れやすい

同じ車を撮る場合でも、被写体との距離によって背景の流れ方は変わります。近い距離を通過する車は画面内で大きく動くため、背景が流れやすくなります。反対に、遠くを走る車は画面内の動きが小さくなり、1/60秒で撮っても背景があまり流れないことがあります。

背景が思ったように流れないときは、シャッタースピードを少し遅くするほか、レンズの焦点距離や撮影位置を見直してみましょう。ただし、流れを強くしたいからといって車道や危険な場所へ近づくのは絶対に避け、安全な歩道や指定された撮影エリア内で調整することが大切です。

レンズは、望遠側にすると背景の流れが大きく見えやすい一方で、少しのブレも目立ちやすくなります。標準域は背景の流れは控えめですが、被写体を追いやすく、練習には向いています。最初は中望遠くらいから始め、慣れてきたら望遠でより迫力のある流し撮りに挑戦するとよいでしょう。

ホイールと夜景:止める場所を決めると写真が締まる

車の流し撮りは、ボディ全体を完璧に止めようとするほど難しくなります。まずはフロントのライトやエンブレム付近など「止めたい一点」を決め、その一点が残れば成立と考えると歩留まりが上がります。ホイールが適度にブレると速度感が強くなるため、あえて全部を止めない発想も有効です。

夜は光量が落ちるぶん、自然にシャッタースピードを遅くしやすく、流し撮りが成立しやすい場面があります。ヘッドライトや街のネオンが背景に筋を作りやすいので、背景に光源が多い場所を選ぶと見栄えが良くなります。夜間は露出不足にも注意が必要です。狙ったシャッタースピードを維持したうえで、写真が暗くなりすぎる場合はISO感度を必要な範囲まで上げましょう。ISO感度を抑えるために、極端な露出不足にするのは避けます。

NDフィルターで流し撮りを安定させる:明るい日中の対策

NDフィルターで流し撮りを安定させる:明るい日中の対策

晴れた昼間は、流し撮りに必要な遅いシャッタースピードにすると、写真が明るくなりすぎることがあります。ISO感度を下げたり、絞りを絞ったりしても調整しきれない場合は、NDフィルターを使うと撮影しやすくなります。

NDフィルターとは、レンズに入る光の量を減らすためのフィルターです。サングラスが目に入る光を抑えるのと同じように、カメラに入る光を減らし、明るい場所でも遅いシャッタースピードを選びやすくします。特に日中の流し撮りでは、ISO感度を最低にしても露出オーバーになることがあります。そんな場面でNDフィルターを装着すると、適正な明るさを保ちながら、背景をしっかり流した写真を狙いやすくなります。

NDフィルターの段数とシャッタースピードの関係

NDフィルターは、減らせる光の量によって「ND8」「ND64」のように種類が分かれます。基本的には、1段ぶん暗くするとシャッタースピードを2倍遅くできます。3段なら8倍、6段なら64倍遅くできる計算です。

たとえば、フィルターなしの適正露出が1/500秒だった場合、同じISO感度とF値のまま1/60秒前後まで遅くしたいなら、3段分の減光が必要になります。この場合、目安になるのがND8です。1/30秒付近までさらに遅くしたい場合は、もう少し濃いNDフィルターが必要になることもあります。

ただし、必要な濃さは天候やISO感度、F値によって変わります。実際の撮影では、使いたいシャッタースピードに設定したときに、どれくらい明るくなりすぎるかを確認して選びましょう。流し撮りでは、まずND8など比較的弱めの固定NDから試すと扱いやすいです。

NDの段数

シャッタースピード倍率

例:1/250秒が基準なら

1段

2倍

1/125秒

2段

4倍

1/60秒

3段(ND8相当)

8倍

1/30秒

6段(ND64相当)

64倍

約1/4秒

固定NDと可変NDの選び方

NDフィルターには、減光量が決まっている固定NDと、濃さを調整できる可変NDがあります。固定NDは、画質が安定しやすく、ムラや色の変化が出にくいのがメリットです。流し撮りでは、まずND8を基準にすると、日中でも1/60秒〜1/30秒付近を狙いやすくなります。

可変NDは、1枚で光量を調整できるため、明るさが変わりやすい場所では便利です。ただし、濃くしすぎると画面にムラが出たり、一部だけ不自然に暗くなったりすることがあります。流し撮りでは背景が線のように流れるため、ムラが帯状に見えて目立つこともあります。必要な範囲で無理なく使うのが安心です。

流し撮りのまとめ

流し撮りは、動く被写体に合わせてカメラを振り、背景だけを流してスピード感を表現する撮影方法です。最初はシャッタースピード優先、AF-C、連写を基本にし、1/125秒前後から練習すると始めやすくなります。

慣れてきたら、1/60秒、1/30秒と少しずつシャッタースピードを遅くして、背景の流れ方を変えてみましょう。鉄道は動きが読みやすく、車は背景や撮影距離によって印象が大きく変わります。日中に写真が明るくなりすぎる場合は、NDフィルターを使うと遅いシャッタースピードを選びやすくなります。まずは「どこを止めたいか」と「どの背景を流したいか」を決めて撮ることが大切です。同じ場所でシャッタースピードを変えながら撮り比べると、自分のカメラやレンズで成功しやすい設定が見つかりやすくなります。


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