【2025年版】PENTAX K-1 Mark Ⅱのレビュー比較まとめ 夜景・高感度の実力

【2025年版】PENTAX K-1 Mark Ⅱのレビュー比較まとめ 夜景・高感度の実力

PENTAX K-1 Mark IIは、フルサイズ一眼レフとして選択肢が限られる中で現在も新品流通がある貴重なモデルです。ボディ内5軸手ぶれ補正(SRII)や内蔵GPSを使ったAstrotracer、Pixel Shift Resolution System IIなど、風景・星景の撮影で活きる独自機能が特徴です。複数の媒体で実機レビューも公開されており、長所と弱点が見えてきています。この記事ではそれらの検証結果と公式仕様を突き合わせ、事実ベースで向き不向きや、競合比較まで一気に整理します。

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筆者
みんカメ編集部
みんなのカメラ編集部によるカメラに関する最新情報・レビューなどを毎日配信しています!ためになるプロのテクニックもご紹介。

この記事のサマリー

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風景・星景・悪天候を想定した機能が多い:ボディ内5軸手ぶれ補正と内蔵GPS/電子コンパスにより、Astrotracerなどの撮影支援が使えます。

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高感度は強化されたがRAWの処理傾向に注意:Lonely SpeckはISO400以上でRAWにノイズ低減が焼き込まれる可能性を指摘しており、細部の描写は好みが分かれます。

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物理操作は充実、ただし重量級:重量は約1010g(バッテリー・SD含む)。携行性は用途次第で評価が分かれます。

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AF・連写・動画はスピード重視ではない:連写は最高約4.4コマ/秒、動画は通常撮影でフルHDまで(4Kはインターバル動画)です。

目次

PENTAX K-1 Mark IIのレビュー要点

Via: Lonely Speck

まず結論から。K-1 Mark IIは、風景・建築・星景など静物中心で、耐久性と独自機能を重視する人に向くフルサイズ一眼レフです。重量は約1010g(バッテリー・SD含む)なので、長時間の携行では負担になり得ます。一方で、動体の追従や動画機能を最優先に設計された機種ではありません。PENTAX K-1 Mark IIの各実機レビューの総評でも、合う・合わないの用途が明確である旨が繰り返し指摘されています。

おすすめできる人:風景・星景・全天候でじっくり撮る派

メーカーはマグネシウム合金ボディでdustproof & weather resistantと説明しています。ボディ内手ぶれ補正(SRII)や内蔵GPS/電子コンパスを備え、Astrotracerなどの撮影支援機能をボディ単体で使えるのが特徴です。Lonely Speckの天体写真レビューでは、AstrotracerやPixel Shiftを夜間撮影向けの強みとして取り上げ、ボディイルミネーション(暗所での操作を助けるLED)なども高く評価しています。

Digital Camera Worldも実機レビューにて、36.4MPセンサー、SR II、耐久性に加え、可動液晶などの操作系をキー機能として整理しています。タッチ操作中心のカメラより、物理ボタン主体の操作を好む場合は適合しやすいタイプです。ミラーレスのような高速AFや軽量性は得られませんが、内蔵GPSとセンサーシフトを組み合わせた天体追尾(Astrotracer)をボディ単体で実現する点は、用途次第で代替が難しい要素です。

不向きな人:動体・動画・軽量が最優先の人

連写は35mmフルサイズで最高約4.4コマ/秒。スペック上、運動会や野鳥などの“枚数で当てる”撮り方には不利です。ライブビュー時のAFはコントラスト検出方式で、通常の動画撮影はフルHD(1920×1080)まで。The Vergeも4Kは通常の動画撮影ではなくインターバル動画モードに限られる点を強く指摘しています。

重量は約1010g(バッテリー・SD含む)で、本体のみでも約925g。Lonely Speckは、競合するフルサイズ一眼レフと比べてもサイズと重量が課題になり得ると述べています。動体中心だと、重量だけでなく「追従が決まりにくいストレス」が問題になりやすいです。購入前に店頭やレンタルで、狙う被写体が撮影スタイルに合うか確認すると安全です。

PENTAX K-1 Mark IIの要素別レビュー早見表

要素

評価サマリ

ボディ・操作性

防塵防滴の耐久ボディと物理ボタン中心の操作系で“道具としての安心感”が強い一方、約1kg級の重量は長時間携行の負担になりやすい。

画質

36.4MPの解像力と階調の粘りで風景・建築のディテールを伸ばしやすいが、撮影条件によっては処理の傾向(質感の出方)に好みが分かれる。

高感度・夜景

高感度耐性は強化され暗所の実用域が広い一方、超高感度域は画質が荒れやすく“非常用”として割り切った運用が現実的。

手ぶれ補正とPixel Shift

5軸SR IIで手持ち安定性が高く、三脚Pixel Shiftは静物で解像・色再現を底上げできるが、手持ちPixel Shiftは待ち時間や条件次第で効果が小さい場合がある。

Astrotracer

内蔵GPS連動で星を追尾でき、赤道儀なしで星景の成功率を上げられるのが唯一無二。ただし精度や使い勝手は条件(焦点距離・校正・環境)に左右される。

AF・連写

静物やゆったりした被写体では成立しやすいが、AF追従と最高約4.4コマ/秒の連写は動体・スポーツ用途では不利になりやすい。

動画

通常の動画はフルHD中心で、4Kは一般的な連続撮影ではなくインターバル系に限定されるため、動画メイン用途には向きにくい。

基本情報のおさらい

Via: DPReview

ここではスペック表を“撮影に効く順”に整理します。カタログを丸暗記するより、購入判断に直結する要点だけを押さえる方が迷いません。ミラーレス全盛でも、光学ファインダー(OVF)を好む場合は検討対象になります。なおリコーイメージングはK-1 Mark II向けのファームウェアを公開しており、2025/12/05付でVer.2.51の掲載が確認できます。

販売状況と価格の目安

PENTAX K-1 Mark IIは2018年4月登場のフルサイズ一眼レフです。現在リコーイメージングストア(直販)の販売価格はボディ単体で219,800円(税込)、各種予約サイトでは19~21万円の価格帯で販売がされています。定番のPENTAX K-1 Mark II 28-105WRキットを中心にレンズキットも複数の種類が用意されています。

ボディの中古は15万円台〜16万円台の在庫表示が確認でき、状態差が大きいのでシャッター回数や外装(特にラバー部)などのコンディション確認が特に重要です。

重要スペックだけ先に押さえる

PENTAX K-1 Mark IIは有効約36.4MPのフルサイズセンサーと視野率約100%の光学ファインダーを備え、風景や建築を丁寧に撮る用途で強みを発揮します。5軸手ぶれ補正と高感度対応で暗所にも対応しますが、重量と連写性能から動体より「一枚を詰める撮影」に向いた一台です。主なスペックは次のとおりです。

項目

スペック要点

センサー

有効約36.4MP/35mmフルサイズCMOS(35.9×24.0mm)

ファインダー

視野率約100%/ペンタプリズム光学ファインダー(OVF)

ISO感度

ISO AUTO/100〜819200

手ぶれ補正

撮像素子シフト式5軸(SR II)

モアレ対策

AAフィルターシミュレーター(擬似ローパス)

記録メディア

デュアルSDスロット(UHS-I)

RAW形式

PEF/DNG

端子

マイク入力/ヘッドホン端子

重量

約1010g(バッテリー・SD含む)/本体のみ約925g

連写性能

最高約4.4コマ/秒(35mmフルサイズ)

連続撮影枚数

JPEG(L・★★★)約70枚/RAW約17枚(連写H時・ISO100)

重量は約1010g(バッテリー・SD含む)で、本体のみでも約925g。連写は35mmフルサイズで最高約4.4コマ/秒で、連続撮影枚数はJPEG(L・★★★)で約70枚、RAWで約17枚(いずれも連写H時、ISO100)とされています。

PENTAX K-1 Mark IIの後継機について

PENTAX K-1 Mark IIは25年12月時点でK-1(フルサイズ)シリーズのなかの最新機で、次のモデルは発売されていません。一方で後継機候補となる「K‑1 Mark III」についての複数の噂が飛び交っています。K‑1 Mark IIIのリーク情報に関してはこちらの記事で詳細にまとめています。あくまで公式からは後継機についての発表は何も行われていないので、時期含め過度な期待は避けましょう。

ボディ・操作性のレビュー:触って分かる“道具感”

Via: PhotographyBlog

K-1 Mark IIは、サイズ約136.5×110×85.5mm、重量約1010g(バッテリー・SD含む)と、現行のフルサイズミラーレスと比べると大柄です。握りやすさや操作系の好みで評価が分かれます。Digital Camera Worldは重量感のある操作感と堅牢な作り、タッチ操作に頼りすぎない操作系を特徴として挙げています。

握りやすさと操作系:物理ダイヤル中心の設計

ボタンとダイヤルが多く、主要設定をメニュー階層に深く潜らず変更しやすい設計です。撮影テンポを崩さずに操作したい人には利点になります。視野率約100%のペンタプリズム光学ファインダーを搭載し、遅延のない像で被写体を確認できます。ライブビューに頼らず撮るスタイルとも相性が良いです。

内蔵LEDイルミネーションは、レンズマウントや背面ボタン、カードスロット周辺などを照らせる設定が用意されています。Lonely Speckも暗所撮影で役立つ要素として取り上げています。操作の中心を物理ボタンに置ける点は、暗所やグローブ操作よりも「画面タッチに依存しない」こと自体がメリットになります。

耐久性と可動液晶:現場での撮りやすさ

The Vergeはマグネシウム合金ボディでdustproof & weather resistantだと紹介し、3.2型のフレキシブルチルト液晶も強調しています。この液晶は上下左右にチルトできる構造で、ローアングルや縦位置でも角度調整しやすいのが特徴です。

ボディだけで約1010gなので、レンズ込みの総重量は組み合わせ次第で増えます。長時間の携行を想定するなら、ストラップやバッグの選定は重要です。競合のフルサイズミラーレスはボディ単体が軽い機種も多いため、携帯性を最優先するなら割り切りが必要です。逆に防塵防滴に配慮した耐久性はK-1 Mark IIの狙いどころです。

画質のレビュー:低感度で高解像を狙う

Via: Digital Camera World

PENTAX K-1 Mark IIでまず注目されるのが、36.4MPのフルサイズセンサーによる解像力です。低感度で三脚を使った撮影では、風景の細部や質感が出しやすい傾向があります。一方でK-1 Mark IIは、アクセラレーターユニットによる高感度ノイズ低減が特徴で、RAWの処理傾向についてはレビューでも議論になっています。

36.4MPの解像力:レンズと撮り方で差が出る

Digital Camera Worldは長所として36.4MPセンサーと総合画質を挙げています。解像力を活かすには、被写体ブレを避け、ピント位置を丁寧に追い込む運用が前提になります。実戦では、低ISOで露出を安定させ、シャドーを過度に持ち上げないのが扱いやすい方法です。階調の粘りは、RAW現像で調整幅を確保しやすい方向に働きます。

The Vergeは、RicohがRGB色データを各ピクセルで扱うことで「より細かなディテールと色再現」につなげると説明している点も紹介しています。これは主に処理系(Pixel Shiftを含む)の話で、被写体や運用条件の影響も受けます。解像を狙うなら、ライブビュー拡大でピントを追い込み、三脚+セルフタイマーやレリーズで微ブレを抑えるのが基本です。36MPは撮影の丁寧さが結果に反映されやすいクラスです。

なお解像力はレンズにも依存します。高性能レンズほど、36.4MPの情報量を引き出しやすくなります。

RAWの傾向:ノイズ低減と微細ディテールのトレードオフ

Lonely Speckは、高ISO側(ISO 400超あたり)でRAWにノイズ低減が「焼き込まれる」挙動があり、微細ディテールにわずかな影響が出る、と具体的に触れています。ただし同レビューは「実写で致命的に崩れるわけではない」とも書いており、気になるかどうかは“星空の粒や微細描写をどこまで攻めるか”で分かれます。細部優先なら、初代K-1も含めて同条件で見比べる価値があります。

中古市場で比較する場合は、用途と価格差を基準に判断しやすいです。Digital Camera WorldはDNG RAWがAdobe Camera Rawで扱いやすい点にも触れており、RAW現像中心で運用する場合はワークフロー面の相性も確認しておくと安心です。

高感度・夜景についてのレビュー:ノイズは減るが上限ISOは過信しない

K-1 Mark IIの変更点として大きいのが、アクセラレーターユニットとPRIME IVによる高感度ノイズ低減の強化です。最高感度ISO 819200は標準出力の範囲に含まれます。ただし最高感度域の画質は撮影条件と許容度に左右されます。数値の上限は「撮れる可能性を広げる」要素として捉えるのが安全です。

高感度の狙い:アクセラレーターユニットの役割

The Vergeは、同じ36.4MPセンサーでもアクセラレーターユニットとPRIME IVにより、暗所での高解像に寄与すると紹介し、上限ISO 819200を強調しています。Digital Camera Worldも、アクセラレーターユニットが高ISOでの画質改善を狙う処理系だと整理しています。一方で超高感度域は画質が保証される領域ではありません。

Photography Blogは、ISO 51200〜819200は「スペック上は魅力的でも、実写では理想通りとは限らない」趣旨で注意を促しています。高ISOは最終出力サイズや用途に合わせて判断しましょう。またLonely Speckが指摘する通り、高ISOではRAWにノイズ低減が焼き込まれる挙動があり、細部の質感は好みが分かれます。

夜景・室内で失敗を減らす設定

RAW派は、ISOを上げすぎず、シャッター速度とボディ内手ぶれ補正を味方にするのが基本です。被写体ブレがない条件なら、ISOを抑えやすくなります。JPEG派は、ノイズ低減の強さを活かして撮って出しでまとめやすい反面、質感が滑らかに見えたらノイズ低減設定を弱めると調整しやすいです。

夜景を作品として仕上げるなら、三脚で低ISO運用に戻すのが再現性の高い手段です。K-1 Mark IIは低ISOの情報量が強みになります。競合のNikon D850は45.7MPに加え、連写や4K UHDなど総合力が高い方向。Sony α7 IIIは小型システムと連写性能で暗所の動体にも対応しやすいです。暗所でも何を撮るかで最適解が変わります。

手ぶれ補正とPixel Shiftのレビュー:センサー駆動の強み

Via: Digital Camera World

PENTAX K-1 Mark IIの特徴は、ボディ内手ぶれ補正(SRII)とセンサー駆動を活用した機能が多いことです。スペック表の数字以上に、撮影スタイルに直結する要素になります。Digital Camera Worldも、SR IIが手ぶれ補正だけでなく、AAフィルターシミュレーター(モアレ低減)など複数機能に使われる点を特徴として挙げています。

5軸手ぶれ補正:レンズを選びにくい利点

撮像素子シフト式5軸補正は、レンズ側手ぶれ補正に頼らず撮影画像を安定させます。手ぶれ補正のないレンズでも、ボディ側で補正が働くのが利点です。AAフィルターシミュレーターは、SRユニットを使って効き具合を切り替えられます。細かなパターンを撮る場合に、モアレ対策として選択肢になります。

なおボディ内手ぶれ補正(SR)は撮影画像に効きますが、光学ファインダー像が安定するタイプではありません。補正効果は撮影結果で確認する運用になります。夜の街角や室内で、ISOを必要以上に上げずに済む可能性がある点は、画質面でもメリットです。結果として高ISOの処理傾向を避けやすくなります。競合ミラーレスにも強力なIBISは多いですが、K-1 Mark IIは「センサー駆動を複数機能に使う」設計思想が特徴です。

Pixel Shift:三脚運用が基本、手持ちは条件付き

Pixel Shiftは4枚撮って色情報と解像を稼ぐ仕組みで、静物ではディテールや色再現の改善が狙えます。Lonely Speckも条件が合えば効果が大きいと述べています。K-1 Mark IIでは手持ちPixel Shift(Dynamic Pixel Shift)も用意され、PetaPixelはアップグレード項目としてこの点を紹介しています。

ただし手持ち対応のDynamic Pixel Shiftは万能ではありません。Digital Camera Worldは、手持ち合成に約30秒かかる一方で差が小さく、待ち時間に見合いにくい場面があったと述べています。Photography Blogも、手持ちモードは処理に約20秒かかり撮影がロックされる点、さらに状況によってはモアレやアーティファクト、ディテール低下が出うる点を具体的に挙げています。「ここぞの一枚」用に割り切ると失敗が減ります。

Astrotracerのレビュー:GPS連動の天体追尾

Via: Lonely Speck

星景撮影でK-1 Mark IIが注目される理由は、内蔵GPSとセンサーシフトを組み合わせて星を追尾できる(Astrotracer)ことです。外部トラッカーを使わずに長秒露光の成功率を上げたい場合に意味があります。Lonely Speckはこの機能を軸に実写し、天体撮影向けの強みとしてレビューしています。

Astrotracerの仕組み:GPS×センサーシフトで星を追う

Astrotracerは内蔵GPSや電子コンパス、加速度センサーなどの情報を使って、カメラの向きと地球の自転を考慮しながら追尾します。その上で、手ぶれ補正機構がセンサーを動かして自転ぶんを相殺します。Lonely Speckは最大5分の露光が可能だと紹介していますが、実際の追尾可能時間は条件(焦点距離など)に左右されます。

露光時間を伸ばせる=ISOを下げやすいというのが実戦のメリットです。星を止めつつノイズを抑えられるため、現像耐性を上げやすくなります。GPSは撮影地ログとしても利用できます。後から撮影場所を整理したい場合に便利です。

赤道儀を持ち歩かずに追尾できること自体が、K-1 Mark IIの独自性として評価されるポイントです。

実戦のコツと注意点:万能ではない

ポイントはキャリブレーションと、焦点距離の選び方です。広角〜中望遠は条件が合いやすい一方、望遠になるほど精度条件が厳しくなります。またLonely Speckは、Astrotracer中はタイムラプス撮影が使えないなど、運用面の制約も挙げています。ナイトビジョン系の表示は暗順応には便利ですが、Lonely Speckは画像確認や構図には向かないとも述べています。暗所では割り切りが必要です。

望遠で星雲を狙う、長時間の多枚数を積む、といった領域は外部トラッカーが有利です。K-1 Mark IIは“荷物を減らして撮る”ための選択肢になります。競合のミラーレスでも星は撮れますが、多くは外部トラッカー前提になりやすいです。ボディ単体で完結できる点がK-1 Mark IIの特徴です。

AF・連写のレビュー:スポーツ用途は得意ではない

PENTAX K-1 Mark IIは、動体撮影が主目的だとミスマッチになりやすい機種です。これは故障や個体差ではなく、仕様と設計の方向性によるものです。複数の実機レビューでも「スポーツや動画向きではない」という整理が繰り返し見られます。

AF:静物中心なら成立、ライブビューはコントラストAF

AFはSAFOX 12の位相差AF(33点、中央部25点はクロスタイプ)を採用し、低輝度はEV-3まで対応します。静物やゆっくりした動きなら成立しやすい構成です。一方でAF追従は「改善したが、スポーツ向きではない」という整理が大半のレビューで共通しています。Photography Blogは、AF-C時の追従アルゴリズムを見直して被写体の認識と追従が良くなった一方で、「スポーツ向きのカメラとは呼べない」とまとめています。Digital Camera Worldも結論で「スポーツや動画目的では選ばない」と言い切っており、ここは期待値調整が重要です。

ライブビュー時のAFはコントラスト検出方式です。動体をライブビューで追い続ける撮り方とは相性が良いとは言えません。中央付近のポイントで確実に合わせ、構図は後から整える、必要に応じてMFを併用する、といった運用が現実的です。逆に言えば、風景・建築・ポートレートのように「ピントを外さない」撮り方が中心なら、仕様上の不利が目立ちにくくなります。

連写とバッファ:4.4fpsの現実と対処

35mmフルサイズの連写は最高約4.4コマ/秒で、連続撮影枚数はJPEG(L・★★★)で約70枚、RAWで約17枚(連写H、ISO100)とされています。連写頼みの撮り方は得意ではありません。対処は、撮る瞬間を絞ることです。被写体の動きのピークを待って1枚で決めると歩留まりが上がりやすくなります。歩留まりが必要な場面では、ピント位置を固定して被写体が入ってくるタイミングを狙うなど、撮り方の工夫が効果的です。

JPEG連写に寄せる運用も可能ですが、RAWが必要な場面を“ここぞ”に絞ると、4.4fpsでも破綻しにくくなります。それでも動体メインなら、連写性能とAF追従で有利な機種(例:D850やα7 III)が現実的です。

動画のレビュー:撮れるが、仕様は静止画寄り

K-1 Mark IIは静止画を中心に設計された機種です。動画撮影自体は可能ですが、現代的な4K動画機と同列に考えるとギャップが出やすいです。The Vergeも、4Kは通常の動画ではなくインターバル動画モードに限られる点を明記しています。

動画スペック:通常の動画はフルHD/HDまで、4Kはインターバル

通常の動画記録はMOV(MPEG-4 AVC/H.264)で、解像度はフルHD(1920×1080)とHD(1280×720)まで。フルHDは60i/50i/30p/25p/24p、HDは60p/50pに対応します。4Kは通常の動画記録ではなく、インターバル動画(Interval Movie)/Star StreamとしてMotion JPEG(AVI)で作成する方式です。連続の4K動画を撮る設計ではありません。

4Kインターバルは、一定間隔で撮影したフレームから動画を作るイメージです。風景の雲の流れや星の軌跡表現に向きます。またライブビューAFがコントラスト検出である点は、動画で被写体を追従させたい用途では不利になります。日常Vlogや子どもの動画など“追従とテンポ”が必要な用途は、動画に強いミラーレスの方が成功率が上がります。

それでも動画を撮るなら:割り切りワークフロー

使いどころは、風景のB-rollや三脚固定のタイムラプスです。写真の延長として“静かな映像”を残す用途なら成立します。運用のコツは、AFに過度な期待をしないこと。マニュアルフォーカスと固定露出で、素材を安定させる方が失敗が減ります。音や追従まで含めた動画作品を狙うなら、最初から動画向きのボディへ。K-1 Mark IIは静止画の相棒として割り切る方が判断がシンプルです。

競合では、EOS 5D Mark IVやα7 IIIなどが4K動画の選択肢を持ちます。K-1 Mark IIは動画機能で張り合うより、写真で活かす方が適合しやすいです。「動画も少し」程度なら、外部マイクやジンバルより先に三脚や照明に投資すると結果が安定しやすくなります。

PENTAX K-1 Mark IIの作例まとめ

各実機レビュー内でK-1 Mark IIの実際の作例も紹介されています。

Via: Lonely Speck

Via: Digital Camera World

レンズ選び:Kマウントは資産になり得るが、選択肢は事前確認

Via: Lonely Speck

K-1 Mark IIはKマウントの交換レンズが使えるため、手持ちのレンズ資産がある場合は導入コストを抑えられる可能性があります。一方で、最新の動画AF運用やサードパーティの豊富さを前提にすると選択肢が合わない場合があります。

Kマウント運用の利点:ボディ内手ぶれ補正と組み合わせやすい

ボディ内手ぶれ補正(SRII)は、レンズ側手ぶれ補正の有無に依存しにくい方式です。手ぶれ補正のないレンズでも、撮影画像の安定に寄与します。入口としては標準ズームが付属する「28-105 WR レンズキット」を選ぶ方法があります。

ボディが防塵防滴に配慮した設計なので、レンズもWR系で揃えると天候変化の撮影で運用しやすくなります。そこから広角(星景・山岳)か、標準単焦点(人物・日常)を追加すると、得意分野を伸ばしやすいです。レンズ選びは、撮影頻度の高い被写体から逆算するのが堅実です。

弱点:サードパーティと最新AFレンズの選択肢

レンズの選択肢は、K-1 Mark IIの“向き不向き”を決める要素です。Lonely Speckは短所として、Kマウントは他マウントに比べてSigma・Zeiss・Tamronなどのサードパーティ選択肢が少なめと具体例を挙げています。単に本数が少ないだけでなく、「最新設計の軽量ズームを揃える」「動画AF前提で組む」用途ほど響きやすい点に注意が必要です。

とはいえ中古市場は流通があり、主要中古店では新品・中古が並ぶこともあります。欲しい画角を中古で補うのは現実的な戦略です。購入前に、必要な焦点距離が“純正であるか/中古で現実的か”を棚卸ししましょう。競合のE/Z/Rマウントは新レンズ供給とサードパーティが豊富です。K-1 Mark IIは「手持ち資産を活かす」発想で選ぶとズレが出にくくなります。

競合比較:K-1 Mark IIは“どこで勝つ”カメラなのか

良さは分かったが、他と比べてどうかという疑問に答えます。スペックの優劣だけでなく、撮影の軸が合うかが重要です。迷ったら、撮影頻度が一番高い被写体を基準にすると判断しやすくなります。比較対象は同世代のフルサイズ代表格(D850/EOS 5D Mark IV/α7 III)です。立ち位置が違う3台なので、差が見えやすいはずです。

機種

立ち位置まとめ

PENTAX K-1 Mark II(本カメラ)

風景・星景で強い独自機能(Astrotracer/Pixel Shift)を核にした堅牢フルサイズDSLR

Nikon D850

高画素を軸に、AF・連写・動画まで総合力で押し切る“万能寄り”フルサイズDSLR

Canon EOS 5D Mark IV

写真と動画のバランスを重視した定番プロ向けフルサイズDSLR

Sony α7 III

小型ボディに高感度・AF・4Kをまとめたハイブリッド志向のフルサイズミラーレス

スペック比較

主な仕様は各社の公表仕様をもとに整理しました。数字は比較の軸になりますが、撮影体験や運用コストも合わせて判断しましょう。

機種

画素数

連写

動画

強みの方向

PENTAX K-1 Mark II

約36.4MP

約4.4fps

フルHD中心(4Kはインターバル)

SRII/GPS・Astrotracer

Nikon D850

45.7MP

7fps(グリップ等で9fps)

4K UHD

高画素の総合力

Canon EOS 5D Mark IV

30.4MP

7fps

DCI 4K(Motion JPEG 4096×2160)

バランス型DSLR

Sony α7 III

24.2MP

10fps

4K/30p

小型ハイブリッド

K-1 Mark IIは独自機能の活用で評価されやすいタイプです。連写・動画の数値は控えめで、スピード勝負を前提にすると不利になります。

実写思想で選ぶ:どれがあなたの“撮りたい”に合うか

風景・星景・悪天候で「機能を使い切って静物を詰める」ならK-1 Mark II。Lonely Speckが星景向きとして取り上げるのも、この思想が強いからです。

スポーツやイベントで“逃さない”を優先するならD850やα7 III。連写とAF追従、システムの厚みが結果に直結します。

DSLRで動画も含めてバランスを求めるなら5D Mark IVが候補です。ただしシステム全体の将来性やレンズ供給も含めて考えると判断がしやすくなります。旅や日常で持ち歩く頻度が高い場合は、重量とサイズの価値も正直に点検しましょう。

PENTAX K-1 Mark IIのレビューまとめ

PENTAX K-1 Mark IIは、風景・星景・全天候の撮影で評価されやすいフルサイズ一眼レフです。ボディ内5軸手ぶれ補正(SRII)やAstrotracer、Pixel Shiftは用途に合うと強力な武器になります。一方で、AF追従、連写4.4fps、通常動画はフルHDまで(4Kはインターバル動画)という制約があり、重量も約1010gです。迷ったら、主役の被写体が「風景」「星」「動体/動画」のどれかで判断し、価格は新品・中古の表示とレンズ込み総額で比較すると失敗が減ります。


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