
マクロレンズとは?Nikonマイクロレンズおすすめと選び方も




マイクロレンズ(一般にはマクロレンズとも呼ばれます)は、被写体に近づいて細部を大きく写せる交換レンズです。仕組みや選び方を押さえると、花・昆虫・小物など身近な被写体の撮影がしやすくなります。ニコンでは接写用レンズを「Micro(マイクロ)」や「MC」を含む名称で展開しており、一般に「マクロレンズ」と呼ばれるカテゴリーに相当します。
この記事のサマリー

マイクロレンズの仕組みとマクロレンズとの呼び分けを整理します。

花・昆虫・テーブルフォトなど、近接撮影での使いどころを紹介します。

焦点距離・撮影倍率・ワーキングディスタンスから、レンズ選びの基準を整理します。

NikonマイクロレンズのZマウント/Fマウントの違いと、組み合わせ例を紹介します。

ピント合わせ・露出・ライティングの要点をまとめます。
マイクロレンズとは?マクロレンズとの違いを整理しよう

マイクロレンズは、被写体に近づいて撮影でき、最大撮影倍率が高いレンズの総称です。一般には「マクロレンズ」と呼ばれますが、ニコンでは接写向けレンズを「Micro」や「MC」を含む名称で展開し、「マイクロレンズ」という呼び方が使われます。呼称は異なりますが、近接撮影を目的としたレンズという点は共通です。まずは特徴と、普通のレンズと変わるポイントを押さえていきましょう。
マイクロレンズでできることをイメージする
マイクロレンズの大きな特徴は、被写体を大きく写し込めることです。最大撮影倍率が高いレンズなら、コインや花の中心部など小さな被写体を画面いっぱいに近いサイズで撮れます。これは最短撮影距離が短く、近距離でピントが合う設計になっているためです。標準ズームでは近づけない距離まで寄れるのが、マイクロレンズの強みです。
もうひとつの特徴が、近接撮影時の大きなボケです。被写体に近づくほど被写界深度(ピントの合う範囲)が浅くなり、背景を大きくぼかしやすくなります。花のしべや料理の一部分など、主役を限定して見せたい場面で効果が出やすい表現です。背景整理が難しいときほど、ボケを使った構図づくりが役立ちます。
多くのマイクロレンズは単焦点で、近接撮影だけでなく通常距離の撮影でも使えるよう画質を重視して設計されています。スナップでは標準単焦点・中望遠単焦点として使い、必要に応じて寄る、という運用も可能です。接写専用と決めつけず、被写体との距離で表現を変えるレンズとして捉えると使い道が広がります。
「マクロレンズ」と「マイクロレンズ」の名前の違い
各社のカタログでは、接写用レンズが「マクロレンズ」と表記されていることが一般的です。これは写真分野で広く使われている呼び方で、メーカー固有の機能差を示すものではありません。一方、ニコンは接写向けレンズを「Micro」や「MC」を含む名称で展開しており、製品カテゴリとして「マイクロレンズ」という呼称が使われます。
実用面では、呼称よりも仕様の確認が重要です。最大撮影倍率、最短撮影距離、フォーカス方式、手ブレ補正(VR)や防塵防滴など、撮影スタイルに影響する要素を見比べたほうが判断しやすくなります。購入前に作例だけでなく仕様表も確認し、撮りたい被写体に合うかを見極めましょう。
同じマイクロレンズでも、焦点距離や設計思想で得意な被写体が変わります。名前だけで選ぶのではなく、「どこまで寄りたいか」「どの程度距離を取りたいか」「手持ち中心か三脚中心か」といった条件を先に決めると、レンズの候補が絞り込みやすくなります。
マクロ(マイクロ)レンズが活きる被写体とシーン

マクロ(マイクロ)を使うと、身近な被写体でも細部を強調した写真が撮りやすくなります。花や昆虫はもちろん、料理や雑貨、時計やアクセサリーなど、被写体の候補は幅広いです。ここでは、使いやすい代表例と、工夫が必要になりやすい場面を整理します。
花・昆虫・小物で近接撮影を楽しむ
花を撮るときは、花びら全体だけでなく中心部に寄って、しべや花粉の形を狙うと細部が写りやすくなります。背景が散らかりやすい場合は、撮る角度を変えて空や緑など単純な面を背景にすると、主役が目立ちやすくなります。被写体が動かないぶん、ピント位置や構図の検討もしやすい被写体です。
昆虫は、ある程度距離を保てる中望遠域のマイクロレンズと相性が良い傾向があります。近づきすぎると逃げることがあるため、被写体との距離を確保しながら撮るほうが安定します。朝夕など気温が低い時間帯は動きが穏やかな場合があり、撮影の難易度が下がることもあります。歩留まりを上げたい場合は連写やAF-Cの併用も選択肢です。
小物や料理の撮影では、質感やディテールを強調しやすい点がメリットです。パンケーキの焼き色、アクセサリーの表面、時計の針など、細部を見せることで情報量が増えます。テーブルフォトでは、背景の小物を減らし、被写体との距離を調整すると、ボケを活かした立体感が出しやすくなります。
苦手なシーンと失敗しやすいパターン
マイクロレンズは万能ではなく、苦手になりやすい状況もあります。暗い場所で動きのある被写体を接写する場合は、被写界深度が浅いことに加えてシャッタースピードが不足しやすく、ブレとピンぼけが起きやすくなります。被写体の動きとカメラの揺れ、両方の影響を受けるためです。
もうひとつ起きやすいのが、レンズや手が光を遮って影が入るケースです。被写体に近づくほど、光源の位置によっては被写体の一部が不自然に暗くなることがあります。屋内のテーブルフォトでは特に起こりやすく、照明の位置や補助光の有無で仕上がりが変わります。
失敗を減らすには、無理に最大倍率まで寄らず、少し引き気味に撮ってトリミングで整える方法も有効です。被写界深度を確保しやすく、影も出にくくなります。最大倍率を常用するより、狙う描写に合わせて距離を調整するほうが安定します。
焦点距離で変わるマクロ(マイクロ)レンズの性格

マクロ(マイクロ)選びでは、焦点距離が使い勝手を大きく左右します。50mm前後の標準域と、90〜105mm前後の中望遠域では、写る範囲・背景の整理のしやすさ・被写体との距離感が変わります。どちらが優れているかではなく、「どんな被写体を、どの距離で撮ることが多いか」で判断するのが現実的です。
50〜60mm標準マイクロの強みと注意点
ポイント | 概要 |
|---|---|
得意シーン | テーブルフォト、小物、料理、室内撮影 |
メリット | 扱いやすい画角でフレーミングしやすい・日常スナップと兼用しやすい |
注意点 | ワーキングディスタンスが短い・影が出やすく背景も写り込みやすい |
向いている人 | 室内撮影や雑貨撮影が多い人、軽快な一本がほしい人 |
標準域のマイクロレンズは、広すぎず狭すぎない画角で撮りやすく、テーブルフォトや室内の小物撮影で扱いやすい傾向があります。被写体の周囲も含めて画面に収めやすく、撮影スペースが限られる場面でもフレーミングがしやすいのが特徴です。日常スナップと近接撮影を同じレンズで行いたい場合にも候補になります。
一方で、同じ撮影倍率を狙う場合、ワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体までの距離)は中望遠域より短くなりやすいです。昆虫など近づくと逃げる被写体では距離が詰めにくく、ライティングも影が出やすくなります。画角が広いぶん、背景に余計な要素が入り込みやすい点にも注意が必要です。
標準域のマイクロレンズは、最大倍率にこだわらず距離を調整しながら使うほうが安定します。皿の一部だけを切り取る、雑貨と背景の空気感を両立させるなど、接写とスナップの中間の距離感で使うと、画角の扱いやすさが活きます。
90〜105mm中望遠マイクロのバランス
ポイント | 概要 |
|---|---|
得意シーン | 花、昆虫、小動物、屋外の細部描写 |
メリット | ・距離を取りながら大きく写せる・背景をぼかして主役を分離しやすい |
注意点 | ・標準域より大きく重いモデルが多い |
向いている人 | 本格的にマクロ作品を撮りたい人、屋外撮影が多い人 |
90〜105mm前後の中望遠マイクロレンズは、被写体から距離を取りつつ大きく写しやすい焦点距離です。昆虫や小動物、屋外の花など、被写体に不用意に近づきにくい場面でも撮影距離を確保できます。背景を大きくぼかしやすく、主役を分離した画づくりにも向きます。
例えば「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」は、Zマウントの中望遠マイクロレンズで、レンズ内手ブレ補正(VR)を搭載しています。最大撮影倍率は1.0倍、最短撮影距離は0.29mで、等倍撮影から通常距離の撮影まで対応します。距離を取りたい被写体や、手持ちで撮る機会が多い場合に検討しやすいタイプです。
標準域に比べるとサイズと重量は増えやすいので、持ち歩きの頻度が高い場合は負担も考慮したほうが安心です。逆に、撮影距離を確保できることが歩留まりに直結する場面では、中望遠域の利点が大きくなります。
50〜60mm標準 vs 90〜105mm中望遠 ざっくり比較表
項目 | 50〜60mm標準マイクロ | 90〜105mm中望遠マイクロ |
|---|---|---|
画角 | 標準域で扱いやすい | 中望遠で背景を整理しやすい |
主な用途 | テーブルフォト、室内小物、日常スナップ兼用 | 花・昆虫・小動物、ポートレート兼用 |
ワーキングディスタンス | 短くなりがち/被写体にかなり近づく | 長めで距離を取りやすい |
ライティング | 影が出やすく工夫が必要 | ライト・レフ板を入れやすい |
携行性 | 小型・軽量なモデルが多い | やや大きく重くなりやすい |
向いている人 | 室内メイン・日常スナップで“ちょっと寄りたい”人 | マクロで作品づくりをしたい人、昆虫・花を本格的に撮りたい人 |
撮影倍率・最短撮影距離・ワーキングディスタンスを押さえる
マクロ(マイクロ)レンズの仕様表では、「最大撮影倍率」「最短撮影距離」が重要な指標になります。最大撮影倍率はセンサー面上での再現比を示し、最短撮影距離はどこまで近づいてピントが合うかの目安です。さらに実用上は、レンズ先端から被写体までの距離であるワーキングディスタンスも確認すると、撮影のイメージがしやすくなります。
1.0倍と0.5倍の違いを感覚でつかむ
最大撮影倍率1.0倍(等倍)は、被写体の大きさとセンサー上の像の大きさが同じになります。0.5倍はセンサー上で1/2の大きさです。メーカーやレンズによっては0.5倍を「ハーフマクロ」と表記することもあります。コインや小さな花を画面いっぱいに写したい場合は、等倍対応のレンズが分かりやすい基準になります。
実際の撮影では、常に最大倍率を使う必要はありません。Web掲載やSNS用途なら0.5倍程度でも拡大感のある写真が撮れることが多く、足りない分はトリミングで補う選択肢もあります。まずは「どのサイズ感で見せたいか」を決め、最大倍率が必要かどうかを判断すると、レンズ選びが整理できます。
なお、撮影倍率(センサー面上の再現比)はレンズの仕様で、センサーサイズが変わっても同じです。一方、APS-C(DX)では写る範囲が狭くなるため、同じ撮影倍率でも被写体がフレーム内で大きく見えます。異なるセンサーサイズ同士で比較するときは、写る範囲(35mm判換算)の違いも含めて考えると理解しやすくなります。
等倍にこだわりすぎない考え方
「等倍でないと意味がない」と決めつけると、選択肢が狭まりやすくなります。等倍対応レンズは表現の幅が広がる一方、サイズや価格が上がる場合があります。撮る被写体や運用(手持ち中心か、三脚中心か)によって必要な倍率は変わるため、最大倍率だけで判断しないほうが現実的です。
重要なのは、撮りたい被写体に対して快適な撮影距離を確保できるかどうかです。料理や小物ならテーブル上で無理なくフレーミングできること、昆虫中心なら被写体を驚かせない距離が取りやすいことが優先になります。倍率よりも、ワーキングディスタンスや焦点距離の相性を重視すると、撮影のストレスが減ります。
例えば「NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7」は、DXフォーマット対応の標準マイクロレンズで、最大撮影倍率0.67倍、最短撮影距離0.16mです。最大倍率を抑えつつ、日常の標準画角としても使えるようバランスを取った設計の例と言えます。仕様表の数字に加えて、持ち歩きやすさや使う頻度も含めて検討すると判断しやすくなります。
Nikon Zマイクロレンズの選び方

NikonのミラーレスZシリーズには、フルサイズ対応の「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」、APS-C(DX)対応の「NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7」など、接写に強いレンズが用意されています。焦点距離と最大撮影倍率の違いで使い勝手が変わるため、用途を想定して選ぶことが重要です。
レンズ名 | 焦点距離 / 対応 | 最大倍率 / 最短距離 | 得意なシーン | 選ぶ基準 |
|---|---|---|---|---|
NIKKOR Z MC 50mm f/2.8 | 50mm(フルサイズ) | 1.0倍 / 0.16m | テーブルフォト、小物、日常スナップ | 室内・雑貨・料理撮影を中心にしたい人。軽快に寄れる万能タイプ |
NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S | 105mm(フルサイズ) | 1.0倍 / 0.29m | 花・昆虫・屋外撮影、作品制作 | 距離を取りながら撮りたい人。背景を大きくぼかしたい人。VRで手持ちにも強い |
NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7 | 35mm(APS-C)※約52.5mm相当 | 0.67倍 / 0.16m | 日常スナップ、テーブルフォト、携帯性重視 | DX機で“寄れる日常レンズ”がほしい人。軽く・明るく・普段使いしやすい |
NIKKOR Z MC 50mm f/2.8のポイント
MC 50mmは、フルサイズ対応の標準マイクロレンズで、最大撮影倍率は1.0倍、最短撮影距離は0.16mです。マクロ撮影からスナップまで幅広い用途に対応します。標準域の画角なので、テーブルフォトや小物撮影でもフレーミングがしやすく、近接撮影の入口としても扱いやすいタイプです。
テーブルフォトでは、皿全体を入れる撮り方と、ソースや具材の質感に寄る撮り方を切り替えやすい点が利点になります。開放付近ではボケが大きくなりやすく、少し絞るとピント面の情報量を増やせます。被写体の見せたい範囲に合わせて絞りを調整すると、仕上がりの再現性が上がります。
等倍付近まで寄るとワーキングディスタンスが短くなるため、影の入り方に注意が必要です。自然光なら光源の方向を変える、屋内なら補助光を追加するなど、被写体の明るさを確保すると失敗が減ります。普段使いでは、最大倍率に固定せず距離を調整して使うほうが安定します。
NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR SとDX用マイクロの使い分け
MC 105mm f/2.8 VR Sは、中望遠域のマイクロレンズで、レンズ内手ブレ補正(VR)を搭載しています。最大撮影倍率は1.0倍、最短撮影距離は0.29mです。被写体から距離を取りやすく、昆虫や屋外の花など、近づきにくい被写体でもフレーミングの自由度が上がります。
DX機向けでは「NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7」が代表例です。焦点距離35mmはDX機で使うと35mm判換算で約52.5mm相当の画角になり、テーブルフォトからスナップまで扱いやすい範囲です。最大撮影倍率0.67倍、最短撮影距離0.16mなので、日常の延長で近接撮影を取り入れやすい仕様です。
選び方の軸としては、テーブルフォトや日常スナップを重視するなら標準域、被写体との距離を確保したいなら中望遠域が候補になります。あわせて、最大撮影倍率・最短撮影距離と、実際に必要な撮影距離のイメージを揃えておくと失敗しにくくなります。
FマウントのNikonマイクロレンズをZボディで楽しむ
一眼レフ時代からNikonを使っている方は、Fマウントのマイクロレンズを持っているかもしれません。Zシリーズではマウントアダプター(FTZ/FTZ II)を使うことで、多くのFマウントレンズを装着できます。機能の対応状況はレンズによって異なるため、特にオートフォーカスと手ブレ補正の扱いを事前に確認することが大切です。
定番の60mm・105mm・85mmマイクロを再活用する
Fマウントのマイクロレンズでは、AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G、AF-S Micro NIKKOR 105mm f/2.8G VR、APS-C用のAF-S DX Micro NIKKOR 85mm f/3.5G ED VRなどが代表的です。中古市場でも流通があり、状態や付属品を確認しながら選べます。すでに手元にある場合は、まずはそれを活用するのが合理的です。
FTZ/FTZ II経由のAFは、AF-S/AF-P/AF-Iなどレンズ側にAFモーターを内蔵するレンズで利用できます。AFモーター非内蔵のレンズはマニュアルフォーカスになります。VRはレンズ側に搭載されている場合に動作します。運用前に、手元のレンズがどの方式かを確認しておくと安心です。
Zボディでは、EVFや背面モニターの拡大表示、フォーカスピーキングなどを使ってピント合わせを支援できます。マクロ撮影ではピント位置がシビアになりやすいため、これらの機能を併用すると撮影の再現性が上がります。Fマウント資産を活かしつつ、ミラーレスの補助機能を取り入れる運用が現実的です。
FTZアダプターで広がる接写のバリエーション
FTZ/FTZ IIを使うと、マイクロレンズ以外のFマウントレンズもZボディで運用できます。例えば単焦点レンズにクローズアップフィルターを組み合わせて簡易的な近接撮影をする、といった方法もあります。専用マイクロレンズほどの再現性は得にくいものの、手元の機材で試せる点がメリットです。
また、Fマウントには「AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-ED」のような200mmクラスのマイクロレンズも存在します。Zマウントの純正マイクロレンズは標準域・中望遠域が中心のため、長い撮影距離を確保したい場合は、アダプター経由の運用が選択肢になります。昆虫など被写体に近づきにくい場面では、焦点距離の長さが有利に働くことがあります。
Fマウント資産を持っている方は、まずFTZ/FTZ II経由で実際の使い勝手を確認し、不足している焦点距離や運用上の不満点を整理すると判断しやすくなります。そのうえで、Z専用のマイクロレンズを追加するか、既存レンズを継続活用するかを決めると無駄が減ります。
撮影ジャンル別・おすすめNikonマイクロレンズ活用例

マクロ(マイクロ)レンズは、被写体の種類によって「扱いやすい焦点距離」が変わります。ここではニコンのマイクロレンズを前提に、ジャンル別に運用の目安を整理します。具体的な撮影場面を想定しながら読むと、必要なレンズのイメージが固まりやすくなります。
撮影ジャンル | レンズ | 要点 |
|---|---|---|
花・テーブルフォト(室内・屋外) | NIKKOR Z MC 50mm f/2.8NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7(DX) | ・画角が扱いやすく背景と被写体のバランスが良い |
料理・小物・日常スナップ兼用 | Z MC 50mm f/2.8Z DX MC 35mm f/1.7(DX) | ・“寄れる標準レンズ”として万能 |
昆虫・小動物マクロ(屋外) | NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S | ・撮影距離を確保でき逃げられにくい |
風のある屋外の花/細部描写 | Z MC 105mm f/2.8 VR S | ・ワーキングディスタンスに余裕が出る |
DXでの汎用マクロ・日常兼用 | Z DX MC 35mm f/1.7 | ・52.5mm相当で扱いやすい画角 |
花・テーブルフォトで使いやすい組み合わせ
花やテーブルフォト中心なら、標準域のマイクロレンズ(例:MC 50mm)は選択肢になりやすい組み合わせです。室内外で画角が扱いやすく、被写体と背景のバランスを調整しやすい傾向があります。絞りはF2.8〜F4付近で主役の一部を際立たせる、F8前後で情報量を増やすなど、目的に応じて変えると再現性が上がります。
DX機なら、DX対応のマイクロレンズ(例:Z DX MC 35mm f/1.7)でテーブル上の被写体を広く捉えつつ、必要に応じて寄る運用が組みやすいです。室内撮影は光量が不足しやすいので、シャッタースピードを確保できるようISOや補助光も併用すると安定します。窓光と小型LEDライトを使い分けるだけでも、影のコントロールがしやすくなります。
花撮影では、ローアングルから空や遠景を背景に入れると、主役を分離しやすくなります。チルト液晶やバリアングル液晶があるボディでは、低い位置からでも構図を作りやすくなります。ピクチャーコントロールやホワイトバランスを活用して色味を整えると、撮影後の調整量を減らせます。
昆虫・屋外マクロで意識したいポイント
昆虫や小さな生き物を狙うなら、105mm前後の中望遠マイクロレンズは撮影距離を確保しやすい傾向があります。被写体に近づきすぎずにフレーミングできるため、逃げられるリスクや影の影響を抑えやすくなります。機種によっては被写体認識AFや追従AFが使えるため、動く被写体では機能の活用も検討できます。
屋外のマクロ撮影では、風の影響が大きくなります。風が強い日は被写体が揺れてピントが合いにくくなるため、シャッタースピードを上げてブレを抑える考え方が有効です。ISOを上げるか、補助光を使うかは環境次第ですが、まずは「被写体ブレを止める」基準で設定を組むと歩留まりが上がりやすいです。
背景選びも重要です。昆虫を真横から撮ると、後ろに枝や葉が重なりやすく、主役が埋もれることがあります。少し立ち位置を変えて、遠くの空や草地を背景にできる角度を探すと、ボケが効いて主役が目立ちやすくなります。マクロでは一歩の移動が背景を大きく変えるため、構える前に背景を確認する習慣が有効です。
マクロ(マイクロ)レンズ撮影の設定とピント合わせのコツ
マクロ(マイクロ)レンズの撮影では、被写界深度の浅さとブレの影響を受けやすくなります。露出とピント合わせの基本を押さえると、再現性が上がり、失敗カットを減らしやすくなります。ここでは、まず試しやすい設定の考え方を整理します。
絞り・シャッター速度・ISOのバランス
マクロ撮影では、絞りの設定が画作りを左右します。まずはF8前後を基準にすると、被写界深度と解像感のバランスが取りやすくなります。主役全体にピントを合わせたいときはF11付近まで絞り、背景をよりぼかしたいときはF4〜5.6にするなど、被写体の立体感に合わせて調整しましょう。
シャッタースピードは、焦点距離に応じてブレが目立ちやすくなります。ブレが気になる場合は速度を上げ、必要に応じてISOを上げて対応します。ISO感度を上げられる上限は、機種と用途(表示サイズやノイズ許容度)で変わります。迷う場合は、まずISOオートの上限を低めに設定し、必要に応じて段階的に上げて確認すると判断しやすくなります。
露出モードは、慣れるまでは絞り優先AEが扱いやすいです。絞りで被写界深度を管理しつつ、シャッタースピードの不足がないかを確認し、露出補正で明るさを整えます。明暗差が大きい被写体では、白飛び・黒つぶれもチェックしておくと安心です。
AFとMFを使い分けるピント合わせ術
マクロ撮影では、AFだけに頼ると意図しない場所にピントが合うことがあります。動く被写体を追うときはAFが有利ですが、微妙な位置を狙う場合はMFの併用が有効です。Zボディならフォーカスピーキングや拡大表示を活用して、ピント面を確認しながら調整できます。
実践では、AFでおおまかな距離を合わせてからMFで微調整する方法が使いやすいです。三脚を使う場合は、ピントリングよりもカメラ位置を前後に微調整するほうが追い込みやすい場面もあります。連写で数枚撮って微妙なピンの違いを後で選ぶ運用も、歩留まりの改善につながります。
AFエリアは、小さめのスポットを使うと狙った場所に合わせやすくなります。昆虫の目や花のしべの先など、主役にしたいポイントを明確にしてから合わせるのがコツです。マクロは少しのズレで結果が変わるため、同じ被写体で設定と結果を比較していくと上達が早くなります。
マクロ(マイクロ)レンズのまとめ
マイクロレンズ(マクロレンズ)は、花や昆虫、小物などの細部を大きく写せるレンズです。焦点距離・最大撮影倍率・最短撮影距離・ワーキングディスタンスを確認すると、用途に合うレンズを選びやすくなります。ニコンではZマウントのMCレンズや、Fマウント資産をFTZ/FTZ IIで活用する方法があり、撮影距離や運用に合わせて選択肢を組めます。
次の一歩として、撮りたい被写体を決め、候補レンズの最大撮影倍率と最短撮影距離、アダプター使用時はAF対応可否を確認してみてください。条件が揃ったら、花や小物など動かない被写体から試すと、設定と結果の関係が掴みやすくなります。
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