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【2025年版】RF28-70mm F2.8 IS STMのレビュー比較まとめ




RFマウントの標準ズームを選ぶとき「Lレンズは高くて重い、でもキットズームでは物足りない…」と悩む声をよく耳にします。そんな隙間を狙って登場したのが、ズーム全域F2.8の標準ズーム「RF28-70mm F2.8 IS STM」です。この記事では複数の実機レビューを横断しながら、RF28-70mm F2.8 IS STMの使い勝手や競合比較を整理します。読み終わるころには、「自分に向いている一本かどうか」をかなり具体的にイメージできるはずです。
この記事のサマリー

約495g・全長約92.2mmの小型ボディにズーム全域F2.8と光学手ブレ補正を搭載した、キットズームからのステップアップに適したフルサイズRF標準ズームです。

広角〜中域の解像力はRF24-70mm F2.8Lに迫るとするレビューが多い一方、70mm端の四隅はOpticalLimitsなどが「絞り込みが前提」と評価しており、高画素機での風景・建築では配慮が必要です。

RAWでは28mm側を中心に歪曲収差と周辺減光が大きく、カメラ内補正や現像ソフトのレンズプロファイル適用を前提とした設計といえます。

リードスクリュー式STMによるAFは静かで高速、5.5〜7.5段分の手ブレ補正と非常に少ないフォーカスブリージングにより、動画用の標準ズームとしても高い評価を受けています。

RF24-70mm F2.8LやRF28-70mm F2Lより軽く安く、RF24-105mm F4Lより一段明るい“中間ポジション”の1本で、コスパ重視のハイブリッドシューターにとって有力候補です。
レビュー要点:RF28-70mm F2.8 IS STMはどんな人におすすめ?
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まずはRF28-70mm F2.8 IS STMのレビューの結論を先に整理しておきます。どんなシーンで真価を発揮するのか、逆にどんな人には刺さりにくいのかを海外レビューの傾向も踏まえてざっくり把握しておくと、後半の細かいスペックや描写の話が一気に理解しやすくなります。
おすすめできるユーザー像:軽さとF2.8を両立させたい人
RF28-70mm F2.8 IS STMの一番の売りは、F2.8通しなのに約495gという軽さです。キヤノン公式の特長ページや開発者インタビューでも「ズーム全域で大口径F2.8」「小型・軽量」「Lレンズに匹敵するような光学性能」といったキーワードが推されており、携帯性と描写をバランスさせたコンセプトがはっきりしています。
ExposureTherapyのレビューでは、このレンズを「EF-S 17-55mm F2.8 IS USMのフルサイズ版のような存在」と評し、「全域で非常にシャープで、特に広角〜中域ではRF24-70mm F2.8Lと区別がつかないレベル」と高評価。旅行・スナップ・イベント撮影の“常用1本”として十分な画質とされています。
James Reader氏も、ポートレートや風景・イベント・旅行撮影で集中的に実機テストしたうえで、「サイズと重さ、価格、画質のバランスが非常に良く、RFマウントで最初に選ぶ標準ズームとして強く勧められる」とコメント。登山や旅行で常にカメラを持ち歩くスタイルのフォトグラファーにとって、負担になりにくいF2.8ズームであることがうかがえます。
向いていないケース・注意したいポイント
一方で弱点もはっきりしています。まず広角端が28mmスタートなので、「室内での大人数集合写真や、手持ち自撮りVlogを一本で完結させたい」という用途では少し狭く感じるはずです。Cameralabsのレビューでも「三脚に固定したトーキングヘッド用途には十分だが、フルサイズ機で腕を伸ばして撮る自撮りVlogには28mmではやや足りない」と指摘されています。
もう一つの大きなポイントが、70mm端の四隅の画質です。OpticalLimitsは「低〜中域では素晴らしいが、70mm端の四隅はF2.8では低評価で、F11まで絞ってようやく実用レベル」とかなり辛口。特に高画素ボディで、70mm端で画面隅までカチっと写したい風景・建築撮影にはあまり向かないというニュアンスでまとめています。
さらにRAWで撮ると、28mm側を中心に歪曲収差と周辺減光がかなり強めです。JPEG撮影やLightroomなどのレンズプロファイル適用を前提に設計されていると見られるため、「補正前の素の状態で周辺まで整った描写が欲しい」というユーザーは、この割り切りをどう見るかを考えておいた方がよいでしょう。
レビュー全体のトーン:好意的だが“割り切り前提”のレンズ
RF28-70mm F2.8 IS STMの各実機レビューを俯瞰すると、「コンセプトは大成功、ただし光学的な妥協も少なくない」というトーンが共通しています。Digital Camera Worldは本レンズを「キットズームの約半額で手に入る“トリニティ級”標準ズーム」と表現し、携帯性と価格に対してF2.8と高い手ブレ補正性能を得られる点を高く評価しています。
一方、OpticalLimitsは光学評価6/10とやや厳しめで、「低〜中域はプライムレンズ級だが、70mm端の隅と補正前提設計、沈胴機構、フード別売による割高感」をまとめて指摘しています。対照的に、James Reader氏は「期待値低めで試したが、24-70mm F2.8Lや28-70mm F2Lと比較しても、価格を考えれば驚くほど健闘している」とし、価格と携帯性を重視する多くのユーザーにはこちらの方がバランスの良い選択肢だと述べています。
RF28-70mm F2.8 IS STMの要素別レビュー早見表
評価は割れる要素はありますが、「軽さとF2.8を両立させたい人には強く刺さる」という点はおおむね共通しています。
要素 | 要素別レビューサマリ |
|---|---|
サイズ・重量・ビルドクオリティ | F2.8通し標準ズームとしては驚異的に軽量コンパクトで持ち出しやすい一方、沈胴のひと手間とフード別売は割り切りポイント。 |
AF・手ブレ補正・操作性 | STMでもAFは速く静かで実用性は高い、さらにISが強力で暗所や手持ちに強いが、操作系はミニマルなので物理リングやスイッチの好みで評価が分かれる。 |
解像力と描写傾向 | 広角〜中域はシャープでコントラストも良好、ただし70mm端の四隅は甘くなりやすく絞り推奨で、風景・建築で隅まで攻める人は注意。 |
ボケ描写とF2.8の表現力 | F2.8通しで背景をしっかり整理でき、人物〜スナップで使いやすいボケだが、条件によっては背景が少しざわつくこともある。 |
歪曲収差・周辺減光・補正前提の設計 | RAWでは歪曲と周辺減光が強めで“補正前提”色が濃い一方、JPEGやプロファイル適用では実用上目立ちにくく、補正を許容できるかが評価の分かれ目。 |
動画撮影・Vlogでの使いやすさ | 静かなAF+強力IS+フォーカスブリージングが少なめで動画向きだが、手持ち自撮りVlogでは28mmスタートがやや狭いと感じる可能性がある。 |
基本情報のおさらい:発売日・価格・スペックの重要ポイント
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ここからはRF28-70mm F2.8 IS STMの基本情報を整理します。発売日や国内価格、主要スペックを押さえておくと、後で登場する競合レンズとの比較もしやすくなります。とりあえずスペックの骨格だけ知りたいという人も、このブロックを読めば概要はつかめるはずです。
発売日と国内価格帯:18万円クラスの“準プロ標準ズーム”
RF28-70mm F2.8 IS STMは、フルサイズ対応のRFマウント標準ズームとして2024年9月27日に発売されました。メーカー公式の販売価格は188,100円(税込)です。RF24-70mm F2.8L IS USM(約2,500ドル前後)のほぼ半額で、RF28-70mm F2L USMと比べても3分の1〜半分程度の価格レンジに位置づけられています。この価格帯からも「大三元クラスのスペックを、Lレンズより身近な価格で」という狙いが読み取れます。
主なスペック:小型軽量・F2.8通し・強力IS
項目 | 内容 |
|---|---|
焦点距離 | 28〜70mm |
開放F値 / 最小F値 | F2.8(ズーム全域) / F22 |
レンズ構成 | 12群15枚(UDレンズ2枚、ガラスモールド非球面2枚) |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
最短撮影距離 | 0.27m(28mm・AF) / 0.24m(28mm・MF) |
最大撮影倍率 | 0.24倍(70mm時) |
手ブレ補正 | 光学5.5段 / ボディ協調 最大7.5段(中央) |
フィルター径 | 67mm |
サイズ | 最大径 約76.5mm × 全長 約92.2mm(沈胴時) |
質量 | 約495g |
RF28-70mm F2.8 IS STMの最大の特徴は、フルサイズ対応・F2.8通しの標準ズームでありながら約495gという軽さにあります。一般的な大三元標準ズームが800〜900g前後であることを考えると、持ち出しやすさは明らかです。レンズ構成は12群15枚で、UDレンズと非球面レンズをバランスよく配置。9枚円形絞りの採用により、ズームレンズとしては自然で扱いやすいボケ描写が得られる設計になっています。
最短撮影距離は28mm側で0.27m、最大撮影倍率は0.24倍と、テーブルフォトや小物撮影にも十分対応可能です。標準ズーム一本で日常スナップから簡易的な物撮りまでこなせる守備範囲の広さがあります。手ブレ補正はレンズ単体で5.5段、IBIS搭載ボディとの協調で最大7.5段とされており、F2.8の明るさと組み合わせることで、夜景や室内でもシャッター速度に余裕が生まれます。「暗所に強いのに軽い」というキャラクターは、このスペックからはっきり読み取れます。
ボディとの組み合わせイメージ
EOS R8(約461g)と組み合わせた場合、ボディ+レンズで約950g前後に収まり、「フルサイズ+F2.8標準ズーム」としてはかなり軽量なセットになります。街歩きや旅行撮影でも、首や肩への負担を抑えやすい構成です。
一方でEOS R6 Mark IIやEOS R5 Mark II、EOS R3といった上位・大型ボディに装着すると、ボディ側の存在感が勝ち、レンズが軽く感じられるバランスになります。従来の“大三元ズーム+グリップ”構成と比べると総重量は大きく抑えられるため、高性能ボディを活かしつつ機動力を確保したい人に向いた組み合わせと言えるでしょう。
サイズ・重量・ビルドクオリティ:Lレンズ級の安心感はある?

スペック表の数字だけではイメージしにくいのが、実際のサイズ感とビルドクオリティです。RF28-70mm F2.8 IS STMは非Lレンズながら防塵防滴構造や新設計のISユニットを備え、「小型軽量だけれど安心して使えるのか」という点が気になるところ。実機レビューのコメントも交えながら、実際のフィーリングを整理してみます。
500g以下のF2.8ズームという軽さ
まずインパクトが大きいのが、約495gという重量です。Digital Camera Worldは「RF24-105mm F4Lと比べて長さは約14%短く、重量は約30%も軽い」と表現し、フルサイズ対応のF2.8標準ズームとしては驚くほどコンパクトだと評価しています。キヤノンの特長ページでは、本レンズを「ズーム全域で大口径F2.8、レンズ内手ブレ補正機構も搭載しながら、小型・軽量で気軽に持ち運べる標準ズーム」と紹介しており、その裏側にはISユニットの小型化や沈胴機構の採用といった工夫があると説明されています。
James Reader氏は「わずか490g程度と非常に軽量で、他の標準ズームと比べても持ち出しやすさが際立つ」と述べ、実際に旅行でほぼこのレンズ一本で撮影したときの負担の少なさを強調しています。重いトリニティズームを持ち歩くのがしんどい人にとって、この軽さは実戦上の大きなメリットです。
沈胴構造と取り回し:慣れるまでは少しクセあり
RF28-70mm F2.8 IS STMは沈胴式で、収納時は28mm位置からさらに回して「LOCK」にしまい込む構造です。撮影時にはズームリングを28mm位置まで回して“ポップアップ”させる必要があり、沈胴状態のまま電源を入れると「レンズを撮影位置に繰り出してください」という趣旨の警告が出てシャッターが切れません。Cameralabsは「沈胴設計そのものは理解できるが、撮影前に一手間増えるので最初はやや煩わしい」としつつも、ズームロックレバーが不要になり、収納時のコンパクトさとトレードオフだと評価しています。慣れてしまえば操作手順として自然に身につくレベルのクセという印象です。
沈胴時は非常に短くまとまるため、バッグへの収まりも良好です。移動時は沈胴+電源オフ、撮影時は構えながら28mmまで回して起動、という一連の動作に慣れると、「沈胴ゆえのワンアクション」と「コンパクトさ」のどちらを取るかは好みの問題になってきます。
防塵防滴と外装の質感:プラ外装だが安っぽくはない
外装は主に高剛性プラスチックですが、ゴムリングの質感やバレルの剛性感は良好です。Exposure Therapyは「Lレンズではないが、全体としてしっかりした作りで、沈胴バレルを除けば安心感がある」と評価しています。マウント側にはゴムシーリングがあり、キヤノンは公式に本レンズが防塵・防滴構造を備えていると説明しています。「Lレンズに近いレベルの防塵防滴性能」と評されることも多く、雨天や砂埃のある環境でも常識的な使い方であれば大きな不安はなさそうです。
一方でフィルターねじやフードマウントが樹脂製である点については、OpticalLimitsなどが「長期使用での摩耗がやや気になる」とコメントしており、ビルドクオリティは実用レベルながら“完璧なLレンズ級”とまでは言えない、という立ち位置です。
AF・手ブレ補正・操作性:静止画も動画も頼れる一本か
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標準ズームを一本で回すなら、AF性能と手ブレ補正の安定感は非常に重要です。RF28-70mm F2.8 IS STMは「STMだから遅いのでは?」という不安を持たれがちですが、レビューを読む限り、静止画・動画ともにかなり高いレベルに仕上がっています。
STMとは思えない高速・静粛AF
AF駆動にはリードスクリュー式STMが採用されており、キヤノンは静粛かつ高速なAFであるとアピールしています。James Reader氏は「USM搭載のRF24-70mm F2.8Lほどではないが、それにかなり近い速度と精度で、数千枚撮った中でAFミスはほとんど見当たらなかった」と述べています。Digital Camera Worldも、EOS R6 Mark IIやEOS R8との組み合わせで「非常に素早く静かなAFで、スチルと動画の両方に適している」と評価しており、STMだからといってAF性能で大きく妥協する必要はなさそうです。
被写体追従についても、R5 Mark IIやR6 Mark IIの瞳AFと組み合わせたテストで高いヒット率が報告されており、ポートレート・動きのあるスナップ・簡単な動体撮影まで、標準ズームとして期待される範囲は十分カバーできる印象です。
5.5〜7.5段分の手ブレ補正と実写感覚
レンズ単体で5.5段分、IBIS搭載ボディとの協調時で最大7.5段分(中央/周辺7.0段)を謳う手ブレ補正は、スペック上もかなり強力です。Digital Camera Worldは夜景のサンプルで、70mm・1/10秒の手持ち撮影を掲載し「ISオンでは実用的なシャープさ、オフでは明らかにブレる」とコメントしており、数字どおり“止まるIS”として機能していることを確認しています。
James Reader氏も動画撮影で「RFマウントの中でもトップクラスに安定感のあるIS」と表現しており、被写体を追いながら歩くようなシーンでも揺れ方が比較的滑らかで扱いやすいと述べています。静止画・動画のどちらでも、低速シャッターや手持ち撮影の自由度を大きく引き上げてくれる要素です。
リング・スイッチ類と操作性
操作系はシンプルで、沈胴兼用のズームリングと、プログラマブルなコントロールリング(フォーカス兼用)の2本構成。側面にはAF/MFとコントロールリング機能切り替えスイッチ、ISオンオフスイッチが並びます。Exposure Therapyは「コントロールリング兼用のフォーカスリングはクリックレスで、トルク感も適度だが、AF/MF/Control切り替えスイッチがやや小さく真ん中の位置に合わせるのが少しシビア」とコメント。とはいえ、総じて物理操作部はミニマルで迷いにくく、カスタム次第で“ズーム+絞り”“ズーム+ISO”“ズーム+MF”など、自分のスタイルに合わせた運用がしやすい構成です。
スチルも動画も一本でこなすハイブリッドシューターにとって、必要十分な物理インターフェースと言えるでしょう。
解像力と描写傾向:広角〜中域は抜群、70mm端のクセ
RF28-70mm F2.8 IS STMのレビューで最も意見が割れているポイントが、解像力と画質です。広角〜中域は“Lレンズ級”と絶賛する声が多い一方で、70mm端の四隅についてはかなり辛口な評価もあります。各レビューを整理しつつ、実戦でどこまで気にする必要があるのかを考えてみます。
広角〜中域はLレンズに迫るシャープさ
Exposure Therapyは、本レンズを「ズーム全域で非常にシャープで、特に28〜50mm付近ではRF24-70mm F2.8Lと区別がつかないレベル」と評価しています。James Reader氏も、28mm・35mm・50mm付近の作例を並べたうえで「F2.8から中央は非常にシャープで、F5.6〜F7.1に絞ると画面端までディテールがしっかり出る」と述べています。
Digital Camera Worldのラボテストでも、センターシャープネスは全ズーム域・全絞りを通して非常に高く、周辺〜隅もF4〜F11まで絞れば安定して良好という結果。少なくとも中央解像力に関しては、価格帯以上の性能を持っていると見て良さそうです。
70mm端の四隅:測定値と実写評価のギャップ
一方、OpticalLimitsのラボテストでは「低〜中域ではプライムレンズ級の解像だが、70mm端では四隅の解像が崩れ、F2.8では“poor”評価、F11まで絞ってようやく実用レベル」とされています。光学評価のスコアも10点満点中6点と、やや辛口です。
ただし同サイトも、「ポートレート用途で70mmを使うなら四隅の弱さはほとんど問題にならない」と述べており、実戦でシビアに効いてくるのは「高画素機で、風景や建築を隅までカチっと写したい」ようなケースに限られます。中央〜中間部の解像は非常に高いため、被写体が画面中央付近に収まる用途では特に問題にならないでしょう。
James Reader氏の作例を見る限り、70mm・F2.8のポートレートでも被写体周辺の細部描写は非常に良好で、「むしろ70mm端に行くほどセンターシャープネスが伸びる」と感じるほどだとコメントしています。ラボチャートと実写体感のズレが少しある部分であり、使い方次第で評価が分かれるポイントと言えます。
実戦での“気にしどころ”
実際の撮影でどこまで気にするべきかを整理すると、人物・スナップ・イベント用途であれば、広角〜中域・70mmともF2.8から安心して使えるレベルです。四隅の甘さが気になる可能性が高いのは、EOS R5 Mark IIなどの高画素機で、70mm端・F2.8を使って建物や風景を隅までカチっと写したいケースです。
そういったシーンでは、70mm端だけ1〜2段絞る、あるいは「隅までカリカリ」を重視してRF24-105mm F4LやRF24-70mm F2.8Lを選ぶ、といった棲み分けが現実的です。逆に「人物も風景もバランス良く撮りたい」「中央の解像を重視したい」という用途であれば、本レンズの解像性能は価格以上と感じるユーザーが多いでしょう。
ボケ描写とF2.8の表現力:ポートレートに向いている?

標準ズームでF2.8通しを選ぶ大きな理由は、「ボケ」と「暗所性能」です。RF28-70mm F2.8 IS STMは、開放F2.8のズームとしてどこまで単焦点に迫れるのか、ボケの質にクセはないのか。主にポートレート・スナップを軸に、各レビューのコメントを整理します。
F2.8通しでどこまでボカせるか
フルサイズで28〜70mm・F2.8というスペックは、背景を適度にボカしつつ環境も残したい場面にマッチします。Digital Camera Worldは70mm・F2.8のポートレート作例について「背景は単焦点ほどではないが十分に溶け、被写体がしっかり浮き上がる」とコメントしています。
Exposure Therapyも「ズームとしてはとても心地よいボケで、RF24-70mm F2.8Lの描写に近い」と評価し、近接撮影ではF2.8でもかなり浅い被写界深度が得られると述べています。James Reader氏のポートレート作例でも、70mm・F2.8で背景の建物や木々がしっかり溶け、被写体の立体感を保った“ちょうどいいボケ量”になっていることが確認できます。単焦点のような極端なとろけ具合が欲しい場合はRF85mm F2やRF135mm F1.8Lなどに譲りますが、「一本でスナップもポートレートも旅行も全部やりたい」という目的なら、ボケ量としては十分以上と言ってよいでしょう。
ボケの質:きれいさとクセのバランス
ボケの“質”についても、評価は概ね良好です。Exposure Therapyは「中心付近のボケ円は輪郭も穏やかで、“玉ねぎボケ”も軽微」としつつ、「複雑な背景ではわずかにざわつく場面もある」とコメントしています。
Cameralabsも「安価なレンズよりずっときれいだが、上位Lレンズほど完璧ではない。玉ボケ周辺に薄い輪郭や、ごくわずかな“玉ねぎパターン”が見える」と評価しており、“エントリー向けよりワンランク上、Lレンズには一歩届かない”というポジションが見えてきます。
OpticalLimitsは背景ボケについて「前ボケは非常にスムーズだが、後ボケは少しナーバス」とし、木の枝が重なるようなシーンではざわつきが出ると指摘しています。ただし、一般的なポートレートや日常スナップでは大きな欠点として浮かび上がるほどではなく、「価格帯を考えれば良好」といったトーンに収まっています。
ポートレート・スナップでの実戦的な印象
総合すると、ポートレート用途ではかなり優秀な部類です。70mm・F2.8で顔アップ〜バストアップを撮れば背景はしっかり溶けますし、環境を少し残したい全身ポートレートでは28〜50mmあたりがちょうど良いバランスになります。
日常スナップでは、28mm・F2.8でテーブル上の料理や小物に寄ると、手前から背景にかけて自然なボケのグラデーションが得られます。作例をざっと眺めると、“絵作りのベースとして扱いやすいボケ”という印象が強く、極端な癖よりも安定した描写を重視した設計といえるでしょう。
歪曲収差・周辺減光・補正前提の設計をどう見るか
RF28-70mm F2.8 IS STMで最も“現代的”な部分が、歪曲収差と周辺減光、そしてそれを前提にしたソフトウェア補正です。RAWで見ると驚くほど歪み・ケラレが出る一方、JPEGや最新の現像ソフトではかなりきれいに補正されます。この割り切りをどう受け止めるかで、レンズの評価が大きく変わるポイントです。
RAWで見ると歪曲収差はかなり強め
OpticalLimitsの測定によると、28mm・F2.8のRAWでは約4%超の樽型歪曲が出ており、35mm付近でほぼゼロ、70mmでは中程度の糸巻き型歪曲に切り替わると報告されています。CameralabsもRAWで検証し、「28mmではかなり目立つ樽型歪曲、70mmではピン形歪曲が見られるが、JPEGではきれいに補正されている」としています。
ただし、EOS Rシリーズのボディではレンズ補正用プロファイルが用意されており、JPEG撮影時には基本的に補正後の画像が得られます。RAWでもLightroomやCapture Oneなど主要ソフトにプロファイルが用意されているため、通常のワークフローでは歪曲が致命的な問題になるケースは多くありません。
周辺減光と色収差:補正でかなり改善可能
周辺減光もRAWではかなり強めです。OpticalLimitsによると、28mm・F2.8のRAWでは隅で3EV近い光量落ちが見られ、F8まで絞っても約2EV残るとのことです。一方で、カメラ内補正または現像ソフトのプロファイルを使えば、F2.8でも1EV未満まで抑えられ、F4以降ではほぼ気にならないレベルまで改善できます。
横色収差(ラテラルCA)はおおむね1ピクセル前後で、中程度。軸上色収差(ボケフリンジ)はF2.8ではわずかに出るものの、F4まで絞ればほぼ消えるという評価で、標準ズームとしては平均〜やや良好といったところです。いずれも、JPEG・プロファイル前提の運用では目立ちにくい要素です。
補正前提レンズとしてどう付き合うか
光学的に素の状態で隅まで整った描写をしてほしいというスタンスのユーザーから見ると、この補正前提設計はやや割り切りが必要です。ただ、現代的なワークフロー、すなわち「カメラ内・現像ソフトのレンズプロファイルを自動適用する」というスタイルであれば、実写上のデメリットはかなり小さいという意見が多数派です。
むしろ、「歪曲とケラレを電子補正に任せることで、F2.8・小型・高いセンター解像力・強力なIS・比較的手頃な価格を同時に実現した」と捉えると、このレンズの割り切り方は合理的とも言えます。特にJPEG中心のユーザーや、Lightroom・Capture Oneを利用する人にとっては、デメリットよりメリットの方が大きいと感じる場面が多いでしょう。
一方で、建築写真でパースを厳密にコントロールしたい人や、自前でのマニュアル現像を楽しみたい人には、歪曲・ケラレの大きさがやや気になるかもしれません。その場合は、より光学補正がしっかりしたRF24-70mm F2.8LやRF24-105mm F4LといったLレンズを検討する価値が出てきます。
動画撮影・Vlogでの使いやすさ:ハイブリッド撮影視点
RF28-70mm F2.8 IS STMは、キヤノン自身が「静止画と動画の両方に向けたレンズ」として位置づけているモデルです。フォーカスブリージングの少なさやAF挙動、ISの滑らかさなど、動画制作者に刺さる仕様が盛り込まれています。ハイブリッドシューター目線で、動画適性を確認しておきましょう。
動画AFとフォーカスブリージングの少なさ
キヤノンはこのレンズを「フォーカスブリージングが非常に少ない」と公式資料でもアピールしており、James Reader氏などのレビューでも、無限遠から最短付近までピントを移動させても画角変化がごくわずかだと報告されています。
動画AF・被写体追従についても、R5 Mark IIやR6 Mark II、さらにはC80シネマカメラとの組み合わせで高い評価が出ており、「24-70mm F2.8Lにかなり近いレベルで、価格差を考えると非常に優秀」とのコメントも見られます。インタビューやトーキングヘッド、ドキュメンタリーのように、ゆっくりした被写体を追う映像では十分以上の性能です。
フォーカスブリージングが少ないことは、シネマライクなピント送りやインタビュー時のフォーカスシフトで画角が変わってしまう現象を抑えるのに有利であり、動画制作者にとっては非常に大きなメリットです。
スタビライザーと手持ち撮影の安心感
動画においても、5.5〜7.5段分のISは強い味方です。Digital Camera Worldは夜景の手持ち動画で「ISオンの状態では歩き撮りでも非常に安定しており、オフとの差は一目瞭然」と紹介しています。電子ISや協調制御と組み合わせれば、ジンバルなしでも“そこそこ見られる映像”に持っていきやすい印象です。
James Reader氏も「RFレンズの中でも特に滑らかなIS挙動で、被写体を追いながら歩いても急激なカクカクが出にくい」と評価しており、Vlog・イベント・簡易的なシネマ撮影まで、幅広い動画シーンをカバーできる標準ズームと言えます。
28mmスタートはVlogに足りるか?
唯一悩ましいのが、「28mmでVlogは足りるのか」という問題です。Cameralabsは「手持ち自撮りVlogには24mmでもギリギリという人が多く、28mmではやや窮屈」と指摘しつつ、「三脚に据えてトーキングヘッドを撮る用途なら特に問題はない」とまとめています。
腕を伸ばして自撮りするスタイルを重視するなら、RF16mm F2.8やRF15-30mm F4.5-6.3などの超広角レンズを別途用意した方が安心です。一方で、「Vlogは基本三脚、歩き撮りは風景メイン」というスタイルであれば、28〜70mmのレンジはむしろ扱いやすく感じられるはずです。
F2.8の明るさとIS、静かなAFのおかげで、静止画も動画も一本でかなりの範囲をカバーできる標準ズームであることは間違いありません。
RF28-70mm F2.8 IS STMの作例まとめ
各実機レビュー内でRF28-70mm F2.8 IS STMの実際の作例も紹介されています。


Canon R5 II - RF 28-70 2.8 IS STM - 28mmの作例 Via: jamesreader

競合レンズ比較:RF24-70mm F2.8L・RF24-105mm F4L・RF28-70mm F2L との違い

最後に、RF28-70mm F2.8 IS STMを買うかどうかを決めるうえで避けて通れない、競合レンズとの比較を整理します。特に比較対象になるのは、RF24-70mm F2.8L IS USM、RF24-105mm F4L IS USM、そして巨大なRF28-70mm F2L USMの3本です。ここを整理すると、「どれを選ぶべきか」がかなりクリアになります。
レンズ | 立ち位置 |
|---|---|
RF28-70mm F2.8 IS STM(本レンズ) | “軽さ・価格・F2.8”のバランス型。持ち出し頻度を上げたい人の現実解。 |
RF24-70mm F2.8L IS USM | 王道の大三元標準ズーム。24mmスタートと安定した画質・信頼性を最優先するプロ/ガチ勢向け。 |
RF24-105mm F4L IS USM | レンジ最優先の万能Lズーム。旅行・仕事で「とにかく1本で広くカバー」したい人向け。 |
RF28-70mm F2L USM | 画質とF2のロマン全振り:重量・価格を許容してでも最高の表現力を取りに行く人向け。 |
RF24-70mm F2.8L IS USM:画質重視ならL、バランス重視ならSTM
RF24-70mm F2.8L IS USMはいわゆる“王道トリニティ標準ズーム”で、光学性能は非常に高く、歪曲や周辺減光もRF28-70mm F2.8 IS STMほど電子補正に依存していません。その代わり、サイズ・重量・価格の三拍子が重めで、約900g・20万円オーバー級のレンズです。Digital Camera WorldやThe Digital Pictureの比較では、RF24-70mm F2.8Lはより一貫した画質と24mmスタートのレンジ、防塵防滴やビルドクオリティの高さが強みである一方、RF28-70mm F2.8 IS STMは価格と軽さで大きく優位に立つと整理されています。
James Reader氏は両者を実写比較したうえで、「画質だけ見ればLレンズがわずかに有利だが、その差はごく小さく、多くのユーザーにとっては価格差を正当化しない」と結論づけています。そのうえで、「日常的に持ち歩くことを考えると、RF28-70mm F2.8 IS STMを選んだ方が“幸せになれる人”は多いだろう」とも述べています。
RF24-105mm F4L・キットズームとの比較:レンジか明るさか
RF24-105mm F4L IS USMと比べると、焦点域は24-105mmの方が圧倒的に広く、一本で“なんでも撮れる”万能ズームです。その代わり、開放F値はF4固定で、ボケ量と暗所性能は本レンズより一段分劣ります。Digital Camera Worldは「RF28-70mm F2.8 IS STMはRF24-105mm F4Lより約14%短く、約30%軽い」としつつも、「画質の一貫性は24-105mm F4Lの方がやや上」とコメントしています。
キヤノン自身も、本レンズを「F2.8通しと小型軽量を両立しつつ、Lレンズに迫る画質」として位置づけており、RF24-105mm F4Lを“レンジ優先の万能F4ズーム”、RF28-70mm F2.8 IS STMを“明るさと軽さを重視したF2.8ズーム”と考えると分かりやすい構図になります。
RF24-105mm F4-7.1 IS STMやRF24-50mm F4.5-6.3 IS STMといったキットズームと比べると、RF28-70mm F2.8 IS STMは価格こそ数倍ですが、解像力・AF・IS・防塵防滴・F2.8のボケと暗所性能まで、あらゆる面で“別物”です。Digital Camera Worldも「キットレンズからのアップグレードとしては非常に魅力的な一本」とまとめています。
RF28-70mm F2L USM・他社28-70/28-75mmとの位置づけ
最後に、巨大なRF28-70mm F2L USMとの比較です。こちらはF2通しという驚異的なスペックを誇る代わりに、重量約1.45kg・価格30万円超という“ロマンレンズ”。The Digital Pictureの比較では、画質は当然ながらF2Lが上ですが、「サイズと価格の代償が大きく、日常的に持ち出すにはハードルが高い」と指摘されています。
RF28-70mm F2.8 IS STMは、その半分以下の重量と価格で“それにかなり近い描写”を実現する現実的な選択肢として位置づけられます。James Reader氏も「プロでもF2Lを所有しつつ、普段使いにはRF28-70mm F2.8 IS STMを選ぶ人は多いだろう」と述べており、ロマンより実用性を重視するユーザー向けの一本と言えるでしょう。
なお、Sigma 28-70mm F2.8 DG DNやTamron 28-75mm F2.8 Di IIIなど、他社の28-70/28-75mm F2.8ズームは現在も主にソニーE/Lマウント向けで、キヤノンRFへのネイティブ対応(AF対応純正マウント)は出ていません。サードパーティ製アダプターやマニュアルレンズを除けば、RFシステムでAF付きF2.8標準ズームを選ぶ際には、実質的にキヤノン純正の選択肢から選ぶことになります。
RF28-70mm F2.8 IS STMのまとめ
RF28-70mm F2.8 IS STMは、「軽さ」「F2.8通し」「価格」のバランスを非常に巧みに両立させた、RFマウントならではの標準ズームです。RAWでの歪曲・周辺減光や70mm端の四隅など弱点もありますが、中央〜中間部の高い解像力、実戦的なボケ、強力なIS、静かで速いAF、防塵防滴構造と、写真・動画の両方で頼れる要素がしっかり揃っています。Lレンズ級の“完璧さ”より、「軽くて持ち出しやすいリアルな一本」を重視するなら、結論としては“かなり有力な選択肢”といえます。
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