【2025年】ライカ M11のレビューまとめ|M10-R/Q3/α7R Vとの比較

【2025年】ライカ M11のレビューまとめ|M10-R/Q3/α7R Vとの比較

レンジファインダーのフラッグシップとして話題を集めた「ライカ M11」。6000万画素という数字だけがひとり歩きしがちですが、実際の撮影体験はスペック表からは見えてこないクセと奥深さがあります。この記事では、実機レビューの評価も踏まえながら、M11の長所と弱点をできるだけフラットに整理していきます。自分のスタイルにハマるのか、別のカメラを選ぶべきか、一緒にイメージを掴んでいきましょう。

Author
筆者
みんカメ編集部
みんなのカメラ編集部によるカメラに関する最新情報・レビューなどを毎日配信しています!ためになるプロのテクニックもご紹介。

この記事のサマリー

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ライカ M11は「レンジファインダー×6000万画素」の独特な立ち位置で、じっくり撮りたい人に向いた一台。

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AF・動画・手ブレ補正を省いた代わりに、画質・バッテリー・操作レスポンスを徹底的に磨いた設計に。

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実機レビューでも、解像感とダイナミックレンジはソニーα7Rシリーズなどの高画素フルサイズ機と同等クラスと評価。

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一方で、スポーツや子どもの運動会など動体撮影は苦手で、サブ機としてAF機を併用する前提が現実的。

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M10-RやQ3、ソニーα7R Vとの比較を通じて、どのケースでM11を選ぶと幸せになれるかを具体的に整理。

目次

ライカ M11のレビュー要点:どんな人におすすめか・不向きか

【2025年】ライカ M11のレビュー比較まとめ

via: Digital Camera World

まずはライカ M11の全体像をざっくり押さえておきましょう。多くの実機レビューの総評が「画質・質感・撮影体験は極めて高水準。ただし用途と人を選ぶカメラ」という方向性の評価でおおむね一致しています。ここでは向いている人・向いていない人のイメージを具体的に描きながら、自分がどちら寄りなのかをチェックしてみてください。

こんな人には強くおすすめできる

ライカ M11が刺さるのは、「撮影プロセスそのものを楽しみたい人」です。レンジファインダーでピントを合わせ、露出と構図を自分の手で決める感覚にワクワクできる人にとって、M11は最高の相棒になります。DPReviewの実機レビューでは、Mシリーズの伝統的なレンジファインダー体験を保ちながら、60MPセンサーや新しいバッテリー、UIの刷新によって実用性が大きく向上した点が評価されています。

また、60MPセンサーとライカMレンズの組み合わせに魅力を感じる人にも向いています。PetaPixelは、M11の60.3MPセンサーはソニーα7R IVなどの高画素機と比較しても遜色なく、むしろわずかに優位と感じると述べており、高い解像度によって大きなプリントや大胆なトリミングにも十分耐えうると評価しています。作品を大きくプリントしたい人や、細部まで描写したいスナップ・風景好きには心強い武器になるでしょう。

こんな用途・スタイルには向かない

一方で、AF・動画・高速連写に頼る撮影スタイルには相性がよくありません。M11はAFも動画機能も一切搭載しておらず、The Vergeもスポーツや速く動く幼児を追いかけるような撮影には向かないと指摘しています。動体を日常的に撮るなら、素直にソニーαやキヤノンEOS Rシリーズを選んだ方が快適です。

さらに、価格面もハードルになります。国内の発売当初は1,188,000円(税込)、その後の価格改定を経て現在はボディ単体で約140万円台前半が目安です。標準レンズを1本足すと、新品ベースでは総額150万円前後になるケースが多いでしょう。「とりあえず初めての一眼」という感覚で買うと、機能差と価格のギャップに戸惑うはず。AF・動画・手ブレ補正を高いレベルで備えたQ3やα7R Vと比べると、コストパフォーマンスだけでは絶対に勝負できません。

迷っている人へのざっくり判断基準

判断に迷ったら、「スピードと便利さ」と「撮影体験と所有感」のどちらをより重視するかを自分に問いかけてみてください。前者ならQ3やα7R V、後者ならM11が候補に残ります。オートフォーカスや動画機能を持たない代わりに“純粋な撮影体験”を求める人に向いたカメラだという評価です。

もう1つの目安は「サブのAF機をすでに持っているかどうか」です。日常の“記録”は別のカメラやスマホに任せて、M11は“作品を撮るための道具”と割り切れるなら、使い道は一気に明確になります。そのイメージが湧いた時点で、M11はかなり有力な候補になるはずです。

要素別レビュー早見表

観点

評価サマリ

画質・センサー性能

6000万画素と広いダイナミックレンジで他社高画素フルサイズと肩を並べるトップクラスの描写力だが、そのぶんブレやピントミスにはかなりシビア。

操作性・UI

ボタン数を極限まで削ったミニマル設計ながら、SL2/Q2譲りの分かりやすいメニューとFnカスタマイズでテンポよく撮れる一方、使いこなすには自分で設定を作り込む前提。

ビルドクオリティ・デザイン

金属塊のような高い工作精度とクラシックなM型デザインで所有欲は最高レベルだが、真鍮シルバーは重量も価格も“それ相応”に重い。

バッテリー・ストレージ

レンジファインダー運用なら丸一日撮っても余裕のスタミナと64GB内蔵メモリで“疑似デュアルスロット”運用ができるが、USB‑C端子が底面にあるため三脚使用中の給電・転送は扱いづらい。

フォーカシング体験

二重像合致とゾーンフォーカスで「自分の手でピントを掴む」楽しさが味わえる一方、動き物やF1.4開放の近距離ではAF機に比べて歩が悪く、練習と割り切りが必要。

レンズ資産と実写シーン

コンパクトで高性能なMレンズ群と組み合わせれば、街スナップ・旅・環境ポートレートで“軽いのに画は濃い”フルサイズシステムが組めるが、AFズームや超望遠を多用する撮影スタイルとは相性が悪い。

基本情報のおさらい:発売日・価格・主なスペック

via: Digital Camera World

ここからはスペック周りをコンパクトに整理しておきます。ライカ M11は2022年発売のフルサイズレンジファインダーで、シリーズとしてはM10世代の後継にあたります。発売当初よりMシリーズを現代化する大きなステップと注目されており、センサー・バッテリー・操作系など複数の要素が刷新されています。細かい数字のみの情報に埋もれないよう、まずは重要なポイントだけ押さえておきましょう。

発売状況とカラーバリエーション

ライカ M11は2022年にグローバルで発売され、日本でも同年に販売が始まりました。ボディはブラックとシルバーの2色で、ブラックはトップカバーがアルミ、シルバーは真鍮という素材違いになっています。ブラックは軽さと耐擦傷性、シルバーは“真鍮が育つ”エイジングを楽しめる仕上げです。

その後、モノクロ専用のM11 Monochromやプロ仕様のM11-P、背面モニターを廃したM11-Dなど派生モデルも増えてきました。ただ、ライカ M11という名称で一般的に指されるのは、まずこの標準モデルです。初めてMシステムに入るなら、スタンダードなM11を軸に考えるのが分かりやすいでしょう。

価格と基本スペックのポイント

価格は日本での発売当初、ボディ税込1,188,000円がメーカー希望小売価格でした。その後の価格改定により、2024〜2025年時点では新品ボディが概ね140万円台前半、中古は状態にもよりますが90万円台前後が多く、値崩れしにくいのはライカらしいところです。

M11の主要スペック

ライカM11は、クラシックなM型レンジファインダーに6000万画素BSIフルサイズセンサーと64GB内蔵メモリを組み合わせた最新フラッグシップです。トリプルレゾリューション、電子シャッター1/16000秒、USB‑C充電などを備えつつ、あくまで静止画とマニュアルフォーカスに特化した“撮影体験重視”の一台になっています。動画機能をあえて省き、レンジファインダーならではのシンプルな操作と高画質に集中できるのが特徴です。

項目

仕様

型式

フルサイズデジタルレンジファインダー

マウント

ライカMマウント

センサー

35mmフルサイズ BSI CMOS 約6000万画素(60.3MP)

ISO感度

常用ISO 64〜50,000

シャッター速度

メカ:60分〜1/4000秒 / 電子:60秒〜1/16,000秒

連写性能

最大約4.5コマ/秒

ファインダー

0.73倍ブライトフレーム式レンジファインダー(視野枠:28/35/50/75/90/135mm)

モニター

2.95型 約233万ドット タッチパネルLCD

記録メディア

SD/SDHC/SDXC(UHS‑II対応)+64GB内蔵メモリ

動画機能

非搭載(静止画専用)

バッテリー

BP‑SCL7(公称:ライブビュー約700枚/レンジファインダー運用で最大約1700枚)

外形寸法

約139 × 38.5 × 80 mm

質量(バッテリー含む)

ブラック:約530 g/シルバー:約640 g

画質・センサー性能のレビュー:6000万画素の写りは本当にすごい?

ライカ M11の購入を検討する上で、最も気になるのは6000万画素センサーがもたらす画質ではないでしょうか。Digital Camera Worldは、60.3MPセンサーによって従来のM10-Rよりも細部描写が大きく向上したとし、PetaPixelも「ダイナミックレンジはソニーやニコンの高画素機と肩を並べる」と評価しています。ここでは解像感・階調・高感度の3つの観点から、実際の写りを具体的に整理していきます。

解像感とダイナミックレンジの印象

まず、解像感は間違いなくトップクラスです。広角レンズで撮った街並みを100%等倍で見ると、遠くの看板や窓枠まで情報がぎっしり詰まっています。Digital Camera Worldは「最新の60MPセンサーは、レンズによっては従来のMレンズの限界を露わにし始めている」とコメントしており、最新設計レンズほどそのポテンシャルを引き出せるとコメントしています。

ダイナミックレンジはメーカー公称で最大15ストップとされ、実写でもシャドーからハイライトまで粘り強い印象です。少しアンダー目に撮って後からシャドーを持ち上げても破綻しにくく、PetaPixelはダイナミックレンジと高感度耐性を「ソニーやニコンの高解像ボディと同じ土俵にある」と評価しています。Digital Camera Worldのラボテストでも、ソニーα7R IVやSigma fp Lとほぼ同等のダイナミックレンジを記録しており、階調の滑らかさで大きく見劣りするシーンは少ないといえます。

高感度・色の出方とJPEGの仕上がり

高感度側も、6000万画素機としてはかなり健闘している部類です。ISO6400〜12800でもノイズは出ますが、粒状感として現れやすく、現像時にディテールを残したままコントロールしやすい印象があります。Digital Camera Worldのラボデータでは、M11のノイズ量はM10-Rとほぼ同等で、ソニーα7R IVに比べて低ISOではやや不利ながら、ISO1600以上では差がほとんどないと報告されています。

JPEGの色は、いわゆる“ライカらしさ”を素直に楽しめる方向性です。PetaPixelは「JPEGの色は自然でありながらコクがあり、ディテールを残したままノイズ処理されている」と好意的。ソニー機がフラットでニュートラルな方向なら、M11はほんの少しコントラストと色濃度が高めで、撮って出しでも作品として成立しやすい印象です。RAW前提の人も、JPEGの色をベースに仕上げの方向性を決めると現像が楽になります。

Digital Camera Worldのラボテストでは、M11はソニーα7R IVやSigma fp Lと解像力でほぼ互角ながら「非常にシャープな画質のおかげで、わずかにM11が優位」とされており、作例についても「濃密で、とてもシャープ」と総括されています。

操作性・UIのレビュー:クラシックなのに今どきな使い心地

via: Digital Camera World

ライカ M11は見た目こそ昔ながらのM型そのものですが、触ってみると操作感はかなり現代的です。外観はクラシックなままに、SL2やQ2譲りのシンプルで分かりやすいインターフェースを備えています。ここではダイヤル配置とメニュー構成、タッチ操作を中心に、撮影リズムにどう影響するかを見ていきましょう。

最小限のダイヤルでテンポよく撮れるか

上面はシャッタースピードダイヤルとISOダイヤル、シャッターボタン兼電源レバー、それに小さなFnボタンがある程度というシンプルさです。背面もボタンは3つだけで、余計なキーが一切ありません。最初は「少なすぎない?」と不安になりますが、慣れてくるとむしろ迷いが減り、露出決定に集中しやすく感じます。

Digital Camera Worldは、このミニマルな外観ながら操作インターフェース自体は非常に明快だと評しています。背面Fnボタン・トッププレートのFnボタン・サムホイールの3箇所に任意の機能を割り当てることができ、自分の撮影スタイルに合わせた“マイM11”を作りやすい設計です。他社フルサイズ機よりボタンは少ないものの、必要な機能にはすぐアクセスできるので、撮影中のストレスは意外なほど少ないはずです。

新UIとタッチ操作の使い勝手

M11で大きく進化したのがメニュー周りです。SL2やQ2と共通のUIになり、メニューボタン1回で呼び出せるクイックメニューが非常に便利です。よく触る項目だけを並べられる設計で、Digital Camera Worldも「SL2やQ2と同様、メニュー構成は非常に明快で、インターフェースデザインも秀逸だ」と評価しています。

背面モニターはタッチ対応で、再生時のスワイプやダブルタップ拡大もスムーズです。ライブビュー中にピントをチェックするときも、タップで拡大できるのでマニュアルフォーカスの精度確認に役立ちます。同じくDigital Camera Worldの実機レビュー内で「ライブビューのフォーカスピーキングは万能ではないが、拡大表示と併用すれば十分実用的」とコメントされています。レンジファインダー主体で使いつつ、ピンポイントでライブビューを併用するスタイルがしっくり来るはずです。

ビルドクオリティ・デザインのレビュー:持つ喜びをどう評価するか

via: The Verge

ライカ M11のレビューで外せないのがボディの質感です。金属の密度感や、ダイヤルのクリック感、レンズの着脱感まで含めて「持っているだけで嬉しいカメラ」と表現する人も多いです。Digital Camera Worldは、M11を「完璧ではないが、非常に高級感のあるクラス感のあるカメラ」と評しており、所有欲という観点では他社の量産ミラーレスとはまったく別の世界にいます。

ブラックとシルバーで変わる“手に残る感触”

ブラックはアルミトップで軽量、シルバーは真鍮トップで重厚という違いがあります。The Vergeは、ブラックM11はシルバークローム版よりも約20%(およそ100g)軽く、その差は手に取るとすぐに分かると述べつつ、シルバーは伝統的な真鍮トップの重みとエイジングを楽しめると紹介しています。それでもライカらしいビルドクオリティは維持されていて、耐久性が落ちた印象はないと追加で述べられています。軽快さを取るか、“道具っぽさ”を取るかの選択ですね。

高い工作精度と耐久性の強い作りが評価されており、「美しく作られたプレステージカメラ」と位置付けられています。ソニーやニコンのフルサイズ機と比べるとグリップは浅いものの、ボディサイズそのものがコンパクトなので、ストラップとの相性が良ければ長時間のスナップでも意外と疲れません。見た目の美しさと実用性のバランスが、M11の大きな魅力と言えます。

底蓋廃止とUSB-C搭載の実用メリット

M11で地味に効いているのが底蓋(ベースプレート)廃止です。従来のMは底蓋を外してからでないと電池・カード交換ができませんでしたが、M11はバッテリードアを開くだけで両方にアクセスできます。Gear Patrolは、伝統的な底蓋はロマンはあるが実用性では新方式が圧倒的に優れているとコメントしています。

底面に追加されたUSB-C端子で本体充電も可能になり、モバイルバッテリーから電源を供給しながらの運用も現実的になりました。端子位置が底面なので、三脚装着中は使いにくいという弱点はありますが、日常の撮影では大きな問題になりにくいはずです。ソニーやキヤノンのミラーレスと比べても、充電周りの快適さは同等以上と言ってよいでしょう。

バッテリー・ストレージのレビュー:一日中撮れる安心感

via: Digital Camera World

数字上では地味に見えて、実際使うとインパクトが大きいのがバッテリーと内蔵メモリです。PetaPixelなどのレビューでも、バッテリー持ちは予想以上で、長時間の取材でも電池切れを気にせずに済んだとレポートされています。ここでは“どのくらい撮れるのか”と“内蔵64GBをどう活かすか”という実用面にフォーカスしてみます。

実際の撮影枚数と運用イメージ

M11のバッテリーは、公称値でライブビュー主体なら約700枚、レンジファインダー主体なら最大約1700枚とされています。実際のレビューでも「一日スナップしてもバッテリー残量を気にしなくて済んだ」という声が多く、M10世代から乗り換えたユーザーほど違いを実感しやすいポイントです。

M10世代からバッテリーライフが大幅に改善されており、予備バッテリーを持ち歩かなくても不安が少なくなっています。ソニーα7R Vなどと比べるとEVF常時使用では撮影枚数の差は縮まりますが、M11は光学ファインダー主体で撮れるため、現場での“安心感”は依然として高いままです。旅行や長時間ロケで荷物を減らしたい人には大きなメリットでしょう。

64GB内蔵メモリとSDの使い分け

M11のユニークな点が64GBの内蔵メモリです。RAW+JPEG同時記録で片方を内蔵、片方をSDに分けることができ、PetaPixelはカードを忘れた非常時の保険としても優秀だと紹介しています。64GBの内蔵メモリを「実質的な第2スロット」と表現し、バッテリー寿命や電子シャッターなどと合わせて「歴代でもっとも完成度と汎用性の高いデジタルM」と評価しています。仕事撮影ならRAWをSD、JPEGを内蔵にすれば、その場でJPEGだけスマホ転送してクライアント共有、RAWは後でじっくり現像という運用も可能です。

一方で、内蔵メモリだけに頼るのはバックアップの観点からおすすめしにくいです。基本は大容量かつ高速なUHS-IIカードをメインにしつつ、「カードが死んだときのセーフティネット」として内蔵を使うのが安心。ソニーやキヤノンのデュアルスロットに対し、M11は「1スロット+内蔵メモリ」という少し異なる安全設計だと捉えると良いでしょう。

フォーカシング体験のレビュー:レンジファインダーで撮るということ

ライカM11最大の個性は、やはりレンジファインダーでピントを合わせる撮影体験です。Digital Camera Worldは「M11のレンジファインダーは非常に高精度で、どの距離でも正確なピントを得られた」と高く評価しています。一方で「AFに慣れきった人には最初は壁になる」とも指摘しており、このセクションではメリットと慣れが必要なポイントを整理します。

レンジファインダーならではの楽しさと精度

レンジファインダーの良さは、「ピント合わせが視覚的で分かりやすいこと」と「被写界深度を積極的にコントロールできること」です。ファインダー中央の二重像を重ねていく作業は、一種のパズルのような感覚すらあります。距離指標と被写界深度目盛りも充実しているので、ゾーンフォーカスでサクサク撮るスタイルとも相性抜群です。

Digital Camera Worldは、ミラーレスのMF拡大と比べても状況によってはレンジファインダーの方が素早く精密なピント合わせができる場面が多いとコメントしています。特に35mmや50mmでのスナップなら、視野枠の外側まで見渡せるので、フレーム外から入ってくる被写体を待ちながら構図を整えることができます。この“先読みして撮る感覚”は、AF機とはまったく違う撮影体験です。

慣れるまでの壁とAF機との棲み分け

もちろん、レンジファインダーには向かないシーンもあります。動きの激しいスポーツや、予測不能に動く幼児の撮影などは、AF+連写の方が圧倒的に歩があるのは事実です。The Vergeも、動画非対応かつ連写4.5コマ/秒という仕様から「スポーツや速く動く子どもを追いかけるような用途には不向き」と指摘しています。

現実的には、M11は「じっくり構える日」に持ち出すカメラだと割り切るのが良いでしょう。日常の記録や動体はソニーαやキヤノンEOSに任せ、M11は“撮る時間そのものを楽しむ日”に使う。そうやって役割分担をすると、レンジファインダーの弱点はほとんど気にならなくなります。AF全盛の時代だからこそ、フォーカスを自分の手で掴みにいく感覚が新鮮に感じられるはずです。

レンズ資産と実写シーン:Mマウントをどう楽しむか

ライカM11の本当の魅力はボディ単体ではなく、Mマウントレンズとの組み合わせにあります。Digital Camera Worldも、高価だがコンパクトなMレンズ群がM11の6000万画素センサーを生かし切るカギだと指摘しており、レンズ選びまで含めてシステムとして考えることが重要です。ここでは純正レンズ・サードパーティ・オールドレンズ、それぞれの楽しみ方と実写シーンとの相性を見ていきましょう。

ライカ純正Mレンズで引き出せる描写

APO-Summicron 35mmや50mmなど最新のAPOシリーズは、M11の高解像センサーと非常に相性が良いと評価されています。開放からキレがありつつボケは滑らかで、APOシリーズと組み合わせたM11の50mm画質は、現在入手できる中でもトップクラスです。街スナップから環境ポートレートまで、1本で幅広くこなしたいならまずこのあたりが候補です。

一方で、少し古めのズミクロンやズミルックスには、現代設計のレンズにはない“ゆるさ”や味も残っています。Digital Camera Worldは実機テストに用いたSummilux 28mm f/1.4について、周辺部のわずかな甘さや周辺光量落ち、色収差が見られるものの、ソフト補正で十分対処でき、その描写は独特の“ライカらしいルック”を生み出していると評価しています。M11の解像力は、そうしたレンズのキャラクターを余すことなく捉えてくれるため、完璧さよりも“味”を重視するなら、あえて旧世代レンズを選ぶのも面白い選択です。

サードパーティ・オールドで広げる楽しみ方

フォクトレンダーやツァイスZMなど、サードパーティ製MマウントレンズもM11で大活躍します。価格がライカ純正の半分以下でも、解像力とコントラストに優れたレンズが多く、Gear PatrolもM11を「過去数十年分のMマウントレンズを活用できるプラットフォーム」と紹介しています。初めてMシステムに入るなら、まずはサードパーティ1本+純正1本という構成も現実的です。

オールドレンズを付けて“あえて少し甘い画”を狙うのもM11ならではの遊び方。高解像センサーにソフトなレンズを合わせると、輪郭は柔らかくてもトーンは豊かという独特の雰囲気が出ます。ソニーα7R Vなどと違い、M11はレンズにAFモーターや手ブレ補正を必要としないので、古いレンズでも機能的なハンデを感じにくいのもポイントです。

競合比較と購入前チェック:M10-R・Q3・α7R Vとどう選ぶ?

ここまで読んでくると、「M11は魅力的だけれど、M10-RやQ3、ソニーα7R Vと比べてどうなのか?」という疑問が出てくるはずです。これら3機種との実際の比較も頻繁に行われており、それぞれに明確なキャラクターがあります。最後に、機種ごとの向き・不向きを整理しながら、購入前にチェックしたいポイントをまとめます。

機種

立ち位置

ライカ M11

レンジファインダー式で6000万画素と内蔵メモリを備えた、静止画特化の現行Mフラッグシップ。

ライカ M10-R

4000万画素センサー搭載の前世代M高画素機で、よりクラシック寄りの操作感と描写を楽しむためのモデル。

ライカ Q3

6000万画素+28mm F1.7にAF・手ブレ補正・8K動画を詰め込んだ、「1台でなんでもこなす実用派ライカ」。

ソニー α7R V

6100万画素とハイレベルなAF・手ブレ補正・動画機能を併せ持つ、汎用性重視の高画素フルサイズ代表格。

M10-Rからの乗り換えはアリか

Digital Camera Worldは、M10シリーズからM11へのアップグレードについて「解像度の大幅な向上などにより、以前のMからは大きな飛躍」としつつ、「既存のM10を気に入っているなら無理に手放す必要はない」といったバランスの取れた見方を示しています。解像度アップ・測光方式の進化・バッテリー改善・USB-C&内蔵メモリなど、変化量は決して小さくありません。

一方で、M10-Rの4000万画素は“ちょうどよい解像度”と感じる人も多く、レンジファインダーのピント精度的にはM10-Rの方がシビアさが少ないという見方もあります。等倍鑑賞や大判プリントをあまりしないなら、中古で価格がこなれてきたM10-Rも十分に魅力的な選択肢です。

Q3やα7R Vと悩んだときの考え方

Q3は同じく約6000万画素センサーを採用しつつ、AF・ボディ内手ブレ補正・8K動画・28mmF1.7レンズ内蔵という“全部入り”に近いモデルです。Digital Camera Worldなどのレビューでは、コンパクトながら高画素・高性能を兼ね備えた「最も実用的なライカの一つ」と評価されており、一本で何でもこなせるオールラウンダーを求めるならQ3が本命になります。

ソニーα7R VはAF性能や連写、動画、認識AFなどスペック面でM11を大きく上回りますが、撮影体験やブランドの立ち位置はまったく別物です。DPReviewや各種レビューでも、α7R Vのようなハイテク機と、マニュアルフォーカス専用のM11を単純な優劣で比べるべきではなく、「自分がどんな撮影体験を求めているか」で選ぶべきだと指摘されています。便利さとコストパフォーマンスを取るならα7R V、写真との向き合い方そのものを変える道具が欲しいならM11、という整理がしやすいでしょう。

ライカ M11のまとめ

ライカ M11は、AF・動画・手ブレ補正といった現代的な“便利さ”をあえて削り、その分を画質・バッテリー・ビルドクオリティ・撮影体験に全振りしたカメラです。複数の実機レビューでも共通して、解像力とダイナミックレンジはソニーα7R IVクラスの高画素フルサイズ機と同等、あるいは条件によってはわずかに優位と評価されつつ、レンジファインダーならではの楽しさとハードルの高さが繰り返し語られています。

もし「撮ること自体を味わえる道具」「一生モノとして育てていけるカメラ」を探しているなら、ライカ M11は真剣に検討する価値があります。一方で、運動会や動画撮影がメインならQ3やα7R Vの方が間違いなく幸せになれます。自分の撮影スタイルと予算、すでに持っている機材を一度棚卸しし、M11でしか得られない体験にピンと来たなら、ぜひ一度実機を触ってみてください。レンジファインダーを覗いた瞬間に、心が決まってしまうかもしれません。


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