
富士フイルム フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WR レビュー比較まとめ ポートレート向け中望遠の実力派




富士フイルムのフジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRは、GFX用の中望遠単焦点として、35mm判換算で約87mm相当の画角と開放F2の明るさを備えたポートレート向けレンズです。開放からのシャープさ、色収差の少なさ、防塵防滴の作りは強みですが、一方で約1,010gの重量に加え、手ブレ補正がない点、高額である点は理解しておきたいポイントです。この記事では、複数メディアの実機レビューなどを交えながら、画質傾向、AFのクセ、撮影シーン別の向き不向き、競合との選び分けなどを解説します。
この記事のサマリー

開放F2から「ピント面は極めてシャープ、背景は滑らかに溶ける」を狙える中判ポートレートの定番格

重さ約1,010g・レンズ内手ブレ補正なしが懸念点。手持ち中心ならボディ側IBIS前提

87mm相当の画角はフルサイズ85mmの感覚に近く、コミュニケーション距離を保ったまま背景整理がしやすい

近接0.9mはバストアップ〜小物の“寄り”まで対応。ただし最短付近はAFが迷う場面もある

GF80mmF1.7 R WR、GF55mmF1.7 R WR、GF120mmF4 Macro R LM OIS WRとの違いも解説
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRのレビュー要点

富士フイルムのフジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRは、GFX用の中望遠単焦点として高い描写力を誇り、ポートレートや人物撮影を中心に支持されている一本です。開放F2から高い解像感と美しいボケを両立できる一方で、約1,010gの重量やレンズ内手ブレ補正非搭載など、撮影スタイルによって評価が分かれる要素もあります。まずは、このレンズがどのような人に向いていて、どのような人には扱いにくさを感じやすいのかを整理したうえで、画質やAF、携帯性など各項目を詳しく見ていきましょう。
おすすめな人
人物の肌や髪、衣装の質感まで丁寧に描き分けたい人にとって、GF110mmF2は有力な選択肢になります。87mm相当の画角は顔のパースが崩れにくく、被写体と適度な距離を取りながら背景を整理しやすいため、ポートレート、ファッション、ビューティ、宣材撮影、屋外ロケの作品撮りに向いています。
また、スタジオで少し絞って静物を撮る用途にも強く、アクセサリーや花、コスメの物撮りで「ピント面のキレ」と「なだらかなボケ」を同居させやすいのが魅力です。大きなボケ量を得つつも描写が荒れにくいので、背景が賑やかな環境でも被写体を自然に引き立てやすいでしょう。
不向きな人
旅行や日常スナップのように、カメラを長時間持ち歩く撮影が中心の人には、少し重く感じやすいレンズです。レンズ単体で約1,010gあるため、GFXボディと組み合わせると2kg前後になり、移動しながら気軽に撮る用途では負担が大きくなります。
また、レンズ内手ブレ補正がないため、暗い室内や夕方以降の自然光撮影では、シャッタースピードを速くするためにISO感度を上げる場面が出てきます。最短撮影距離付近ではAFが迷いやすいこともあるため、近距離での人物アップや小物撮影が多い人は注意が必要です。
要素別レビュー早見表
要素 | 評価まとめ |
|---|---|
解像力 | 開放から高水準。高画素GFXでも細部が粘りやすく、等倍鑑賞や大判プリントで差が出やすい。 |
ボケ味 | 量だけでなく質が強み。ピント面から背景へのつながりが自然で、髪や枝葉の背景でも暴れにくい傾向。 |
色収差 | EDレンズ4枚による抑制が効き、輪郭の色にじみやボケ縁のフリンジが目立ちにくい。 |
歪曲・周辺減光 | 歪曲は気になりにくい傾向。周辺減光は開放で出る場面があるが、少し絞ると落ち着きやすい。 |
逆光耐性 | 大口径としては良好だが、強い点光源ではゴーストが出る可能性もある。フード運用が前提。 |
AF速度・精度 | 中距離は快適寄り。最短付近は迷いが出ることがあり、撮影距離や被写体コントラストに左右される。 |
携帯性・バランス | 約1,010gでやや重たい。安定して構える撮り方や休憩を挟むケースの方が使いやすい |
手ブレ対策 | OISなし。IBIS搭載ボディなら助けになるが、人物は被写体ブレもあるためシャッタースピード優先が基本。 |
2026年7月1日現在のフジフイルムモール価格 | 440,000円(税込) |
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRの基本情報
GF110mmF2 R LM WRは、GFXシステムを代表する中望遠単焦点レンズのひとつで、現在も現行モデルとしてラインアップされています。35mm判換算で約87mm相当の画角は、フルサイズの85mm前後のポートレートレンズに近い感覚で使いやすく、GFXへ移行した人にもなじみやすい焦点距離です。ここでは、購入前に押さえておきたい基本仕様を解説します。
発売状況と“後継機”の有無
GF110mmF2 R LM WRは2017年発売のレンズですが、2026年7月1日現在も富士フイルム公式のGFレンズ一覧に掲載されている現行モデルです。同じ焦点距離・同じ役割で置き換わる後継レンズは、現時点ではありません。
一方で、GF80mmF1.7 R WRやGF55mmF1.7 R WRなど、人物撮影に使いやすい別画角の大口径レンズは増えています。そのため、GF110mmF2を「古いか新しいか」だけで見るのではなく、87mm相当の画角、被写体との距離感、約1,010gの重量を自分の撮影スタイルに合わせて選ぶことが大切です。
主なスペック要点
GF110mmF2 R LM WRは、画角や明るさだけでなく、最短撮影距離や重量、手ブレ補正の有無まで含めてチェックしておきたいレンズです。特にポートレート用途では、撮影距離の取りやすさと持ち出しやすさが変わるので、よく見ておきましょう。
項目 | 値 |
|---|---|
マウント | FUJIFILM Gマウント |
焦点距離(換算) | 110mm(35mm判換算 約87mm相当) |
開放F値 | F2 |
最小絞り | F22 |
レンズ構成 | 14枚9群(EDレンズ4枚) |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
最短撮影距離 | 0.9m |
最大撮影倍率 | 0.16倍 |
フィルター径 | 77mm |
外形・質量 | 最大径94.3mm×全長125.5mm、約1010g(フード等除く) |
防塵防滴・耐低温 | WR、-10℃動作保証 |
スペック上で見ておきたい部分は、87mm相当の中望遠画角、開放F2、最短撮影距離0.9m、そして約1,010gの重量などでしょう。描写力を重視した設計である一方、軽快さや手ブレ補正を求める人は、ボディ側の手ブレ補正や撮影スタイルとの相性も確認しておきたいところです。
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRのデザインと操作性のレビュー

ポートレート用の大口径中望遠レンズは、画質だけでなく、撮影中の構えやすさや操作のしやすさも重要です。GF110mmF2 R LM WRは、金属外装や絞りリングを備えたしっかりした作りで、露出や被写界深度を確認しながら落ち着いて撮影しやすいレンズです。
絞りリングとフォーカスリング:直感操作のメリット
GF110mmF2 R LM WRはレンズ側に絞りリングを備えているため、ファインダーをのぞきながらでもF値を直感的に変更しやすいレンズです。被写界深度を細かく調整したいポートレート撮影では、カメラ側のダイヤルだけでなく、レンズ側で絞りを操作できる点が扱いやすさにつながります。Digital Camera Worldも、A/Cポジション周りのロック機構を含め、誤操作を防ぎやすい設計に触れています。
フォーカスリングは幅が広く、浅い被写界深度でピントを追い込みたい場面でも操作しやすい作りです。ただし、電子制御式のフォーカスリングなので、動画用シネレンズのように回転角とピント移動量を厳密に再現する用途には向きません。静止画では、拡大表示やピーキングを併用することで、開放F2の薄いピント面も確認しやすくなります。
大きめの鏡筒だが、構えたときの安定感はある
GF110mmF2 R LM WRは最大径94.3mmと存在感があり、バッグへの収まりが良いレンズではありません。一方で、鏡筒に適度な太さがあるため、左手でレンズを支えながら構えやすく、手持ち撮影でも姿勢を安定させやすい面があります。
サイズと重量は持ち歩きでは負担になりますが、撮影時には安定感にもつながります。携帯性よりも、構えたときの安心感や操作のしやすさを重視する人に向いた作りといえるでしょう。
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRの画質レビュー
GF110mmF2 R LM WRの画質でまず注目したいのは、開放F2から高い解像感を得やすい点です。大口径ポートレートレンズの中には、開放では柔らかい描写を活かすタイプもありますが、このレンズはピント面をしっかり描きながら、背景をなだらかにぼかす方向の描写です。人物の瞳や髪、衣装の細部を丁寧に写したい撮影では、この開放から使いやすい描写が大きな強みになります。
開放からフレーム全域までシャープな傾向
Imaging Resourceは、GF110mmF2 R LM WRについて、開放F2でも画面全体で非常に高いシャープネスを得られるレンズとして評価しています。大口径レンズでは、開放時に中心はシャープでも周辺が甘くなることがありますが、このレンズはF2から実用性が高く、人物撮影でも瞳やまつ毛、髪の細部をしっかり描きやすいのが特徴です。
Digital Camera Worldもラボテストでの高い解像性能に触れており、GFレンズの中でも特にシャープな一本として紹介しています。高画素のGFXボディと組み合わせたときに細部まで写し切りやすく、等倍確認や大判プリントを前提にした撮影でも安心感があります。開放F2を「少し甘さを許容して使う絞り」ではなく、最初から本番用として使いやすい点が、このレンズの大きな強みです。
高解像でも肌を硬く見せにくい描写
GF110mmF2 R LM WRは解像力の高いレンズですが、人物を必要以上に硬く見せにくい点も魅力です。ピント面はしっかり立ち上がりながら、肌や髪、衣装の質感はなだらかにつながるため、ポートレートでも情報量と自然さを両立しやすいレンズです。
スタジオ撮影で光をしっかり当てる場面でも、肌のハイライトや陰影を丁寧に残しやすく、現像でコントラストを調整しやすいのも強みです。静物撮影では、少し絞ることで商品の輪郭や質感をより明確に出しやすくなります。ただし、最適な絞り値は被写体の大きさや撮影距離で変わるため、人物なら開放寄り、商品や小物ならF5.6〜F8前後を目安に考えるとよいでしょう。
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRのボケ味と立体感のレビュー
GF110mmF2 R LM WRの魅力は、背景を大きくぼかせることだけではありません。ピントを合わせた部分はくっきり描きながら、背景へ自然になじむようにボケていくため、人物を無理なく浮かび上がらせやすいレンズです。
また、35mm判換算で約87mm相当の中望遠画角は、背景を整理しやすく、顔の形も自然に写しやすいのが特徴です。開放F2の明るさとGFXの大きなセンサーが組み合わさることで、被写体と背景の距離感を活かした立体感のある描写を狙いやすくなります。
85mm系ポートレートに近い感覚で使える中判レンズ
The Phoblographerは、GF110mmF2 R LM WRを「中判システムで使える85mm F1.4のような選択肢」と位置づけています。実際にGF110mmF2は35mm判換算で約87mm相当の画角になるため、フルサイズの85mm前後のポートレートレンズに慣れている人でも、被写体との距離感をつかみやすいレンズです。
開放F2という数値だけを見ると、フルサイズのF1.2やF1.4ほど明るくは見えません。しかし、GFXの大きなセンサーと組み合わせることで、背景を大きくぼかしながら人物を自然に浮かび上がらせやすくなります。顔の形を大きく崩さず、背景も整理しやすいため、バストアップや半身ポートレートで特に使いやすい画角です。
屋外ロケでは、木漏れ日や街灯、車のライトなどを背景に入れると、ボケの量と滑らかさを感じやすくなります。背景が少し騒がしい場所でも、被写体の輪郭をしっかり残しながら周囲をやわらかく整理できるため、ポートレートらしい立体感を作りやすいレンズです。
色にじみを抑えた、すっきりしたボケ描写
GF110mmF2 R LM WRは、EDレンズを4枚使って色収差を抑える設計です。これにより、明暗差の大きい背景や光の縁に出やすいマゼンタやグリーンの色にじみが目立ちにくく、ボケの輪郭もすっきり見えやすくなります。
人物撮影では、髪の毛や肩のライン、白い衣装の縁などに色が乗ると、仕上がりが少し雑に見えることがあります。このレンズはそうした色ズレを抑えやすいため、ピント面から背景へ自然につながる描写を作りやすいのが強みです。
ただし、背景の点光源が画面端に入る場面では、玉ボケが少し楕円形に見えることもあります。弱点として大きく目立つというより、開放F2らしい雰囲気として活かしやすいタイプです。
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRの収差と逆光耐性レビュー

大口径中望遠レンズを選ぶ際は、解像力やボケ味だけではなく、色収差や歪曲の少なさという観点も重要です。髪の毛、白い服、アクセサリー、逆光時の輪郭などに色にじみが出ると、現像時の補正に手間がかかります。
GF110mmF2 R LM WRは、そうした色ズレを抑えやすく、撮影後の仕上げまで考えても扱いやすいレンズです。人物撮影や商品撮影でカット数が多くなるほど、補正の少なさは作業効率にもつながります。
色にじみと歪曲が少なく、人物を自然に写しやすい
Digital Camera Worldは、GF110mmF2 R LM WRについて、色フリンジの少なさや歪曲の抑え方を評価しています。髪の毛や白い服の輪郭、逆光で光が当たる部分に色にじみが出にくいため、ポートレートでも仕上がりを整えやすいレンズです。
歪曲も目立ちにくいため、顔や体のラインを自然に写しやすい点も安心材料です。背景に建物や柱などの直線が入る場面でも、不自然なゆがみが出にくく、人物と背景をバランスよく見せやすいでしょう。
最短撮影距離は0.9m、最大撮影倍率は0.16倍です。手元や花、コスメなどを絡めた寄りのカットには対応できますが、小さなアクセサリーや商品を大きく写す用途ではマクロレンズほど寄れません。近接撮影を重視するなら、GF120mmF4 Macro R LM OIS WRも比較候補になります。
逆光でも使いやすいが、フードと角度調整は大切
GF110mmF2 R LM WRは逆光でも大きく描写が崩れにくく、屋外ポートレートでも使いやすいレンズです。ただし、強い太陽光や点光源を画面内に入れると、条件によってはフレアやゴーストが発生することがあります。
逆光で安定した描写を得るには、レンズフードを装着し、光源の位置に合わせて立ち位置やカメラの角度を少し調整するのが効果的です。フレアを完全になくすだけでなく、あえて光を取り入れて柔らかな雰囲気を演出するなど、表現の幅も広いレンズです。
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRのAF性能とMF運用レビュー
GF110mmF2 R LM WRは開放F2で被写界深度が浅いため、ピント精度が仕上がりを大きく左右します。瞳やまつ毛にしっかりピントが合うと強い立体感が出る一方、少し外れるだけで甘く見えやすいレンズです。
AFはリニアモーターによるインナーフォーカス方式で、ポートレートの中距離では比較的テンポよく撮影しやすい設計です。ただし、近距離でのアップ撮影やコントラストが低い被写体では迷う場面もあるため、必要に応じてMFや拡大表示を併用すると安定します。
中距離の人物撮影では快適、近距離ではMF併用も有効
Imaging Resourceは、GF110mmF2 R LM WRのAFについて、広い距離域では速い一方、最短撮影距離付近では遅くなり、迷うことがあると述べています。バストアップや全身ポートレートの距離ではテンポよく撮りやすいものの、顔のアップや小物を絡めた近距離撮影では、AFが行き来する場面も想定しておきたいところです。
近距離でピント位置を細かく決めたいときは、MFの併用が有効です。フォーカスリングは幅が広く、拡大表示やピーキングを使えば、まつ毛やアクセサリーなど狙った部分にピントを追い込みやすくなります。
また、AFの使いやすさは組み合わせるGFXボディの世代によっても変わります。レンズ側の性格を理解したうえで、被写体との距離、測距エリアの置き方、背景のコントラストを調整すると、成功率を上げやすいでしょう。
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRの取り回し(重量・手ブレ)レビュー
GF110mmF2 R LM WRで注意したいのは、画質よりも取り回しの部分です。レンズ単体で約1,010gあるため、GFXボディと組み合わせると長時間の手持ち撮影では重さを感じやすくなります。
また、レンズ内手ブレ補正を搭載していないため、暗い室内や夕方以降の撮影ではシャッタースピードの確保が重要です。IBIS搭載ボディなら手ブレはある程度抑えられますが、人物撮影では被写体ブレもあるため、光量やISO感度、構え方まで含めて考える必要があります。一方で、しっかり構えられる場面では、ある程度の重さが安定感につながることもあります。
手ブレ補正がないため、シャッタースピードは意識したい
GF110mmF2 R LM WRはレンズ内手ブレ補正を搭載していません。IBIS搭載のGFXボディなら手ブレはある程度抑えられますが、人物撮影では被写体が少し動くだけでも写真が甘く見えることがあります。
そのため、暗い室内や夕方以降の撮影では、ISO感度を上げたり、照明を使ったりしてシャッタースピードを確保することが重要です。手ブレだけでなく被写体ブレも考慮して撮影すると、開放F2の描写を活かしやすくなります。
重さを活かすには構え方も大切
GF110mmF2 R LM WRはレンズ単体で約1,010gあるため、長時間の手持ち撮影では腕への負担が大きくなります。一方で、両手でしっかり支えて構えられる場面では、その重さが安定感につながることもあります。
移動の多いロケでは、ストラップで重量を分散したり、撮影の合間にこまめにカメラを下ろしたりすると疲労を抑えやすくなります。また、87mm相当の中望遠画角は被写体との距離が必要になるため、狭い室内では十分な撮影距離を確保できるかも事前に確認しておくと安心です。
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRの動画・ハイブリッド運用レビュー

GF110mmF2 R LM WRを動画で使う場合は、静止画用レンズの延長として考えると分かりやすいです。背景を整理した人物カットでは強みを発揮しますが、ピント操作や被写体追従には注意点もあります。ここでは、動画用途で活かしやすい場面と、事前に理解しておきたい制約を整理します。
動画では背景を整理した人物カットに向く
GF110mmF2 R LM WRは、基本的には静止画のポートレートを重視したレンズです。ただし、87mm相当の中望遠画角と開放F2の明るさにより、動画でも背景を大きくぼかして被写体を引き立てる表現は狙えます。
インタビューやイメージカットのように、被写体の動きが少なく、構図を作り込める撮影では使いやすいでしょう。背景を整理し、人物に視線を集めたい場面では、静止画で評価されるボケと立体感が動画にも活きます。
ピント送りや動体撮影は得意分野ではない
ただし、電子制御式のフォーカスリングなので、動画撮影専用レンズのように、同じ操作量で同じピント移動を再現する用途には向きません。ピント送りを多用する撮影では、事前に動きを確認し、ゆっくり一定の操作を心がける必要があります。
また、GF110mmF2 R LM WRは連続AFや高速な被写体追従を前提にしたレンズではありません。運動会や屋内スポーツのように被写体が大きく動く動画では、よりAF追従に強いカメラとレンズの組み合わせを選んだほうが扱いやすいでしょう。
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRと競合機の比較
GF110mmF2 R LM WRは高い描写力が魅力ですが、GFX(富士フイルムの中判ミラーレスシステム)には用途の異なる大口径単焦点やマクロレンズもそろっています。画質だけで優劣が決まるわけではなく、撮影距離や画角、手ブレ補正の有無などによって向いている用途は変わります。まずは各レンズの位置づけを整理してから、選び分けのポイントを見ていきましょう。
レンズ | 特徴 |
|---|---|
GF110mmF2 R LM WR | 主役。中望遠ポートレートの本命 |
GF80mmF1.7 R WR | 室内・環境ポートレート寄りの大口径候補 |
GF55mmF1.7 R WR | 標準域・全身・日常ポートレート候補 |
GF120mmF4 Macro R LM OIS WR | 近接・商品撮影・OIS重視の実務候補 |
ここからは、それぞれのレンズがどのような撮影スタイルに向いているのかを順番に見ていきます。人物撮影の距離感や背景の写り方、近接撮影への対応などを比較すると、自分に合った一本を選びやすくなります。
GF80mmF1.7 R WR:室内や環境ポートレートまで広く撮りたい人向け
GF80mmF1.7 R WRは、35mm判換算で約63mm相当の画角を持つ大口径単焦点です。GF110mmF2より画角が広いため、室内や狭いロケ地でも被写体との距離を取りやすく、上半身から全身寄りのカットまで柔軟に対応しやすいレンズです。
一方で、背景を圧縮して整理する感覚や、被写体と少し距離を取ったポートレートらしい見え方はGF110mmF2のほうが得意です。撮影距離に余裕があり、人物を背景からしっかり浮かせたいならGF110mmF2、室内や環境を含めた人物撮影を重視するならGF80mmF1.7が選びやすいでしょう。
GF55mmF1.7 R WR:人物と場所の空気感を一緒に写したい人向け
GF55mmF1.7 R WRは、35mm判換算で約44mm相当の標準域をカバーする大口径単焦点です。GF110mmF2ほど中望遠らしい圧縮感は強くありませんが、人物の周囲の空間やロケーションの雰囲気まで自然に写し込みやすいのが強みです。
全身ポートレート、日常の人物撮影、屋内での撮影では、GF55mmF1.7のほうが扱いやすい場面があります。被写体を主役として大きく浮かせたいならGF110mmF2、人物と背景の関係性まで見せたいならGF55mmF1.7を選ぶと、用途の違いがはっきりします。
GF120mmF4 Macro R LM OIS WR:近接撮影と手ブレ補正を重視する人向け
GF120mmF4 Macro R LM OIS WRは、近接撮影や商品撮影まで含めて安定したカットを作りたい人向けのレンズです。レンズ内手ブレ補正を搭載しているため、手持ちで小物や静物を撮る場面ではGF110mmF2より扱いやすく感じることがあります。
ただし、開放F値はF4なので、背景を大きくぼかして人物を浮かせる表現ではGF110mmF2が有利です。リングやアクセサリー、花、料理の一部などを寄って撮る用途を重視するならGF120mmF4 Macro、ポートレートで大きなボケと立体感を狙うならGF110mmF2が向いています。
フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRのレビュー比較まとめ
富士フイルムのフジノンレンズGF110mmF2 R LM WRは、GFXで本格的にポートレートを撮りたい人に向いた中望遠単焦点です。開放F2からの高い解像力、滑らかなボケ、色収差の少なさは大きな強みで、人物を背景から自然に浮かせたい撮影で力を発揮します。
一方で、レンズ単体で約1,010gあり、レンズ内手ブレ補正も搭載していないため、軽快さを重視する人には扱いにくく感じる場面もあります。まずは87mm相当の画角と撮影距離が自分のポートレートに合うかを確認し、より広く撮りたいならGF80mmF1.7、近接撮影や手ブレ補正を重視するならGF120mmF4 Macroも比較候補に入れると選びやすいでしょう。
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