カメラのF値とは?F値の変え方からシーン別設定方法を完全攻略

カメラのF値とは?F値の変え方からシーン別設定方法を完全攻略

F値は「写真の仕上がり」と「歩留まり」を大きく左右する要素です。背景のとろけ具合、夜のノイズ、風景のシャープさ、どれもF値(絞り)をどう設定するかで変化します。ここでは数式の詳細にとらわれすぎず、現場でそのまま使える“F値の決め方”をシーン別に整理。最新のレンズ事情も踏まえて、今日の撮影から役立つポイントをまとめました。

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筆者
みんカメ編集部
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この記事のサマリー

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F値は“レンズの穴の大きさ”を示す数値で、写真の明るさとボケ具合を同時に決める基本要素。

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数値を小さくすると明るく背景がボケ、大きくすると暗く全体にピントが合う。

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F値・シャッター速度・ISOは「露出三角形」として連動し、バランスで写真の印象が決まる。

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シーン別に最適なF値を選ぶことで、人物はふんわり・風景はくっきり・夜景はシャープに撮れる。

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まずは“F値で雰囲気を決め、シャッターとISOで整える”流れを覚えると、写真が一段レベルアップ。

目次

F値とは:写真の明るさとボケを同時にコントロールする

カメラのF値とは?F値の変え方からシーン別設定方法を完全攻略

F値は一言で表すと、レンズの「穴の大きさ」の目安です。数字が小さいほど穴が大きい(=たくさん光が入る・背景がよくボケる)、数字が大きいほど穴が小さい(=光が少ない・広くピントが合う)と覚えてOK。たとえば下記のような関係だけを掴めばまずok。

  • F2.8は「明るい&背景ふんわり」
  • F8は「やや暗め&全体シャキッ」

難しい式(焦点距離 ÷ 有効口径)は置いといて、まずは用途で数字を選ぶのがコツです。F値の感覚を掴むと、シャッター速度とISOの設計がぐっと楽になります。

撮影シーン

おすすめF値

写りの特徴・仕上がりイメージ

人物・料理を主役に

F1.8〜F2.8

明るく、背景がとろけるようにボケる。主役が際立ち、柔らかな印象に。

街スナップ・日常

F4〜F5.6

背景との距離感が自然で、記録写真にも表現写真にも使いやすい。

風景・建築

F8〜F11

手前から奥までしっかりピントが合い、全体がくっきりシャープに。

F値を決めたら、明るさの微調整をシャッター速度とISOで。迷ったらこの順番で設定をすることが鉄則です。

  • STEP1. 仕上がりの雰囲気でF値を決める(ボケ量・ピントの深さ)
  • STEP2. ブレないようシャッターを決める(人なら1/125秒目安)
  • STEP3. 明るさが足りなければISOを上げる

F値の読み方と「1段」の感覚を掴む

隣り合う代表値(F2→F2.8→F4→F5.6…)は理論上、およそ光量が倍・半分の関係です。F4からF5.6へ1段絞れば明るさは1/2、F5.6からF4へ1段開ければ2倍という具合。露出補正をせずにF値だけ変えれば、シャッターかISOで帳尻を合わせない限り写真は確実に明るさが変わります。

F値

光の量の変化

明るさのイメージ

F1.4

基準の約4倍明るい(F2.8比)

とても明るい・背景が大きくボケる

F2

基準の約2倍明るい(F2.8比)

明るい・ボケやすい

F2.8

基準(スタート)

標準的な明るさ・バランスが良い

F4

1段絞り → 光は1/2

やや暗い・ピントの合う範囲が広くなる

F5.6

2段絞り → 光は1/4

暗め・背景もある程度見せたい時に

F8

3段絞り → 光は1/8

風景など全体をくっきり写す

F11

4段絞り → 光は1/16

さらに暗く・深いピント

F16

5段絞り → 光は1/32

小絞り・明るい屋外や星形の光芒表現に最適

実践では「人物はF1.8~2.8」「風景はF8前後」をスタート地点にして、明るさがズレたらシャッターかISOで微調整。迷ったら、まずF値で雰囲気(ボケ量)を決め、明るさは残り二要素で整えるのが失敗しない手順です。

被写界深度の要点:ボケはF値だけで決まらない

ボケ量はF値に加えて焦点距離と被写体までの距離で変化します。望遠ほど・被写体に寄るほど浅く、広角ほど・離れるほど深くなります。F4でも望遠寄りで距離を詰めれば十分なボケを作れます。

背景整理が目的なら「F値を開ける」「望遠側にする」「被写体へ寄る」の三手を同時に使うと効きます。逆に全体をシャープにしたい時は、その三手を避けつつF8~11に設定すると安定します。

F値の変え方:絞り優先とマニュアル、そして絞りリング

操作はシンプルです。カメラ上面のモードを「A/Av(絞り優先)」に合わせ、ダイヤルでF値を回すだけ。写真の明るさはカメラが自動で調整します。慣れたら「M(マニュアル)」に移行し、F値・シャッター・ISOを自分で組み立てましょう。絞りリング付きレンズはリングを回せば直感的に変更できます。

絞り優先で“雰囲気先決”にする

背景のボケ具合や被写体の立体感を先に決めたい場面に最適です。人物ならF1.8~2.8、街スナップはF4~5.6、風景はF8前後にセットし、露出補正で明るさを足し引き。手ブレが不安ならISOをひと目盛り上げるだけで歩留まりが上がります。

液晶の明るさに惑わされないようにヒストグラムを併用しましょう。白飛びの山が右端に張り付いたら露出補正を控えめに。逆に暗すぎるなら+側へ。まずはF値で絵作り、残りは補正で整える流れを体に入れます。

マニュアルで“意図通りの露出”を固定する

連続カットや逆光など明るさが揺らぐ場面ではマニュアルが有利です。F値でボケ量を決め、シャッターで動きを止め、ISOで明るさを微調整。ライブビューの露出警告とピーキングを併用すると狙い通りの一枚に近づきます。

リング式のレンズは数字を見ずに指の感触で微調整できるのが長所。動画やスチルのハイブリッド運用では、クリック解除に対応したレンズなら絞り操作が滑らかで、露出の段差が目立ちにくくなります。

露出三角形とF値:シャッター・ISOとの上手な分担

F値は“絵のキャラクター担当”、シャッターは“動き担当”、ISOは“救済担当”。この役割分担で考えると迷いません。止めたいならシャッターを速く、暗いならISOで救う。ただしどれも副作用があります。F値を変えるとボケが、シャッターを遅くするとブレが、ISOを上げるとノイズが増えます。

要素

主な役割

変えると起きること

F値(絞り)

光を入れる量とボケの大きさを調整する

小さくすると明るくなる+背景がボケる/大きくすると暗くなる+ピントが深くなる

シャッター速度

光を取り込む時間と動きの表現を調整する

遅くすると明るくなるがブレやすい/速くすると暗くなるが動きを止めやすい

ISO感度

センサーの光への感度を調整する

上げると明るくなるがノイズが増える/下げると暗くなるが画質がきれい

シャッター速度とのトレードオフ

F値を一段絞ると光量は半分。代わりにシャッターを一段遅くすれば同じ明るさです。人物の最低ラインは1/125秒、子どもやスポーツは1/500秒以上を目安に。これを下回るならF値を開けるかISOを上げる判断が必要です。

状況

優先すべき設定

その理由

人物ポートレート

F値(F1.8〜F2.8)

背景をボカして主役を浮かせたい

風景

F値(F8前後)

隅々までピントを合わせたい

夜景・室内

ISO(800〜3200)

光が少ない環境で明るさを確保

スポーツ・動体

シャッター速度(1/1000秒前後)

ブレずに動きを止めたい

手ブレ補正の効きに甘え過ぎないこと。補正は“カメラのブレ”を抑えますが“被写体ブレ”には効きません。被写体が動く場面では、結局シャッター速度が最優先です。

ISOの使いどころと限界

ISOは“最後の一押し”に温存しましょう。室内でF2.8・1/125秒で暗いなら、まずF2.0へ。まだ暗ければISOを800→1600へ上げる。段階的に上げ下げすると失敗が減ります。最新世代のセンサーはISO3200前後まで実用域の機種も増えました。

とはいえ持ち上げすぎると色ノイズや階調崩れが目立ちます。現像耐性を確保したいなら、ややアンダーで撮って後で持ち上げるより、現場でF値とシャッターを整える方が安全です。

単焦点とズーム:F値設計の違いを味方にする

単焦点は小さなF値(明るい開放)を得やすく、ボケの質と暗所耐性に強み。ズームは画角の自由度が高い一方、可変F値やF4通しが中心です。どちらが上ではなく“何を撮るか”で選び方が変わります。通勤スナップと子ども撮りでは、最適解がまったく違うのです。

単焦点:開放の表現力と軽快さ

F1.4~F2の単焦点は被写体が浮き立つ立体感が魅力。室内でも低ISOでクリアに写せ、夕景の手持ちもこなせます。焦点距離が固定なので構図の迷いが減り、撮影のテンポが上がるのも利点です。

欠点はズームできない不便さ。ただし“足ズーム”が身につくと、画づくりの決断が早くなります。初めての一本は35mm相当F1.8か、ポートレート狙いなら50mm相当F1.8が扱いやすいでしょう。

ズーム:可変F値と通しFの実務的な差

キットズームの多くは広角側で明るく、望遠側で暗くなる可変F値設計。ズームで急に暗くなってシャッターが落ちるのはこのためです。一方、F2.8通しやF4通しはズーム全域で明るさ一定。露出が崩れにくく、動体やイベント撮影で管理が楽になります。

重量と価格は上がりますが、仕事や運動会など“外せない場面”では通しレンズの安心感が大きいです。旅行重視なら軽量F4、室内や動体重視ならF2.8が現実的な落とし所です。

センサーサイズとF値:ボケ感の“見え方”を理解する

同じF値でも“同じ構図(被写体の大きさと画角)に揃えた場合”は、センサーが大きいほど浅く、小さいほど深く見えます。一方で同一の焦点距離・撮影距離で比べるなら、センサーサイズだけではボケ量は変わりません。機材ごとに“自分のF値の地図”を作っておくと、現場の判断が速くなります。

フルサイズとAPS-Cの実務的な差

ポートレートの分離感を求めるならフルサイズ優位。逆に旅行スナップやテーブルフォトで“ちょうどいい深度”を得たいならAPS-CのF2.8~4が扱いやすい場面も多いです。どちらにも勝ち筋があります。

重要なのは「目的に対してF値をいくつにするか」を決め打ちできること。機材の特性を把握すれば、センサー差は“選べる味の違い”に早変わりします。

距離と焦点距離の合わせ技

ボケが足りないと感じたら、まず被写体に一歩寄る。さらに望遠寄りにズームする。最後にF値を開ける。この順番が効率的です。逆に全体にピントを合わせたいなら、その逆の順番で調整すると破綻しにくいです。

三つの要素を同時に動かすと混乱します。まずは一つずつ変えて、変化量を体で覚えましょう。繰り返せば感覚が定着します。

ここから実際の撮影シーン別の設定方法を紹介していきます、まとめて一覧で確認したい方は最後の「用途別おすすめF値設定」をご覧ください。

ポートレートのF値:人をきれいに写す“外さない目安”

背景を整理しつつ肌を柔らかく見せたいならF1.8~2.8が定番。屋外の晴天では明るすぎることがあるため、シャッター上限やISOの下限を意識。必要ならNDフィルターで光量を抑えます。室内はF2前後から入り、歩留まりと描写のバランスを見ます。

瞳にピント、耳はほどよくボカす

開放寄りではピント面が薄くなり、まつ毛はシャープでも耳が溶けます。狙いは瞳。AF-C+瞳認識を基本に、上半身ではF2~2.8、複数人ならF4付近へ。少し被写体から距離を取ると深度が稼げ、表情の歩留まりが上がります。

背景がごちゃつく場所では望遠寄りにしてF2.8。圧縮効果で余計な情報を消し、被写体を引き立てられます。髪の毛のエッジがにじむなら、半段だけ絞るのも有効です。

晴天対策とNDフィルターの使いどころ

開放F1.8+最速1/8000秒でも露出オーバーになる場面があります。そんな時はND8やND16で光を減らし、絞らずにボケを維持。シャッター速度を落としすぎないようヒストグラムで確認しましょう。

可変NDは便利ですが偏光ムラが出る製品もあります。人物主体なら固定値NDの方が色再現が安定。屋外ポトレ用に“ND8を常備”はコスパが高い選択です。

風景・建築のF値:解像感と回折のバランス

手前から遠景までシャープに写すならF8~F11が安定。むやみに絞ると回折で解像感が落ちます。レンズごとに“甘くなる境目”が違うため、事前に三脚でF5.6~F16を撮り比べて、最良のF値をメモしておくと本番で迷いません。

ハイパーフォーカスを現実的に使う

理屈通りにハイパーフォーカスを使うのは手間がかかります。実務ではF8前後を起点にし、ライブビュー拡大で前景と遠景を見比べながら合焦位置を決めます。“遠景の1/3”は状況により外れるため、焦点距離や被写体距離で微調整しましょう。

風で草木が動くなら、シャッターを速めるためにF5.6~8へ少し開ける判断も。まっすぐ撮るより“ブレを作らない”ことを優先したほうが総合点は上がります。

回折と小絞りボケの回避ライン

超高解像ボディほど小絞りの影響を受けやすいです。F16以降で眠くなるなら、F11に戻しISOを少し上げて露出を確保。部分的に手前が甘いなら、ピント位置を手前寄りに移すだけで解決することも多いです。

太陽の光芒を強調したいときだけ意図的に絞り込む、という“表現上の理由”がある場合に限って小絞りを選びましょう。

夜景・イルミのF値:点光源をきれいに描くコツ

夜景はF8~F11が起点。点光源のにじみを抑えつつ、ビルの窓もシャープにしやすい範囲です。三脚・低ISO・レリーズで長秒露光が基本。人の流れを表現したいなら、シャッターを30秒程度まで伸ばして動きを残します。

光の筋・ゴーストの制御

F11付近にすると星形の光芒が伸びやすくなります。派手になりすぎると感じたらF8へ戻すと自然に。強い光源が画面端にあるとゴーストが出やすいので、わずかに構図を振るか、フードを活用しましょう。

イルミ撮影では白飛びに注意。ヒストグラムの右端に山が触れていたら露出を抑え、暗部は後処理で持ち上げるほうが質感を保てます。

手持ち夜景の現実解

三脚禁止の場所ではF2~2.8に開け、1/60秒以上を確保。ISOは必要な分だけ段階的に上げます。街灯の色は混ざりやすいのでオートWBに頼りすぎず、電球や蛍光灯のプリセットを試すと色が決まりやすいです。

反射で白飛びが出たら、露出補正を-0.7EV前後に。暗く見えてもRAWの余裕で後から戻せます。まずは飛ばさないことを最優先にしましょう。

星空のF値:開放寄りで“点像”を狙う

星は非常に暗く、地球の自転で動いています。基本は広角でF1.4~2.8に開け、露光の上限(フルサイズ換算で500/焦点距離。APS-Cやマイクロフォーサーズはクロップ係数を考慮。より厳密にはNPFルール)内でシャッターを決定。ピントはマニュアルで無限遠の少し手前、ライブビュー最大拡大で明るい星に合わせます。

開放の周辺像を見ながら半段絞る

開放では周辺の星が流れるレンズもあります。そんな時は半段~一段だけ絞ると改善することが多いです。露光を落とした分はISOで補います。テスト撮影で四隅の星の形をチェックしましょう。

結露対策も重要です。冬の山で曇れば全滅。レンズヒーターかカイロを巻き、予備バッテリーをポケットで温めておくと“最後まで写る”率が上がります。

固定撮影と追尾撮影でF値の考え方を変える

赤道儀で追尾するなら、シャッターを長くできるため半段~一段絞る余裕が生まれます。固定撮影では開放寄りで“点像優先”、追尾では“画質優先”という切り替えが効率的です。

天の川を強調したい場合は、空の透明度と月齢のチェックも忘れずに。条件が悪い日は、むしろ地上の前景を主役にして“星は脇役”の構図に切り替えるのも一手です。

スポーツ・動体のF値:ブレを止めるための優先順位

スポーツは“被写体ブレの抑制”が最優先。まずはシャッター1/1000秒を確保し、足りなければF値を開け、最後にISOで救済します。望遠側では被写界深度が浅くなり背景分離が得やすいため、F2.8~4でも十分に背景が整理されます。

望遠+開放の“抜き”とAF設定

長い焦点距離で開放にすれば、背景が大きく溶け主役が浮き上がります。AF-C・被写体認識・ゾーンAFを基本に、迷う場面では“拡張スポット”で狙い撃ち。パンニングをする場合は1/125~1/250秒に落とし、Fを絞って被写界深度を確保します。

競技によって必要速度は変わります。サッカーは1/1000秒、野球のバッターは1/2000秒が目安。屋内競技は光量が少ないため、F2.8通しの価値が大きくなります。

歩留まりを上げる露出戦略

光が頻繁に変わる会場では、露出がブレると後処理が地獄です。グラウンドの明るい部分に露出を合わせ、少しアンダー寄りに固定。白いユニフォームの白飛びを避けつつ、RAWの余裕で後から戻します。

連写主体ではバッファ詰まりや発熱の可能性にも注意。書き込み中に設定変更が効かないことがあるので、F値とシャッターは“事前に決め切る”のが安全です。

最新トレンド:大口径と軽量の二極化を賢く選ぶ

ここ数年、F1.2クラスの単焦点が各社で拡充。一方、F2通しのズームは数は限られるものの(例:28–70mm F2など)選択肢として存在し、可変でF2始まりの高性能ズームも登場しています。携行性重視のF4通しや沈胴ズームも充実し、ボディの高感度性能向上と併せて“無理に大口径を持たない選択”も現実的になりました。

“大口径一本主義”の勝ち筋

人物中心で背景整理が最優先なら、まずはF1.4~F1.8の単焦点を一本。室内でも低ISOで済み、撮影体験そのものが軽快になります。高価でも“撮れ高”の伸びで回収できる場面が多いです。

ただし重量と価格は確実に上がります。長時間歩く旅や登山ではデメリットが勝つことも。撮影テーマと移動距離を天秤にかけて判断しましょう。

“軽量通しズーム主義”の勝ち筋

取材・旅行・家族行事など“何でも撮る”人はF4通しの軽量ズームが強い味方。焦点距離の自由度でチャンスを逃しにくく、絞りの管理もシンプル。暗所はボディの高感度と手ブレ補正でカバーします。

サードパーティの軽量高性能レンズも選択肢が拡大。純正に固執せず、AF互換性と重量、価格を総合で評価すると満足度が高まります。

テーブルフォト・物撮り:質感を出すF値の“正解”

料理や小物は“質感と立体感”が命。F2~F4で前後をほどよくボカし、被写体のエッジはシャープに。俯瞰ではF5.6~8で全体の情報量を確保します。光はサイドから入れて陰影をつくると、少ないF値でも立体感が出ます。

寄りのピントと最短撮影距離

寄るほど被写界深度は極端に浅くなります。ピントが逃げるなら半段だけ絞る、撮影距離を5~10cm離す、焦点距離を少し短くする、この三つの調整で歩留まりが改善します。

最短撮影距離を下回るとピントは絶対に合いません。マクロレンズでなくても、寄れないときは“焦点距離を短くして同じ画角にする”のが近道です。

色とテカりを整える

F値の前に光を整えると結果が激変します。半透明のトレーシングペーパーで拡散し、ハイライトの白飛びを抑える。露出はややアンダーで撮り、後でレベル調整。これでソースの艶や布の織りまで出やすくなります。

ホワイトバランスは電球/蛍光の混在で破綻しがち。意図がなければ一種類の光に寄せるだけで、F値の小さな差が生む質感の違いが見えやすくなります。

動画撮影のF値:シャッター固定だからこそ絞りが主役

動画では“180度シャッター”の目安(フレームレートの約2倍に相当、例:24pなら1/50秒)を基準に設定することが多いです。明るさ調整の主役はF値とNDです。移動撮影やインタビューではF2~4の浅め、風景や商品紹介はF5.6~8で安定。AF挙動と被写界深度の折り合いを取ります。

可変NDとアイリス操作

屋外で開放の質感を保つには可変NDが便利。露出の段差が目立たないよう、アイリスはゆっくり操作。被写体の肌が乗る中間調を基準に、波打つ露出変化を避けます。

パンフォーカスで見せたいカットはF8付近にし、ピント送りは最小限に。被写界深度を深めるほどピント送りの難易度は下がります。歩留まり優先の現実的な選択です。

[保存版]用途別おすすめF値設定・ポイントまとめ

ここまで紹介してきたシーン別の設定を、ひと目で比較できるように整理しました。被写体や環境によって最適なF値は変わりますが、この表を基準にすれば、撮影現場で迷うことがぐっと減ります。F値の大小だけでなく、シャッター速度やISOとのバランスにも注目です。

撮影シーン

おすすめF値

シャッター速度の目安

ISO感度の目安

写りの特徴・注意点

人物・ポートレート

F1.8〜F2.8

1/125秒以上

ISO100〜800

背景を大きくボカして主役を際立たせる。屋外では露出オーバー防止にNDフィルター推奨。

料理・物撮り

F2〜F4

1/100秒前後

ISO100〜400

立体感を出す浅めのボケ。近距離ではピントが薄くなるので半段絞るのが安定。

街スナップ・日常

F4〜F5.6

1/250秒前後

ISO200〜800

背景との距離感を自然に。F4前後なら被写体も環境も程よく描写。

風景・建築

F8〜F11

三脚使用または1/60秒前後

ISO100

全体をくっきり。F16以上は回折に注意。太陽光芒を出したい時のみ絞り込み可。

夜景・イルミネーション

F8〜F11

5〜30秒(長秒露光)

ISO100

三脚・レリーズ必須。白飛びに注意。光芒表現を狙うならF11前後。

星空

F1.4〜F2.8

10〜25秒(500ルール基準)

ISO1600〜3200

開放寄りで星を点像に。APS-Cではクロップ係数を考慮。ピントは無限遠付近で微調整。

スポーツ・動体

F2.8〜F4

1/1000秒以上

ISO400〜1600

被写体ブレ防止が最優先。望遠では深度が浅いのでピント追従AFを活用。

テーブルフォト

F2〜F5.6

1/60〜1/125秒

ISO100〜400

サイド光+浅絞りで質感を表現。近距離ではピント面が薄いので注意。

動画撮影

F2〜F8(被写体に応じて)

フレームレートの2倍(例:24p→1/50秒)

ISO自動または400前後固定

明るさはF値とNDで調整。可変NDを

レンズ投資の優先順位:明るさ・重量・価格の最適点

限られた予算で最大の成果を出すには“撮るテーマ”から逆算します。人物主体ならF1.8単焦点を先に。運動会や行事が中心ならF2.8通し望遠。旅重視なら軽量F4ズーム。明るさを買うほど重量と価格は増すため、使用頻度で回収できるかを冷静に判断しましょう。

“二本体制”のすすめ

万能ズーム+得意分野専用の単焦点、この二本体制は費用対効果が高いです。普段はズームで取りこぼしを減らし、勝負どころは単焦点で質を上げる。F値の役割分担が明確になり、機材選択の迷いが減ります。

中古市場も積極的に活用を。人気単焦点はリセールが安定し、実質コストが低く済みます。まずは一本試し、合えばグレードアップしていく進め方が安全です。

軽量構成で“撮る回数”を増やす

最終的に上達速度を決めるのは撮影量です。重くて持ち出さないレンズは写りません。少し暗くても軽いセットで出歩くほうが写真は伸びます。F4ズーム+小型単焦点の組み合わせは、まさに“撮る回数が増える装備”です。

機材は目的を達成する道具。数字の優劣に振り回されず、“自分が撮りたい画”に最短で届くF値のラインナップを組みましょう。

カメラF値のまとめ

F値は写真の性格を決める心臓部。まずは“人物F2前後・スナップF4・風景F8”の初期値から入り、シャッターとISOで整える流れを習慣化しましょう。単焦点とズーム、センサーサイズの違いを理解すれば、同じ機材でも結果が一段アップします。今日は身近な被写体で三つの初期値を試し、手元のレンズで“半段絞る/開ける”の効果を確認してください。明日には、あなたのF値は迷いのない数字に変わっています。


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