フランジバックとは?一覧・アダプター・調整方法までわかりやすく解説

フランジバックとは?一覧・アダプター・調整方法までわかりやすく解説

マウント面から撮像面までの距離のことを「フランジバック」といいます。フランジバックは、マウントアダプターの可否、ミラーレスが薄くできる理由、動画ズームで起きる“引きボケ”の原因にまで関わるカメラの重要な要素のひとつです。この記事では、フランジバックとは何かを、バックフォーカスとの違いも含めて解説します。主要マウントのフランジバック一覧と比較、フランジバックが短いメリット、フランジバックチャートを使う調整の考え方、調整手順のポイントまで、初心者にもわかりやすく整理します。

みんカメ編集部
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みんカメ編集部
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この記事のサマリー

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フランジバックは「マウント面から撮像面までの距離」。合焦やアダプター運用の土台になる

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バックフォーカスはレンズ設計側の距離。フランジバックとは混同しやすいが別物

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フランジバック一覧を見ると、一眼レフは長め・ミラーレスは短めという傾向が分かる

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マウントアダプターは、フランジバック差を“厚み”で補う仕組み

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フランジバックチャートの使い方と、調整時の注意点も解説

目次

フランジバックとは:ピントが合う仕組みの基準距離

フランジバックとは、カメラのマウント面(レンズが当たる面)から撮像面(センサーやフィルム)までの距離のことです。レンズはこの距離を前提に設計されているため、フランジバックが正しい値で保たれて初めて、本来の性能どおりにピントが合います。なお、カメラごとにフランジバックの長さは決まっており、この違いが「どのレンズをアダプター経由で使えるか」「なぜミラーレスは薄型化できたのか」といった話にもつながっています。レンズ交換式カメラを理解するうえで、一度は知っておきたい基本知識といえるでしょう。

フランジバックとは?

フランジバックは普段の撮影で意識する機会が少ないものの、実は交換レンズシステムの土台となる重要な寸法です。無限遠が合わない、マウントアダプター経由でうまく使えない、動画でズームするとピントがずれる、といったトラブルの背景にはフランジバックが関係していることがあります。

「ピント調整と何が違うの?」と思うかもしれませんが、ピントリングは被写体との距離に合わせてレンズを動かす機構です。一方、フランジバックはレンズとセンサーの基準位置そのものを決める寸法で、建物で例えるなら土台にあたります。土台がずれていると、その上でどれだけ細かくピントを合わせても本来の状態にはなりません。

なお、一般的なミラーレスカメラや一眼レフでは、ユーザーがフランジバックを調整することはほとんどありません。メーカーが規格どおりに製造しており、通常は意識しなくても問題なく使えます。調整が必要になるのは、放送用レンズやシネマレンズなど一部の業務用機材が中心です。

「マウント面→撮像面」までの距離がピントの土台になる

交換レンズは、「カメラの撮像面がマウント面から何mm奥にあるか」を前提に作られています。つまりフランジバックは、レンズが正しい位置で像を結ぶための基準距離です。

この距離が規格どおりなら、レンズを無限遠に合わせたとき、遠くの景色の像がちょうどセンサー上に結ばれます。反対に、フランジバックが長すぎると像がセンサーの手前で結ばれ、無限遠までピントが届きにくくなります。短すぎる場合は、距離目盛りの「∞」より手前で無限遠に合うなど、ピント位置の目安がずれます。

なお、フランジバックの前後方向のズレは、基本的に画面全体のピントに影響します。画面の片側だけが甘い場合は、フランジバックの長短だけでなく、マウントやアダプターの傾き、装着面のゴミ、レンズや撮像面の傾きも疑う必要があります。

フランジバックのズレで出る症状:無限遠・片ボケ・引きボケ

フランジバックのズレで出る症状:無限遠・片ボケ・引きボケ

フランジバックのズレで分かりやすい症状は、「遠くにピントが合わない」ことです。星空や遠くの山、街灯などを撮ると、ピントを合わせたつもりでも全体が甘く見えることがあります。特にフランジバックが長すぎると、無限遠までピントが届きにくくなります。反対に短すぎる場合は、距離目盛りと実際のピント位置がずれたり、ズーム中に合焦位置が変わったりすることがあります。

また、画面の左側だけ、右側だけが甘い「片ボケ」が出る場合もあります。ただし片ボケは、フランジバックの長短だけでなく、マウントやアダプターの傾き、装着面のゴミ、レンズ側の個体差でも起こります。

なお、ズーム中にピントがずれる場合も、すぐにフランジバックだけを原因と決めつけない方が安全です。AFの追従、レンズの仕様、手ブレ、被写体との距離を切り分けたうえで、調整機構のある業務用・放送用・シネマ用レンズでは、取扱説明書に沿ってフランジバック調整を行います。一般的な写真用レンズは無理に分解せず、改善しない場合はメーカー点検を検討します。

症状

起きやすい場面

疑うポイント

無限遠が出ない

遠景・星・飛行機など

フランジバックの誤差、アダプター厚み不良

画面の片側だけ甘い

開放付近の風景、平面チャート

アダプターの平行度、マウントの当たり

ズームでピントがずれる(引きボケ)

動画ズーム、ENG系運用

フランジバック調整不足、ズーム機構の個体差

バックフォーカスとの違い:マウント基準か、レンズ基準か

バックフォーカスとの違い:マウント基準か、レンズ基準か

フランジバックは、カメラのマウント面から撮像面までの距離です。一方、光学設計でいうバックフォーカスは、レンズ最後面から像面までの距離を指します。つまり、マウントアダプターの厚みやボディ側の規格を考えるときはフランジバック、レンズ内部の設計や後玉とセンサーの距離を考えるときはバックフォーカスが関係します。どちらも「後ろ側の距離」ですが、基準にする場所が違います。

フランジバック一覧:主要マウントの数値を比較して見えること

フランジバックの説明だけを読んでも、16mmや44mmといった数値が実際に何を意味するのかは分かりにくいかもしれません。そこで、まずは主要なカメラマウントのフランジバックを一覧で紹介します。表を眺めるだけでも、「ミラーレスは短い」「一眼レフは長い」という傾向が分かります。この違いがレンズ設計やアダプター運用のしやすさに大きく影響しています。

マウント

カテゴリ

フランジバック(mm)

ポイント

Canon EF

一眼レフ(フルサイズ)

44.0

ミラーレスへのアダプター移行で使われやすい代表例

Canon RF

ミラーレス(フルサイズ)

20.0

EF→RFは厚みで合わせやすい

Nikon F

一眼レフ(フルサイズ)

46.5

Zボディではアダプター厚に余裕がある

Nikon Z

ミラーレス(フルサイズ)

16.0

他マウントレンズを受けやすい短い規格

Sony A

一眼レフ系(フルサイズ)

44.5

Eマウントへの移行でアダプター運用が広がった

Sony E

ミラーレス(フルサイズ/APS-C)

18.0

多くのマウントを受けやすい短い規格

Leica M

レンジファインダー

27.8

ミラーレスほど短くないが、一眼レフより短い

Lマウント

ミラーレス(フルサイズ)

20.0

ミラーレス用として20.0mmを採用

Fujifilm X

ミラーレス(APS-C)

17.7

APS-Cミラーレスでも短い設計

マイクロフォーサーズ

ミラーレス(4/3)

19.25

小型システムを支える短めの規格

PENTAX K

一眼レフ

45.46

M42と同じ45.46mmで、変換リングを使いやすい

M42(スクリューマウント)

オールドレンズ

45.46

ミラーレスでは厚みのあるアダプター、PENTAX Kでは薄型リングで対応しやすい

Cマウント

産業/監視/実験

17.526

CSよりフランジバックが5mm長い

CSマウント

産業/監視/実験

12.526

Cレンズは5mmスペーサーで合わせる運用が多い

PLマウント

シネマ

52.0

短いボディ側ではアダプターを作りやすい

一眼レフは長く、ミラーレスは短い

フランジバック一覧を見ると、一眼レフは40mm台、ミラーレスは16〜20mm前後が中心であることが分かります。この違いは、カメラの構造から生まれています。一眼レフは、レンズと撮像面の間にミラーを置く必要があります。そのため、マウント面から撮像面までにある程度の距離が必要になり、フランジバックは長めになります。

一方、ミラーレスはミラーを使いません。レンズの後ろにミラー室を確保する必要がないため、撮像面をマウント面に近づけやすく、フランジバックを短くできます。

この短さはボディを薄くできるだけでなく、マウントアダプターにも関係します。たとえばフランジバックの短いミラーレスボディに、一眼レフ用レンズを付ける場合、足りない距離をアダプターの厚みで補えます。これが、Sony E、Canon RF、Nikon Zなどで一眼レフ用レンズを使いやすい理由です。

フランジバックの短さだけで画質は決まらない

フランジバックが短ければ何でも高画質になるわけではありません。レンズ設計、センサーへの光の入り方、アダプターの精度なども写りに影響します。フランジバックは「装着してピントを出すための土台」であり、画質まで完全に保証するものではありません。

また、CマウントとCSマウントのように、見た目が似ていてもフランジバックが違う規格もあります。この場合、スペーサーが必要になったり、組み合わせによってはピントが出なかったりします。シネマ用のPLマウントも含め、マウントごとの数値を確認することが大切です。

フランジバックが短いメリット:小型化だけではない設計の余裕

フランジバックが短いメリットは、ボディを薄くしやすいことだけではありません。レンズ設計の自由度が上がり、広角レンズや大口径レンズを作りやすくなります。さらに、マウントアダプターを使って過去のレンズ資産を活かしやすい点も大きなポイントです。

ボディを薄くしやすく、レンズ設計にも余裕が出る

ミラーレスはミラー室を必要としないため、撮像面をマウント面に近づけやすくなります。その結果、カメラ本体を薄く設計しやすく、システム全体の小型化にもつながります。また、レンズ後方の自由度が高くなるため、広角レンズでも無理の少ない設計をしやすくなります。短いフランジバックと十分なマウント径が組み合わさると、大口径レンズや高画素機向けレンズの設計にも有利に働きます。

マウントアダプターでレンズ資産を活かしやすい

フランジバックの短いボディは、フランジバックの長い一眼レフ用レンズを受け入れやすい構造です。足りない距離をアダプターの厚みで補えるため、ミラーレス機では過去のレンズ資産を活かしやすくなっています。たとえば、Canon EFレンズをCanon RFボディへ、Nikon FレンズをNikon Zボディへ、AマウントレンズをSony Eボディへ装着するような使い方は、このフランジバック差を利用しています。

フランジバックとマウントアダプター:付く組み合わせ・付かない組み合わせ

フランジバックとマウントアダプター:付く組み合わせ・付かない組み合わせ

マウントアダプターは、レンズとカメラのフランジバックの差を埋めるための部品です。簡単にいうと、レンズを本来あるべき位置まで前に出す「厚みのあるスペーサー」のような役割をします。

アダプターは「足りない距離」を足すもの

レンズは、もともと想定されたフランジバックの位置でピントが合うように作られています。そのため、フランジバックの短いミラーレスボディに、フランジバックの長い一眼レフ用レンズを付ける場合は、足りない距離をアダプターの厚みで補う必要があります。

たとえば、Canon EFレンズをCanon RFボディに付ける場合は、EFの44.0mmとRFの20.0mmの差である約24mmをアダプターで埋めるイメージです。これにより、レンズが本来想定していた位置に近づき、無限遠までピントを合わせやすくなります。

逆方向は難しいことが多い

反対に、フランジバックの長い一眼レフボディに、フランジバックの短いミラーレス用レンズを付けるのはやや難しいといえます。本来ならレンズをもっとセンサー側に近づける必要がありますが、カメラ内部にめり込ませることはできないためです。

この場合、光学補正レンズ入りのアダプターで対応できることもありますが、画質が落ちたり、焦点距離や明るさに影響したりする場合があります。基本的には「短いボディに、長いレンズを付ける方が成立しやすい」と覚えると分かりやすいでしょう。

【参考】必要なアダプター厚例

ボディ側

使うレンズ

必要なアダプター厚

無限遠

ポイント

Sony E(18.0mm)

Canon EF(44.0mm)

約26.0mm

出しやすい

厚みを確保しやすく、電子アダプターも選びやすい

Nikon Z(16.0mm)

Nikon F(46.5mm)

約30.5mm

出しやすい

Fマウントレンズ資産をZボディで使う定番パターン

Canon RF(20.0mm)

Canon EF(44.0mm)

約24.0mm

出しやすい

純正アダプターがあり、EFレンズ移行と相性が良い

Lマウント(20.0mm)

M42(45.46mm)

約25.46mm

出しやすい

機械式アダプターでシンプルに使いやすい

一眼レフ(44〜46mm台)

ミラーレス(16〜20mm台)

距離が足りない

原則難しい

レンズを撮像面側へ近づける必要があり、一般的なアダプターでは成立しにくい

表の「必要なアダプター厚」は、レンズ側のフランジバックからボディ側のフランジバックを引いた目安です。この差がプラスなら、アダプターの厚みで距離を足せるため、無限遠を出しやすくなります。反対に差がマイナスになる組み合わせは、レンズをカメラ内部へ近づける必要があり、一般的には難しくなります。

電子機能は別問題として確認する

フランジバックの差が合っていても、すべての機能がそのまま使えるとは限りません。たとえばAF、絞り操作、手ブレ補正、Exif記録などは、レンズとボディ、アダプターの通信対応に左右されます。

そのため、アダプターを選ぶときは「物理的に付くか」だけでなく、「無限遠が出るか」「AFや絞りが使えるか」「対応レンズ一覧に入っているか」を確認することが大切です。フランジバックは装着可否を考えるための土台ですが、実際の使い勝手はアダプターの精度や電子対応まで含めて判断します。

アダプターの精度で写りが変わることもある

マウントアダプターは、見た目にはただの筒のように見えます。しかし実際には、レンズを正しい距離と角度で固定する重要な部品です。厚みがわずかに違ったり、レンズが少し傾いて付いたりすると、ピントや画質に影響することがあります。

特に影響が出やすいのは、絞りを開けて撮るとき、広角レンズを使うとき、高画素のカメラで撮るときです。被写界深度が浅い場面では少しのズレでもピントが外れて見えやすく、広角では画面の端まで写りを整えるのが難しくなります。高画素機では細かな甘さも目立ちやすくなります。

たとえば、画面の左側だけ甘い、右上だけ流れる、遠景の四隅がそろわないといった症状が出る場合は、アダプターの傾きや装着面の当たりが原因になっていることがあります。まずはレンズとアダプターを付け直し、マウント面にゴミがないか確認します。それでも改善しない場合は、別のアダプターで試すか、メーカー点検を検討するとよいでしょう。

フランジバック調整が必要になるケース:動画ズームの引きボケ対策

フランジバック調整は、すべてのカメラやレンズで日常的に行う作業ではありません。必要になるのは、主に放送用レンズ、業務用ビデオカメラ、シネマ用ズームなど、調整機構を備えた機材です。一般的なミラーレスカメラや一眼レフ、写真用ズームレンズでは、ユーザーが自分で調整できない場合がほとんどです。

ズームするとピントがズレる「引きボケ」

動画撮影で分かりやすい症状が、ズーム中やズーム後にピントがずれる「引きボケ」です。たとえば望遠側で人物の顔にピントを合わせたのに、広角側へ戻すとピントが甘くなる、といった状態です。

ズームしてもピント位置が変わりにくいレンズでも、機材の個体差、温度変化、衝撃、経年変化などでズレが出ることがあります。このとき、調整機構のある機材ではフランジバック調整によって改善できる場合があります。

まずAFや撮影条件を切り分ける

ズーム中にピントがずれる場合、必ずしもフランジバックが原因とは限りません。AFが別の被写体に引っ張られている、手ブレで甘く見えている、被写界深度が浅すぎる、被写体のコントラストが低い、といった原因でも似た症状が出ます。

確認するときは、まずマニュアルフォーカスにして、望遠側でしっかりピントを合わせます。その状態で広角側へズームし、同じ位置でピントが保たれるかを見ます。絞りを開けた状態で確認すると、ズレが分かりやすくなります。

調整できない機材は分解しない

フランジバック調整は、機材ごとに手順が決まっています。調整リングやメニュー調整を備えた機材では、必ず取扱説明書の手順に沿って行います。

なお、一般的な写真用レンズや調整機構のないカメラは、ユーザーが分解して直すものではありません。無限遠が出ない、ズームでピントが大きくずれる、片側だけ甘いといった症状が続く場合は、アダプターの精度や装着状態を確認し、それでも改善しなければメーカー点検を検討しましょう。

フランジバックチャートの考え方:置き方・距離・光の整え方

フランジバックチャートの考え方:置き方・距離・光の整え方

フランジバックチャートは、ズームしてもピントが同じ位置に残っているかを確認するための道具です。細かな線や模様を使って、ピントのズレを見つけやすくします。

チャートは「ズーム中のピントズレ」を見る道具

フランジバック調整で見たいのは、前ピン・後ピンの量そのものではありません。望遠側で合わせたピントが、広角側に戻しても同じ位置に残るかどうかです。そのため、通常のフォーカスチェック用チャートとは目的が少し違います。代用できる場合もありますが、正確に確認したい場合は、機材メーカーが指定するチャートや手順に従いましょう。

距離・ズーム位置・絞りをそろえる

確認するときは、チャートまでの距離、ズーム位置、絞りをそろえることが大切です。一般的には、望遠側でピントをしっかり合わせ、広角側に戻したときにズレが出るかを見ます。

ただし、どの焦点距離で合わせるか、どの距離にチャートを置くかは機材によって異なります。フランジバック調整に対応したカメラやレンズでは、必ず取扱説明書の指定に沿ってください。絞りは開け気味にすると被写界深度が浅くなり、ズレを見つけやすくなります。

きちんと設置することが大切

チャートが波打っていたり、斜めに貼られていたり、光が反射していたりすると、正しく判断しづらくなります。印刷サイズが小さすぎる場合も、細かな模様がつぶれてピントの山が分かりにくくなります。できるだけ平らな面に貼り、カメラとチャートを正面に向け、均一な明るさで照らすのが基本です。屋外は光の変化や反射の影響を受けやすいため、可能なら室内で照明を整えて確認しましょう。

フランジバック調整の実務:自動調整と手動調整

フランジバック調整は、カメラのメニューから自動で行うタイプと、レンズ側のリングやネジを手で調整するタイプがあります。どちらの場合も大切なのは、チャートを正しく置き、明るさや距離をそろえ、調整後にもう一度確認することです。

自動調整はメニューに沿って進める

Sonyの一部の業務用カメラなどでは、メニューからフランジバックの自動調整を実行できる機種があります。専用チャートを指定のサイズで印刷し、カメラから決められた距離に置いて、メニューの「Auto FB Adjust」などを実行する流れです。

なお、必要なファームウェア、チャートサイズ、撮影距離、絞り、手ブレ補正の設定などは機種によって異なります。そのため、必ず使用するカメラの取扱説明書やメーカーの案内に従ってください。また、チャートが暗い、反射している、カメラが傾いているなどの場合は、正しく調整できないこともあります。

手動調整は少しずつ確認する

レンズ側にフランジバック調整リングや固定ネジがある機種の多くは、手動で追い込むタイプです。多くの場合、望遠側でピントを合わせ、広角側に戻してズレを確認し、必要に応じてリングを少しずつ動かします。

一度で完全に合わせようとするより、望遠側で確認、広角側で確認、もう一度望遠側で確認という流れを繰り返す方が良いでしょう。なお、調整後は固定ネジの締め込みも重要です。固定が甘いと、移動やズーム操作で位置がずれてしまうことがあります。

調整後のチェックも忘れない

チャート上で合っているように見えても実際の撮影で問題が残ることがあるため、調整後は、遠景、近距離、ズーム中のピント保持を確認すると安心です。その際に画面の片側だけが甘い場合は、フランジバックの調整量ではなく、アダプターの傾き、マウント面の当たり、レンズやボディ側のズレが原因のこともあります。チャートだけで判断せず、実写に近い条件でも確認することが大切です。

フランジバックのまとめ

フランジバックとは、カメラのマウント面から撮像面までの基準距離です。レンズが正しい位置でピントを結ぶための土台であり、無限遠の合焦、マウントアダプターの相性、動画ズーム時のピントズレにも関係します。

主要マウントのフランジバックを比較すると、一眼レフは長め、ミラーレスは短めという傾向があります。ミラーレスが一眼レフ用レンズをアダプター経由で使いやすいのは、足りない距離をアダプターの厚みで補いやすいためです。

ただし、フランジバックが短ければ必ず高画質になるわけではありません。写りにはレンズ設計、マウント径、センサーへの光の入り方、アダプターの精度なども影響します。無限遠が出ない、片側だけ甘い、ズームでピントがずれるといった症状がある場合は、フランジバックだけでなく装着状態や機材の仕様も含めて確認するとよいでしょう。


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