【2024年版】ミラーレスカメラ&コンデジ出荷台数ランキング

【2024年版】ミラーレスカメラ&コンデジ出荷台数ランキング

2024年の“いま”を切り取るなら、売れた台数=出荷台数の推移を見るのが一番手っ取り早い指標です。本記事はミラーレスカメラとコンパクトデジタルカメラの出荷台数をキーワードに、メーカー別の実績と市場の手触りをまとめました。数だけでなく、読者が次の一台を選ぶ時に役立つ“判断軸”も用意しています。さあ、ランキングの裏側にある本質を一緒に覗いていきましょう。

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筆者
みんカメ編集部
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この記事のサマリー

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2024年ミラーレス出荷はキヤノンが205万台で首位、ソニーが163万台で続く

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コンデジはソニー47万台・キヤノン43万台。2025年は“三冠”を懸けた競演に

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ニコンはZシリーズで76万台へ伸長、富士フイルムも49万台で復調

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マイクロフォーサーズはエントリー&中級の空白が課題

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台数は縮小・単価は上昇。高付加価値シフトがユーザー選びを変える

2024年ミラーレスカメラ出荷台数ランキングと全体像

まずは2024年の「ミラーレスカメラ 出荷台数 2024」をメーカー別に俯瞰します。対象はミラーレスのみで、デジタル一眼レフやコンパクトデジタルカメラは含みません。市場の主役は完全にミラーレスへ移行し、メーカーの成長や意思決定がダイレクトに反映される舞台になっています。

ブランド

出荷台数

シェア

累計シェア

Canon

2,050,000

39.27%

39.27%

Sony

1,630,000

31.23%

70.50%

Nikon

760,000

14.56%

85.06%

Fujiflim

490,000

9.39%

94.44%

Panasonic

160,000

3.07%

97.51%

OM Digital

130,000

2.49%

100.00%

(via:「会社四季報」業界地図 2026年版)

※シェアは上位6ブランドの出荷台数の合計を母数にした場合

メーカー別実績(2024):数字で見る現在地

2024年の世界出荷は、キヤノン205万台・ソニー163万台・ニコン76万台・富士フイルム49万台・パナソニック16万台・OMデジタル13万台という序列でした。数字だけ見れば2強+追い上げ組+ニッチという構図は明快です。ハイアマ~プロの高単価需要が厚いなか、幅広い価格帯を押さえる総合力が上位に直結しています。

このランキングは“ミラーレス限定”の指標です。レフ機や固定レンズの台数は別枠で、純粋にミラーレスの競争力を測るスコアボードと考えてください。だからこそ、ミラーレスで勝てている会社は総合でも強い傾向にあります。

2021〜2024の推移:拡大基調と年次で異なる増分

2021→22でニコンは+24万、22→23で+10万、23→24で+13万と段階的に増加。トップ争いが固定化しにくい構造になったのも、この“第三勢力”の存在感が増したからです。

なお、キヤノンは2022年にソニーから首位を奪還し、そのまま差を広げて2024年に200万台の大台を突破。対するソニーは安定的な販売を維持しつつも、伸び率の面では一歩後退という見方が増えています。

キヤノン:200万台超の首位と“三冠”への視界

2024年、キヤノンはミラーレスで205万台と過去最大級の実績を叩き出しました。Nikkei業界地図の整理記事によれば、デジタル一眼レフでも首位を維持し、残るはコンデジの首位のみ。2025年に向けてコンパクトの増産方針(2025年1月開始)が示され、文字どおり“三冠”への盤石な布陣が見えています。

出荷実績と強み:製品線×供給力の掛け算

EOS Rシリーズはプロ〜エントリーまで段差が少なく、RFレンズとの組み合わせで「最初の一本から最後の一本まで」自社内で完結できます。高単価帯の回転率が上がると、供給力の差がそのままシェア差に現れるのが2024年の特徴でした。

若年層需要の再燃を受け、キヤノンは2025年1月からの増産と2025年2月のPowerShot V1正式発表で“最後のピース”を取りにいく構えです。カメラ全体の販売を底上げする呼び水としても機能しやすい流れでしょう。

弱点と2025年の注目:動画領域とレンズ需給

RFの人気レンズは一時的な品薄が起きやすく、需要の山谷をどう平準化するかは継続課題です。動画領域ではシネマEOSやR5系の強化が進む一方、ソニーやニコンの高速ハイフレーム競争に対し、企画段階からの差別化がより重要になります。

もっとも、出荷台数という“量”でここまで突き抜けていれば、レンズ投資への説得力も生まれます。2025年はコンデジの巻き返しも重なり、名実ともに“三冠”へ手が届くかが最大の見どころです。

ソニー:堅調だが攻めの一手が待たれる

ソニーは163万台で2位。映像制作分野やVlogでの存在感は圧倒的で、Eマウントのサードパーティ生態系も厚みがあります。とはいえ、2024年は堅実さが目立つ一方で、新鮮な驚きが少なかったのも事実。市場は“攻め”のタイミングを待っています。

現状の立ち位置:強いが伸びにくい構造

αのラインナップはフルサイズ・APS-Cともに隙がありません。ユーザーは用途に合わせて無理なく乗り換え・買い増しできるため、解約率の低いサブスクのような粘りがあります。だからこそ、成熟が進むほど伸びしろが見えづらいのもソニーのジレンマです。

2025年に向け、次世代フラッグシップや新コンセプト機が鍵になります。順当進化だけでは話題性が薄れがち。AIや計算写真の活用、超高速読み出しセンサーなど“飛び道具”が再加速のスイッチになるでしょう。

次の勝ち筋:動画×写真のハイブリッド最適化

動画寄りのZVシリーズと静止画寄りのαを、ユーザー体験の中でどう再編するか。たとえば編集アプリとの連携やクラウド納品まで含めたワークフロー提案が進めば、単体機能競争から一段上の価値勝負に移れます。開発の文脈はすでに整っています。

ハードだけでなく、ソフトとサービスの統合で“抜け感”を作れれば、伸び率を再び上向かせる可能性は十分。ファンが期待するのは、かつてのα7初登場のような鮮烈な一撃です。

ニコン:Zシリーズが牽引する右肩上がり

ニコンは76万台まで増やし、2021→22で+24万、22→23で+10万、23→24で+13万と着実に積み上げ。Z9/Z8/Zfの揃い踏みが“Zで完結する世界”を現実のものにしています。ユーザーの信頼回復が数字に表れた一年でした。

Zの成功と数量効果:ミドル〜上位が引っ張る

フラッグシップZ9でプロ現場の信用を獲得し、Z8で手の届くハイエンドを用意。さらにZfのデザイン性が新規層まで裾野を広げました。販売の重心が上位帯に寄るほど単価は上がり、出荷額の伸びも期待できます。

台数が伸びるとレンズ投資も回りやすくなります。Z 100–400や小型単焦点の拡充は、既存ユーザーの“2本目・3本目”を後押し。ボディとレンズの相乗で循環が生まれています。

残る課題:サードパーティと普及帯の厚み

強いミドル〜上位に対し、普及帯の新顔が薄いのは弱点です。サードパーティの選択肢もE/Rマウントほど豊富ではありません。ここが厚くなると、新規参入のハードルがさらに下がり、台数の底上げにつながるでしょう。

それでも、2024年の実績は十分に前向き。三つ巴のレースを引き締める存在として、2025年も注目を集めるはずです。

富士フイルム:Xシリーズの再評価で40万台後半

富士フイルムは49万台。Xシリーズの色と操作感が再評価され、撮って出し派やスナップ派を中心に支持が広がりました。高級志向の固定レンズ機人気も背中を押し、2024年は“富士らしさ”が数字に直結した印象です。

人気機の波及効果:APS-Cの強みを活かす

X-H2/X-T5/X-S20が用途別に棲み分け、買い替えや買い増しの導線を作りました。クラシックな操作系は学習コストが低く、撮影体験の満足度が高いのも強み。結果、出荷の底が安定してきました。

同社は中判GFXの存在もブランドの“柱”です。尖った領域を持つことで、APS-Cの価値が逆照射されます。多層的なポートフォリオは、数量が伸びにくい時代の有効な戦い方でしょう。

独自路線のリスク:フルサイズ不在の戦い方

一方で、フルサイズ不在は一定の商機を逃す可能性があります。中判とAPS-Cでどこまで戦えるかは永遠のテーマです。とはいえ、強いファンベースを軸にすれば、規模より濃度で勝つ道も十分にあり得ます。

Xの楽しさに魅了された“フジ沼”の熱量は2024年も健在。可処分時間の取り合いに強い体験価値は、来年以降も同社の武器になり続けるはずです。

パナソニックとOMデジタル:マイクロフォーサーズの課題

パナソニックは16万台、OMデジタルは13万台。小型軽量や強力な手ブレ補正など独自の価値は明確ですが、エントリー〜中級の層が薄く、新規ユーザーの導入路が狭いのが悩みどころです。2024年の出荷でも上位4社に差を付けられました。

導入路の設計という構造課題

2024年はOM‑1 Mark IIなど「既存機の改良」が中心となった一方、エントリー価格帯の新顔は限定的。結果として“最初の1台”の選択理由を作りづらいという声が海外コミュニティでも散見されます。

マウントの魅力を更新する一本/一台(軽量望遠や動画寄り小型機など)の提案が広がれば、再浮上の芽は十分。ロードマップと供給の安定が「選べる理由」になります。

ニッチで生きる道:強みの徹底

とはいえ、軽量望遠や強力なIBISを活かした野鳥・山岳・水辺の撮影では今も唯一無二。競合が少ない“場”で価値を磨くほど、少量でも利益が出せる構造にできます。あとは入り口の設計。手を出しやすいボディとレンズがもう少し揃えば、再浮上の芽は十分に残っています。

マウントとしての生命線は「選べる理由」を絶やさないこと。ロードマップと供給の安定は、ユーザーの心理的ハードルを確実に下げます。

2024年コンパクトデジタルカメラ出荷台数:復調の手応え

固定レンズの“コンデジ”は長らく逆風でしたが、2024年は話が少し違います。出荷台数はソニー47万台、キヤノン43万台。SNS起点の需要やVlog向けの需要が下支えし、上位2社が市場のほとんどを占める構図になりました。

ブランド

出荷台数

シェア率

累計シェア率

Sony

470,000

36.72%

36.72%

Canon

430,000

33.59%

70.31%

Fujiflim

130,000

10.16%

80.47%

Panasonic

100,000

7.81%

88.28%

RICOH

60,000

4.69%

92.97%

OM Digital

50,000

3.91%

96.88%

Nikon

40,000

3.13%

100.00%

(via:「会社四季報」業界地図 2026年版)

※シェアは上位7ブランドの出荷台数の合計を母数にした場合

上位2社の構図:首位ソニーと肉薄するキヤノン

ソニーはRXシリーズやZVシリーズで首位を維持。いっぽうキヤノンは2025年1月からの増産方針とV1投入で追撃ムード。2025年は“三冠”を懸けたトップ争いが現実味を帯びてきました。

市場全体では、2010年から2023年にかけて固定レンズ機の出荷が94%減という厳しい現実があります。それでも上位2社が高価格帯の価値提案で踏みとどまり、コンデジの役割を再定義しているのが現在地です。

若年層とVlog需要:スマホでは届かない“もう一歩”

縦動画・音声・NDフィルターなど、スマホでは煩雑な設定がワンオペで完結するのが強みです。小型三脚やハンドグリップと組み合わせれば、移動しながらの撮影でも手ブレが少なく、編集の歩留まりが高まります。

“サブカメラ”として使う層も増え、旅行・ライブ・イベントでの携行率が上がりました。コンデジの復調は、レンズ交換式カメラの購入動線を広げる意味でも大きいと言えます。

台数は縮小・単価は上昇:2024年の市場を読む

(via: Statista)

カメラ市場の長期トレンドは「台数の大幅縮小」と「平均単価の上昇」の二本立てです。スマホがかつてのコンデジ需要を吸収し、CIPA統計でも2010年以降の落ち込みは歴然。現在の市場は“少量高付加価値”で再編が進んでいます。

CIPAの数量トレンド:崩壊から安定化へ

世界のデジカメ出荷は、2010年ごろに1億台超でピークを付け、その後は急降下。2023年の固定レンズ機はわずか170万台で、スマホが“日常のカメラ”の座を取り切ったことが分かります。直近は底を打ち、ミラーレスの牽引で緩やかに安定化しつつあります。

この前提を踏まえると、出荷台数の“増減”だけを追うより、どのカテゴリーで“利益が出る構造を作れたか”が重要になります。台数と単価をセットで捉えるのが、2024年を正しく読むコツです。

平均単価と高付加価値化:買い手の判断軸はこう変わる

日経の報道まとめでは2022年の世界平均単価は約8万5千円。3年で2倍超、10年で約6倍という変化は、メーカーが高機能路線へ舵を切った結果です。買い手側は“本当に使う機能”へ投資を集中し、周辺機材やソフトも含めた総額で考える発想が欠かせません。

高級コンデジや上位ミラーレスの人気は、この高付加価値シフトを象徴します。台数は少なくても満足度が高ければ、次の買い増しにつながる。価格だけでなく“体験の質”で選ぶのが、これからのベストプラクティスです。

まとめ

2024年のミラーレスカメラとコンパクトデジタルカメラの出荷台数を俯瞰すると、ミラーレスではキヤノンが205万台で首位、ソニーが163万台で追走。ニコンは76万台まで伸ばし、富士フイルムは49万台で復調しました。コンデジはソニー47万台、キヤノン43万台で2強が市場をけん引。台数は絞られ、単価は上がる時代に、ユーザーが重視すべきは“自分の用途に刺さる価値”です。次の一台は、必要十分な性能・持ち出しやすさ・ワークフロー適合性の三点で見極めましょう。


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